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サスペンス映画の如し。ワインスタイン一連のスキャンダルまとめ! [The New York Times]

The New York Times

サスペンス映画の如し。ワインスタイン一連のスキャンダルまとめ! [The New York Times]

有名人に取りいり、スパイを放ち、弱みを握って、脅しと甘言で人を思い通りに支配する。まるで、サスペンス・ムービーを地でいく手口、それが、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが30年にわたりしてきたこと。ニューヨーク・タイムズの記者チームが、綿密な取材と調査をもとに明らかにした、セクハラ・スキャンダルの恐るべき真実がここに(以下、2017年12月5日付ニューヨーク・タイムズ記事の抄訳)。

影響力を駆使して被害者を絡め取るセクハラ装置

2017年10月、ついに沈黙を破った女性たちによる、ワインスタインへのセクハラ告発の嵐が巻き起こった。しかし、ずっと以前から、ワインスタインはハリウッドに張り巡らした人脈を駆使し、自分の安全を確保しつつ被害者をシステマチックに餌食にしていく、巧妙な「セクハラ装置」を構築していたのだ。

狙いを定めて爪をとぎ、弾丸を仕込む手伝いをしていた一人は、米国タブロイド紙のナショナルエンクワイアラーの編集者で、彼は女優のローズ・マクゴーワンが所属する大手芸能プロダクション・グループCreative Artists Agency(CAA)の知り合いに働きかけ、あるミーティングをお膳立てするように頼んだ。ワインスタインから受けたセクハラ行為を暴露する回顧録をマクゴーワンが出版しようとしていることを嗅ぎつけたからだ。その後、出版取りやめの見返りとして、元マネージャーには5万ドル(約568万円)が提示され、回顧録の出版エージェントには代わりとなる儲け話がオファーされた。

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大手芸能プロダクション・グループCreative Artists Agency(CAA)副会長ブライアン・ラード(中央左)(Krista Schlueter/The New York Times)

この件はほんの一例だ。90年代からすでに、ワインスタインは自分の行為が表沙汰にならないよう、さまざまなレベルで多くの人々を道具のように利用して、権力を意のままに振るってきた。200人近い関係者へのインタビュー、内部文書やEメールがその事実を裏付けている。彼の目的を知らずに協力した人もいるが、多くはなにがしかを察知していた。ここまでの規模で、セクハラとその隠ぺいが行われていたとまでは思っていなかったかもしれないが。ワインスタインの恥ずべき行状の数々がどんどん明るみにされている今、なぜ、誰も止めなかったのか、責任の所在が問われている。

ワインスタインの会社幹部が逆らうことは稀だった。逆鱗に触れて罵倒され、さらには職を失うことを恐れたのだ。弟で共同創業者のボブ・ワインスタインも、被害女性への口止め料の支払いに1990年頃から関与している。女性との出会いをセッティングする役割のアシスタントが雇われる一方で、顧問弁護士たちは沈黙を対価とする和解の成立に腐心した。「さっさと示談にしてしまえば、出来事の細かい内容が突っ込まれることはない」と、訴えを起こした被害者との交渉に2度携わったダニエル・M・ペトロチェリ弁護士は証言している。

芸能エージェンシーや俳優のマネージャーは、ヒットが約束されるワインスタインの映画に参加することをもくろみ、ホテルの部屋で彼と二人きりになる"打ち合わせ"に女優たちを送り込んだ。もし何か問題がおきても、黙っていたほうが身のためだと女優に言い含め、「ハーヴェイにはハーヴェイのやり方がある」と囁くのが常だった。ワインスタインのあくどいセクハラを知りつつ、彼らは女優をプライベート・ミーティングへと行かせ続けたのだ。前述のローズ・マクゴーワンに関わる件で、ワインスタインに抗議をしたエージェンシー・マネージャーのニック・ウェチェスラーでさえ、ワインスタインとのビジネスを完全に断つことはできなかった。「あるときには、彼は業界で絶対無二の存在だった」からである。

アメとムチでメディアをコントロール

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アメリカン・メディア社、デイヴィッド・J・ペッカー社長 (Hiroko Masuike/The New York Times)

