1. Home
  2. ライフスタイル
  3. パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

The New York Times

パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

サルサの都といわれるコロンビアの街、サンティアゴ・デ・カリ。ここでサルサクラブを満杯にしている人たちには、2種類のタイプがいる。一方はニューヨークからコロンビアにサルサが伝わった1970年代当時のステップに忠実に、床から足を浮かさずに踊る伝統派。もう一方はより若い世代で、トリックやリフトといった技をふんだんに使って魅せる現代派。けれどダンスパートナーを本気で見つけたかったら、伝統的なステップを守るのがいいとベテランたちは言う。

サルサは比較的新しいダンス

今やサルサは世界中のクラブで目にするが、歴史的には比較的、新しいダンスだ。生まれはニューヨーク。ハーレムと中米系移民(キューバやプエルトリコ)の音楽とステップが混じり合って生まれたサルサダンスは、1970年代初頭に人気が爆発した。

20180106_nyt_01.JPG
カリのオブレロ地区にあるサルサ博物館 (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

コロンビアの船乗りたちがサルサを持ち帰るようになるのにも、さほど時間はかからなかった。サルサ史家のアルフレド・カイセド・ビベロス氏は当時を振り返ってこう言う。「彼らは『ニューヨークの音楽を聞きたくない?』って誘っていたね。すごくリズミカルで、動き出さずにはいられなかった」。

まもなくコロンビアのカリでは、労働者地区のバリオ・オブレロを中心に、「サルサテカ」と呼ばれるダンスクラブが次々に登場した。ニューヨークからの音だけではなく、コロンビアのミュージシャンも自分たちのサルサバンドを作り始めた。グルーポ・ニーチェ、オルケスタ・グアヤカン、オルケスタ・ラ・イデンティダード、ラ・グラン・バンダ・カレーナ......カイセド氏の口からは、コロンビア・サルサの草創期のシーンに連なったバンドの名前が次々と挙がる。

ショー的で華やかな現代派、ステップを守る伝統派

20180106_nyt_02.JPG
サルサクラブ「サント」(Santo)の「壁の花」(Rose Marie Cromwell for The New York Times)

この街にちなんで名付けられた「カリサルサ」は、キューバ音楽のチャランガやパチャンガ、ニューヨークのラテン音楽ブーガルーなどが一体となり、どんどん進化していった。

カイセド氏いわく、カリのサルサに新しい要素をもたらしたのは、ダンスカンパニー「スウィング・ラティーノ」創始者のルイス・エドゥアルド・エルナンデス氏、通称「エル・ムラート」だ。彼の有名な学校もカリにはある。「アクロバティックな要素が持ち込まれた。まるでサーカスみたいに飛んだり跳ねたり、宙返りしたりね」。

だが、カイセド氏の世代は、コロンビアで最初にサルサクラブで踊り始めた世代だ。40年以上前、妻と出会ったのもサルサクラブ。サルサ界の長老的存在となったカイセド氏は今でも、ショー的な演出が一切ないオールドファッションなスタイルが好きだ。「フロアの上で踊る、それがカリのスタイルだ。僕たちは女性に敬意を払っている。パートナーを空中に持ち上げたり、床に落としたりなんてしないんだよ」

「フレンドリーで、騒々しくて。そのエネルギーに惹かれた」

20180106_nyt_03.JPG
サルサクラブ「サント」(Santo)で観客のために踊る若者のダンスチーム(Rose Marie Cromwell for The New York Times)

写真家のローズ・マリー・クロムウェルさんは20代の終わりごろ、カリの強烈なサルサシーンに出会った。「カリはサルサの都だ」と聞いて友人に連れて行ってもらったクラブ、『ネリー・テカ』。大音響でサルサが鳴り響き、人であふれかえっていた。

「キャラクターが光る人たちがたくさんいた。とてもフレンドリーで、騒々しくて。そのエネルギーに惹かれた。ホールの片隅で高齢の女性同士がビールを飲んでいたり、小さなフロアではお年寄りのカップルが踊っていた。ほろ苦くて、ロマンチックで、時間をさかのぼったようだった」

20180106_nyt_04.JPG
サルサクラブ「ラ・ポンセナ」(La Poncena)の前で (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

