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ギリシャ神話時代から続く「女性を黙らせる」歴史に終焉を [The New York Times]

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ギリシャ神話時代から続く「女性を黙らせる」歴史に終焉を [The New York Times]

アリストテレスによると、女性の声は、その弱さを証明しているのだという。美徳とは、低くてよく通る大きな声に現れるもので、たとえば、ライオンや雄牛の咆哮、そして人間の男性の声などが挙げられる。ところが、女性の発言については、その声の高さやペチャクチャとした内容のないおしゃべりが危険であり、場合によっては不潔とさえ考えられてきた。女性の声の音色は、国をも滅ぼしかねないと信じられてきたのだ。

ケンブリッジ大学の古典学者メアリー・ビアードは、新著『Women & Power(女性と権力)』の中で、次のように述べている。古代世界において「演説は男らしさを表すものであり、男性だけがするものとされていた。公の場で発言する女性は、多くの場合において、女性らしくないと考えられていた」。

それから、世界はどれくらい変わっただろうか? ビアード氏は、マーガレット・サッチャーが声を低くするために発声法のレッスンを受けていたこと、そして多くの女性政治家が信頼を得やすい服装としてパンツスーツを着ていることを指摘している。しかし女性は、いまだに政財界においては侵入者とみなされているのだ。

このところ続いている、大勢の女性によるセクハラ告発騒動を予期していたかのように、ビアード氏は、女性が暴行被害を証言することを物理的に妨げられてきた歴史を物語る多くの神話についても詳細に解説している。この古い神話の中で、女性たちの舌は切り取られ、木や動物のような存在に変えられてきたのだ。

「女性を黙らせるということに関しては、西洋文化には数千年もの歴史がある」ビアード氏は同著の中でこう述べている。

レイプ犯を織物におりこみ無言の反逆

『Women & Power』は、ビアード氏による公開講義2回分をまとめたポケットサイズの本だ。ちょうど「女性を沈黙させる」ということへの認識が高まっている中での出版となった。「Nevertheless, she persisted(にも関わらず、彼女は主張し続けた)」(訳注:米国のミッチ・マコネル共和党上院院内総務がエリザベス・ウォーレン民主党上院議員に対して発言した)がスローガンになり、カマラ・ハリス上院議員が上院公聴会で何度も発言を妨害された時には、(職場で)男性がいかに同僚女性の話を遮り、見下しているのかということについて激でい議論が巻き起こった。

ビアード氏は、抑圧の歴史とは、常に反逆の歴史でもあるということを思い起こさせてくれる。たとえば、ギリシャ神話に登場するピロメーラー(フィロメラ)は、レイプされた後に舌を切り取られた。しかし彼女は、その犯行の様子と犯人を描いた織物を織ったのだ

また、古代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスの妻フルヴィアは、夫のことを激しく侮辱したキケロの死体のもとを訪れ、髪からヘアピンを抜いてキケロの舌に突き刺したという。この二つの物語において、伝統的な女性の仕事(織物)や装飾品(ヘアピン)が、発言権を独占する男性への攻撃手段として使用されている。とくにフルヴィアの例では、「男性の言葉が生み出される、まさにその場所」を攻撃している。

自分の意見を主張するのが最善策

ただ単に問題について説明するだけでなく、解決策まで提示してくれるという点で、この本には元気づけられる。ビアード氏が勧める方法のひとつは、威勢よく自分の意見を主張するというものだ。ビアード氏はツイッターを利用しているが、そこでは彼女の仕事や年齢、外見をあげつらうインターネット・トロールたちとのバトルを繰り広げていることで有名だ。彼女に対するネットいじめや嫌がらせは殺害予告にまで発展したこともあるが、それでも彼女はソーシャルメディアを辞めるのを拒否した。

「子どもの遊び場で起こったいじめを、そのまま放っておくのと同じことのように思えた」と、最近ネット上で受けた攻撃を振り返り、彼女は自身のブログにこのように綴った。「これでは、女性が数世紀にもわたってアドバイスされてきたこととほとんど同じではないかと。つまり、口答えするな、ただ顔を背ければいい、と」

代わりにビアード氏は、ときに激しく、ときに優しく、そして時に卑猥なジョークでもって応戦しているという。すると、男性たちは予想よりも高い確率で折れるのだそうだ。そして、時には思いがけない友情が芽生えることもある。彼女に対して嫌がらせを行っていたある男性は、謝罪のためにランチをご馳走してくれたそうだ。

そして、私たちが持っている権力の概念についても十分に知っておく必要があり、なぜそこから女性が締め出されているのかを徹底的に調べる必要がある、とビアード氏は指摘している。つまり、私たちが共有している権威や支配の概念、そして知識でさえも、いかにジェンダーに影響されるのかを調査しなければならないという。「すでに男性専用のルールが定められている構造に女性が適応するのは、簡単なことではない。まずは、構造から変える必要がある」。ビアード氏は、同著の中でこう述べている。

© 2017 The New York Times News Service[原文:From Ancient Myths to Modern Day, Women and the Struggle for Power/執筆:Parul Sehgal](抄訳:吉野潤子)

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