ワインスタインはまた、脅しと甘い誘惑を織り交ぜることでマスコミをコントロールした。芸能記者たちを、スター俳優や有名監督などセレブたちに近づけるパーティーに招待し、本来、ワインスタインのゴシップをネタにするはずの記者が、彼を記事にしない代わりに出版や映画に関わる契約をもらえることもしばしばだった。映画スタジオのチーフが芸能レポーターを雇い、ワインスタインが隠しておきたい事件の取引材料に使えそうな、セレブの秘密を集めさせたこともある。同時に、ワインスタインはタブロイド新聞業界の大立者で、アメリカン・メディア社のデイヴィッド・J・ペッカー社長と親しい関係にあり、"フレンド・オブ・ペッカー(FOP)"と呼ばれる、めったなことを書いてはならないアンタッチャブルな存在で、同じような扱いを受けているのはトランプ大統領くらいだ。

ワインスタインは現在3つの都市で司法当局の捜査対象となっている。彼は自身の態度が「人々を不快にさせた」ことは認めているが、弁護士を通じ、性的ハラスメントに及んだ認識はないと容疑を否認している。取材に対し、広報担当の女性は不適切な行為の告発に反論し、ワインスタインが記憶している事実は告発者とは違うと語った。

政界や実業界の大物との交流を隠れ蓑に利用

影響力を行使する技にかけては達人クラスのワインスタイン、映画プロデューサーの立場を最大限に活かして、エンターテイメント業界、政界、出版界にまで力を拡大した。その時々で、有名人や有力者とのコネを巧みに使い、身を守るすべも心得ていた。「私はアメリカ大統領が知人だが、君はいったい誰を知っている?」というのが、オバマ大統領時代、民主党の支援者だったワインスタインの常套句で、そして、必ず偉そうに付け加えた。「私はハーヴェイ・ワインスタインだ。わかってるだろう。どんなことが私には可能かってね」

9月にやりとりされた、ヒラリー・クリントンが主役のTVドキュメンタリー番組について討議するワインスタインのメールもある。彼女の選挙運動の資金集めに協力してきたワインスタインは、クリントンのフェミニストとしてのイメージを使って、自身の印象操作を図っていた。雑誌編集者のティナ・ブラウンと作家で女優のレナ・ダンナムは、女性に対するワインスタインの態度をクリントン側のスタッフに伝えて、慎重にすべきだと警告していたという。メールの中で、ワインスタインはこのドキュメンタリーの配給権について交渉中で、「我々に有利なプライスとなることを願っている」とクリントン側の弁護士は返信している。

こうした一連のメールによると、その2日後には、ハワイで休暇中のアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスがワインスタインからのアドバイスを受け取ったのも明らかだ。ウォール・ストリート・ジャーナルが、ワインスタインのビジネスパートナーでもあるアマゾン・スタジオでの騒動を報道するのを受けてのことで、攻めの対応を提案し、名誉毀損訴訟のエキスパートで「誰も余計なことを言わないようにさせられる」彼の弁護士を雇うことも勧めている。この件について、ジェフ・ベゾスはコメントを控えている。

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アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス (Nick Cote/The New York Times)

記者が自分の身辺を取材調査しているのに気づいていながら、9月のトロント国際映画祭に参加したワインスタインは、ホテルの部屋に2人の女性を呼び入れ、マッサージなど性的なリクエストとキャリアアップを助ける約束を交互に繰り返したという。この女性告発者は名前を明かしていないが、当時の様子をつづったテキスト・メッセージと、この話を聞かされた友人の証言がある。ワインスタイン自身は「ナンセンスだ」と告発を否定している。

弱みにつけ込み、周囲の人間に圧力をかけるのも彼の得意とするところだ。ワインスタインの会社の取締役会の一員で、何につけはっきりものを言うランス・マーロイは、人に知られたくない過去の出来事をバラされたいのかと脅された。また、30年間ワインスタインのもとで働いてきたアーウィン・レイターは、取材の際には好意的なコメントをするように頼まれたが拒否。すると、ワインスタインは彼の秘密を握っていると切り返した。