カリの伝統的なスタイルを知りたければ、高齢のグループを得意客としている「ビエホテカ」という種類のクラブへ行くといい。ビエホテカは1990年代にお年寄りのためのエクササイズのクラスとして始まったのだが、いつしか昔のスタイルに忠実な伝統派の「聖域」となった

現在のビエホテカは週末にパーティー形式で昼間から始まり、夜10時ごろには終わる。深夜にならないと始まらないニューヨークのサルサシーンとは大違いだ。「カリには昔の踊り方や、昔の装いへの忠誠がある」とクロムウェルさん。

アメリカとカリのサルサの違いは他にもある。アメリカではだいたい、カップルがダンスフロアで前後に動く。カリでは2人が互いに鏡に映った像のように左右に動く。腕と上半身は動かさず、足だけが素早くステップを刻む。

「サルサは人の感情を呼び起こす」

20180106_nyt_05.JPG
サルサクラブ「カデロナ」(Caderona) (Rose Marie Cromwell for The New York Times)

プロ、アマチュアを問わず、大小のサルサテカに集まるダンサーたちはみんな集中していてエネルギーにあふれている。パートナーの手をとりながら満面の笑みで踊る人。真剣な表情で、練習した振り付けを思い出そうとする人。フロアの脇には他のペアのダンスを眺める人、一息つく人、扇子で涼む女性、ハンカチで汗をぬぐう男性。

「ここには心底、楽しいダンスシーンがある。皆、踊ることで生き生きとしている」とクロムウェルさんは言う。「コロンビアの文化はとてもオープン。みんながカリを共有したがっている。観光客向けのシーンではないのよ」。

スタイルは新旧あれ、踊ることのスリルは一緒だ。「サルサは人の感情を呼び起こす」とカイセド氏。「踊っていると夢中になって、恍惚としてくる。喜びがわいてきて、その感情を手足で表現したくなる。裕福な人も貧しい人もみんながサルサを踊る。宗教もイデオロギーも、性別も流派も関係ないんだ」。

©2017 The New York Times News Service [原文:The Rhythm of Colombia's Salsa Capital/執筆:Monica Castillo] (抄訳:Tomoko.A)

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    Ranking

    1. 好かれるとはちょっと違う! 職場で尊敬される人になるには

    2. 部屋を片付けられないのは、意思決定力が弱いから

    3. 「味わう」を意識すると人生は豊かになる。ソムリエ・佐藤陽一さんの哲学

    4. リーダー不在の時代に求められる「真のリーダー力」

    5. 若きジョブズが採用で重視した、たった一つのスキルとは?

    6. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    7. ポイントは割り下の黄金比率。究極の「すき焼き」レシピ

    8. チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ 2018」いよいよ開幕!

    9. 40代こそ、家をIoT化するべき理由

    10. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    1. 若きジョブズが採用で重視した、たった一つのスキルとは?

    2. 職場のめんどくさい同僚と距離をおく方法

    3. 「味わう」を意識すると人生は豊かになる。ソムリエ・佐藤陽一さんの哲学

    4. インフルエンザで倒れたくない今、摂るべき栄養素は

    5. 部屋を片付けられないのは、意思決定力が弱いから

    6. 好かれるとはちょっと違う! 職場で尊敬される人になるには

    7. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    8. リーダー不在の時代に求められる「真のリーダー力」

    9. 40代こそ、家をIoT化するべき理由

    10. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    1. 若きジョブズが採用で重視した、たった一つのスキルとは?

    2. 「味わう」を意識すると人生は豊かになる。ソムリエ・佐藤陽一さんの哲学

    3. 人気ホテル評論家が指南する、失敗しないホテル選びのポイント

    4. ファンデ変えた? と言われる印象アップ。似合う髪色がわかるカウンセリング

    5. インフルエンザで倒れたくない今、摂るべき栄養素は

    6. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    7. 車を買うときに必ずチェックすべきこと

    8. 職場のめんどくさい同僚と距離をおく方法

    9. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    10. 視界がぼやける、いつも眠い......に共通する原因

    パッションを呼び起こす街、サルサの都カリ [The New York Times]

    FBからも最新情報をお届けします。