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パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

The New York Times

パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

サルサの都といわれるコロンビアの街、サンティアゴ・デ・カリ。ここでサルサクラブを満杯にしている人たちには、2種類のタイプがいる。一方はニューヨークからコロンビアにサルサが伝わった1970年代当時のステップに忠実に、床から足を浮かさずに踊る伝統派。もう一方はより若い世代で、トリックやリフトといった技をふんだんに使って魅せる現代派。けれどダンスパートナーを本気で見つけたかったら、伝統的なステップを守るのがいいとベテランたちは言う。

サルサは比較的新しいダンス

今やサルサは世界中のクラブで目にするが、歴史的には比較的、新しいダンスだ。生まれはニューヨーク。ハーレムと中米系移民(キューバやプエルトリコ)の音楽とステップが混じり合って生まれたサルサダンスは、1970年代初頭に人気が爆発した。

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カリのオブレロ地区にあるサルサ博物館 (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

コロンビアの船乗りたちがサルサを持ち帰るようになるのにも、さほど時間はかからなかった。サルサ史家のアルフレド・カイセド・ビベロス氏は当時を振り返ってこう言う。「彼らは『ニューヨークの音楽を聞きたくない?』って誘っていたね。すごくリズミカルで、動き出さずにはいられなかった」。

まもなくコロンビアのカリでは、労働者地区のバリオ・オブレロを中心に、「サルサテカ」と呼ばれるダンスクラブが次々に登場した。ニューヨークからの音だけではなく、コロンビアのミュージシャンも自分たちのサルサバンドを作り始めた。グルーポ・ニーチェ、オルケスタ・グアヤカン、オルケスタ・ラ・イデンティダード、ラ・グラン・バンダ・カレーナ......カイセド氏の口からは、コロンビア・サルサの草創期のシーンに連なったバンドの名前が次々と挙がる。

ショー的で華やかな現代派、ステップを守る伝統派

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サルサクラブ「サント」(Santo)の「壁の花」(Rose Marie Cromwell for The New York Times)

この街にちなんで名付けられた「カリサルサ」は、キューバ音楽のチャランガやパチャンガ、ニューヨークのラテン音楽ブーガルーなどが一体となり、どんどん進化していった。

カイセド氏いわく、カリのサルサに新しい要素をもたらしたのは、ダンスカンパニー「スウィング・ラティーノ」創始者のルイス・エドゥアルド・エルナンデス氏、通称「エル・ムラート」だ。彼の有名な学校もカリにはある。「アクロバティックな要素が持ち込まれた。まるでサーカスみたいに飛んだり跳ねたり、宙返りしたりね」。

だが、カイセド氏の世代は、コロンビアで最初にサルサクラブで踊り始めた世代だ。40年以上前、妻と出会ったのもサルサクラブ。サルサ界の長老的存在となったカイセド氏は今でも、ショー的な演出が一切ないオールドファッションなスタイルが好きだ。「フロアの上で踊る、それがカリのスタイルだ。僕たちは女性に敬意を払っている。パートナーを空中に持ち上げたり、床に落としたりなんてしないんだよ」

「フレンドリーで、騒々しくて。そのエネルギーに惹かれた」

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サルサクラブ「サント」(Santo)で観客のために踊る若者のダンスチーム(Rose Marie Cromwell for The New York Times)

写真家のローズ・マリー・クロムウェルさんは20代の終わりごろ、カリの強烈なサルサシーンに出会った。「カリはサルサの都だ」と聞いて友人に連れて行ってもらったクラブ、『ネリー・テカ』。大音響でサルサが鳴り響き、人であふれかえっていた。

「キャラクターが光る人たちがたくさんいた。とてもフレンドリーで、騒々しくて。そのエネルギーに惹かれた。ホールの片隅で高齢の女性同士がビールを飲んでいたり、小さなフロアではお年寄りのカップルが踊っていた。ほろ苦くて、ロマンチックで、時間をさかのぼったようだった」

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サルサクラブ「ラ・ポンセナ」(La Poncena)の前で (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

カリの伝統的なスタイルを知りたければ、高齢のグループを得意客としている「ビエホテカ」という種類のクラブへ行くといい。ビエホテカは1990年代にお年寄りのためのエクササイズのクラスとして始まったのだが、いつしか昔のスタイルに忠実な伝統派の「聖域」となった

現在のビエホテカは週末にパーティー形式で昼間から始まり、夜10時ごろには終わる。深夜にならないと始まらないニューヨークのサルサシーンとは大違いだ。「カリには昔の踊り方や、昔の装いへの忠誠がある」とクロムウェルさん。

アメリカとカリのサルサの違いは他にもある。アメリカではだいたい、カップルがダンスフロアで前後に動く。カリでは2人が互いに鏡に映った像のように左右に動く。腕と上半身は動かさず、足だけが素早くステップを刻む。

「サルサは人の感情を呼び起こす」

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サルサクラブ「カデロナ」(Caderona) (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

プロ、アマチュアを問わず、大小のサルサテカに集まるダンサーたちはみんな集中していてエネルギーにあふれている。パートナーの手をとりながら満面の笑みで踊る人。真剣な表情で、練習した振り付けを思い出そうとする人。フロアの脇には他のペアのダンスを眺める人、一息つく人、扇子で涼む女性、ハンカチで汗をぬぐう男性。

「ここには心底、楽しいダンスシーンがある。皆、踊ることで生き生きとしている」とクロムウェルさんは言う。「コロンビアの文化はとてもオープン。みんながカリを共有したがっている。観光客向けのシーンではないのよ」。

スタイルは新旧あれ、踊ることのスリルは一緒だ。「サルサは人の感情を呼び起こす」とカイセド氏。「踊っていると夢中になって、恍惚としてくる。喜びがわいてきて、その感情を手足で表現したくなる。裕福な人も貧しい人もみんながサルサを踊る。宗教もイデオロギーも、性別も流派も関係ないんだ」。

©2017 The New York Times News Service[原文:The Rhythm of Colombia's Salsa Capital/執筆:Monica Castillo](抄訳:Tomoko.A)

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