そして今年の秋、ニューヨーク・タイムズがワインスタインのセクハラ・スキャンダルの第一報を報じる直前、ワインスタインは記事を執筆した記者に電話をかけてきた。記者をほめそやすお世辞の合間に脅し文句をちらつかせながら、「どれだけの人脈があると思っているんだ」と豪語し、取材に協力した人間を見つけ出し黙らせることが自分にはできるとほのめかしたのである。

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ワインスタインの幹部、アーウィン・レイター(Dave Sanders/The New York Times)

グウィネス・パルトローら多くの有名女優も被害者

カナダ人女優ミア・カーシュナーがニューヨークを訪れてワインスタインと会ったのは、19歳のときで、初主演映画『エキゾチカ』が1994年にミラマックスの配給により公開されて間もない頃だった。芸能プロダクションCAAが、彼女のホテルの部屋でのミーティングを設けたのだ。出演作の配給会社の社長という、ハリウッドの大物と懇談できる幸運を信じて疑わなかった彼女は、ワインスタインからキャリアアップを後押しする代わりにセックスを求められ、とてつもないショックを受けた。拒否したものの「ものすごく落ち込んで、不安になり、恐ろしかった」という彼女は同時に、(ワインスタインの性的被害にあった女性の多くがそうであるように)こうなったのは自分のせいであると感じて苦しんだ。

話を聞いた所属エージェンシーのリサ・グロデも驚き、マネージャーのジョン・カラビーノと、その上司のサンディ・ゴーリンを交えて話し合いがもたれた。激怒したゴーリンは録音器を服に仕込んで、もう一回ワインスタインと会うべきだと主張したが、「リサとジョンは"だめ、それだけはやめて"という顔つきだった」とカーシュナーは振り返り、彼らの様子から、この件はなかったことにしたほうがいいと判断したという。「忘れなさいと言われたわ。何かしようとしても無駄だからって」

ワインスタインの例に限らず、セクハラを訴える声を受けながら、ハリウッドの業界が適切な処置や行動を取れなかった例は枚挙にいとまがない。リース・ウィザースプーンは最近のスピーチで、16歳のときに、ある監督からセクハラ被害を受けたと明かし、「沈黙を守ることが私との契約を続ける条件という圧力を与えたエージェントやプロデューサー」への怒りをあらわにした。

芸能界のエージェントにとって、新しい俳優や女優は次々と現れる。だが、年に30本もの映画を世に送り出すワインスタインは、ハリウッドでは不動のかけがえのない存在だったというわけだ。

ワインスタインの行状は業界では広く知れ渡っていたにもかかわらず、何も手を打たれないまま時がすぎ、被害は拡大していく。20年以上前、ホテルの一室でワインスタインからのセクハラにあったグウィネス・パルトローは、自身のエージェントのリック・クルツマンに事情を打ち明けた。だが、彼は上司に報告して対策を検討しようとはしなかったとされる。

1999年『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー主演女優賞を獲得し、グウィネス・パルトローはミラマックスの看板女優となった。だが、ワインスタインは彼女の知らないところで、華やかに輝く "ゴールデンガール"のイメージを汚していた。パルトローはワインスタインをはっきり拒絶したと断言しているが、彼は他の女性にセックスを迫るさい、パルトローの名前を出し、彼女と寝たと吹聴していたのだ。2000年には、ある若い女優に対し、自分の求めに応じることが「キャリアのためにできる最善の方法」と言い、パルトローをはじめとする有名女優との関係を匂わせた。2004年にワインスタインのセクハラ被害にあったと訴える別な女性は、部屋にはでかでかと目立つようにパルトローの写真が飾られていたことを覚えている。

パルトローは最近、ワインスタインがセクハラ現場で自分の名前を持ち出した相手の女性と連絡を取ることを試みている。電話での会話はどれも悲痛なもので、あるインタビューでパルトローはこう語った。「誰かと寝たなんて嘘をつくのは彼だけじゃない。でも、彼は嘘を、女性を襲う武器に使ったのよ」

©2017 The New York Times News Service[原文:Weinstein's Comlicity Machine/執筆:Megan Twohey, Jodi Kantor, Susan Domnus, Jim Rutenberg and Steve Eder](抄訳:十河亜矢子)

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