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壊れていても音は鳴る。眠っていた楽器が奏でるハーモニー [The New York Times]

The New York Times

壊れていても音は鳴る。眠っていた楽器が奏でるハーモニー [The New York Times]

米フィラデルフィアで一風変わったコンサートが行われた。

12月3日、18世紀に建てられた軍事演習所を改造した大ホールの扉が開くと、数百人の学生やプロ・アマのミュージシャンが続々と中に入っていった。彼らが手にしているのは壊れた楽器。公立の学校で何年も修理されずに眠っていたものだ。

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軍事演習に使われていた建物で演奏された「壊れたオーケストラのための交響曲」。2017年12月3日撮影 (Ryan Coller/The New York Times)

青いテープで応急処置をされたトランペット。パーツが外れ、かろうじて形を保っているバイオリン。バラバラになったチェロ。

これらを使って演奏されたのが「Symphony for a Broken Orchestra(壊れたオーケストラのための交響曲)」。ピューリッツァー賞受賞歴のある作曲家デイヴィッド・ラング氏が、同名のプロジェクトの一環として書いた曲だ。

予算削減に苦しむ芸術教育を支援するプロジェクト

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演奏に使われたのは公立校で壊れたまま保管されていた楽器。音楽教育への予算はこの10年で激減した。 (Ryan Coller/The New York Times)

公立校の予算不足のため壊れたまま保管されていた1000個以上の楽器の修理を目指すこのプロジェクトは、テンプル大学芸術学部併設ギャラリーのディレクターのロバート・ブラックソン氏の企画によるもの。

フィラデルフィアの公立校で音楽教育に充てられる予算は2007年には1300万ドルだったのが、今年はたったの5万ドルと大幅にカットされている。消耗品を買うために、教師が自腹を切ることもあるという。公立校の生徒はほとんどが低収入世帯の子供で、マイノリティが多い。

「Symphony for a Broken Orchestra」プロジェクトでは、楽器の修理と今後のメンテナンスのための費用を集めるため、一般の人から寄付を募っている。現段階で、約23万7千ドルが寄せられた。

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作曲家のデイヴィッド・ラング氏。(Ryan Coller/The New York Times)

プロジェクトの早い段階で作曲の依頼を受けたラング氏は、これまでも一般の人を巻き込んだ演目を作ってきた。2016年には1000人が合唱する「the public domain」がニューヨークのリンカーン・センターで開催された。2008年ピューリッツァー賞音楽部門を受賞した「マッチ売りの少女の受難曲」がオンタリオで上演された時は、観客が参加できるようにアレンジが施されていた。

今回のオーケストラに参加したのは、小学生、音楽教師、地元のアマチュアバンドのメンバー、フィラデルフィア管弦楽団の団員まで、様々な経歴を持つ人々だ。年齢も9歳のチェロ奏者から82歳のオーボエ奏者までと世代をまたいでいる。

壊れていても音は鳴る

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奏者は小学生からプロの音楽家まで年齢も経歴も様々。 (Ryan Coller/The New York Times)

ラング氏がこの曲で探求したのは、西洋のクラッシック音楽の定義では壊れている楽器にも、未知なる可能性があるのではないかということ。バイオリンの胴体を叩いたり、ホルンのバルブキーを弾いたり、弦を張っていないチェロのペグを回したりする音を巧みに組み合わせ、40分の交響曲を作り上げている

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コンサートは楽器の修理費を募るプロジェクトの一環。支援したい人はウェブページから楽器を選び、「里親」になる。 (Ryan Coller/The New York Times)

同じフレーズが別の楽器で次々と繰り返されるという音楽レッスンを思わせるくだりなど、遊び心溢れる仕掛けもたくさん。なんとか音を出そうと必死なクラリネット奏者、すぐに外れてしまうマウスピースと格闘するホルン奏者など独特の場面も見せつつ、オーケストラは豊かなハーモニーを生み出していた。

コンサートで使われた楽器は、来年度の授業に間に合うようすぐに修理に出される予定だ。

© 2017 The New York Times News Service[原文:A Symphony Breathes Life Into 400 Broken School Instruments/執筆:Joshua Barone](抄訳:Tom N.)

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