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ファイヤーキャットを探せ!米加州火災が残した爪あと [The New York Times]

The New York Times

2017年10月、未曾有の大火災が米カリフォルニア州北部を襲った。強風に煽られた複数の山火事が猛威を奮い、ソノマ郡の丘陵地帯を焼き尽くすなか、ペットの犬の多くは、飼い主の元に駆けつけ、側に寄り添った。一方で猫はというと、火元とは逆方向に足を向け、パニックに陥った飼い主が必死で呼び求める声を無視し、避難の混乱の中、姿を消してしまった。

最も被害が大きかったサンタローザ市に住むジェニファー・ペトルスカは、それ以来、行方不明になってしまった猫たちの行方を追っている。

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ジャーニーズ・エンド・モバイル・パークで無事保護された猫。2017年12月21日サンタローザにて撮影。(Jim Wilson /The New York Times)

逃避行を続ける猫

持ち前の頑固さか、火災のトラウマか、あるいは本能か、それともそれら3要素が合わさった結果なのか、火事の現場から姿を消し、何週間も行方不明になったままの猫たちが沢山いるという。ジェニファーは「ファイヤーキャット」と呼んで、山火事が発生して以来、毎晩のように猫たちの跡を追いかけ、捕獲している。

警戒心が強すぎる猫を捕まえるのは、ベストな条件下でも至難のワザだ。でも、ジェニファーが設立したボランティアグループ、自称「ペット・レスキュー&リユニフィケーション(ペットの救助と再会)」は、これまでに70匹以上の猫を捕獲している。そして、まだ野外でさ迷う猫がさらに数十匹はいる、と踏んでいる。

夜更けから夜明けまで

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焼失した住宅地に仕掛けておいたトラップに猫が掛かっていないか、夜中に確認するバーバラ・グレイ(右)と娘のケリー。2017年12月21日サンタローザにて撮影。(Jim Wilson /The New York Times)

猫は、雨水排水溝や小川が流れていた窪みに身を潜めていることが多い。そういった場所に暗闇でも撮影可能な暗視カメラを設置し、毎晩、夕暮れ時に、ツナとサバの餌をつけたトラップを仕掛けた上で、夜明けまで1時間おきに確認を続けている。

「猫を捕まえたい場合は、夜を徹してやる必要があります。それが、肝心です」と、今晩もこれから、暗がりで寒さと闘いながら、猫の「追っかけ」をする予定のジェニファーは言う。「昔からひどい不眠症に悩まされていて。だから、私にはちょうど合っているの」

ペット探しもひとつの復興活動

ジェニファーたちの活動の中心地、サンタローザ市のコフィーパークと呼ばれる地域は、まるで空爆を受けたかのように、街が消えてしまった。消失した住宅は1,000戸以上。同市とその周辺地域だけで、5,000戸近くが焼き尽くされた。

幸い、彼女の自宅は奇跡的に被害を免れた。彼女のペットも無事だった。でも、動物をこよなく愛する彼女は、いても立ってもいられなかった。嘆き悲しむ被災者たちを支え、始まったばかりの膨大な復興事業の助けになればと、猫ハンティングに取り組むことにした

かつての住宅街区は、焼け焦げて吹きさらしになってしまったが、日が暮れると昼間どこかに潜伏していた夜行性動物が、こっそり出現し、活発に動き回る。「まだ、沢山の猫が迷子になっているの」とジェニファーは言う。彼女が設置した人感センサー付カメラの画像には、スカンクやフクロネズミ、アライグマなど夜行性動物の群れに混じって、毎晩のように猫の姿が撮影されている。

涙なくしては語れない再会

家も家財も、すべてを失ってしまったペット・オーナーたちは、ジェニファーらが飼い猫を探し出して、自分たちのもとに連れてきてくれた様子を尋ねられると、思わず涙ぐんでしまう。「ホントに戻ってきてほしかったの。何もいらない、この子さえ戻ってきてくれたらって」と、コフィーパークの自宅が全焼してしまったケリー・スティンソンさんは言う。「毎日何時間も、1日も欠かさず、エヴィを探し回ったの」

エヴィを見つけた晩、ジェニファーは、おびき寄せ、なつかせるだけにして、そのまま立ち去った。次の晩、もう一度同じ場所に戻り、猫の首の後ろをさっとつかんで捕獲し、スティンソンさんの元に無事に戻した。

猫の高度なサバイバル力

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猫トラップを設置するジェニファー・ペトルスカ(左)とバーバラ・グレイ。2017年12月21日サンタローザにて撮影。(Jim Wilson /The New York Times)

彼女たちが救助した猫の多くを診察した獣医のサラ・ラテキン氏は、山火事によって、危険な状況下での猫の生存能力が証明されたと語る。多くの猫が、足に火傷を負っていたり、ヒゲを片方なくしたり、何らかの傷を負って動物病院に連れて来られる。体重も火事の前と比べて数ポンドも落ちていることが多い。その衰弱ぶりから、過酷な環境を耐え抜いてきたことが想像できる。

犬とは違い、猫には、危険を察知すると本能的に逃げる習性がある、とラテキン医師は言う。「猫がなぜ逃げるのかについては解明されていますが、どうしてそんなに早く野生の本能を取り戻すかというメカニズムはわかっていません」

カルテで嗜好を把握

徘徊する猫をおびき寄せて、飼い主との以前の生活に戻すために、ジェニファーは、追跡対象に定めた猫について、1匹ずつ管理ファイルを作成し、嗜好や習性を記録している。ある猫は、スプレータイプのホイップクリームが出る時のシューっという音に関心を示すので、スプレー缶を車に常備。また、別の猫は、特定ブランドの猫用おやつの袋がたてるカサカサ音に反応する。その猫用おやつも携行している。予想通り、おびき出しに一番効果のある餌はやはり魚のようだ。ソックスにサバ缶の汁をしみ込ませ、木にぶら下げておく。

夕暮れ時に、凍てつく寒さの中、瓦礫から突き出した屋根など散乱する建材の残骸を慎重に跨ぎながら、小川の近くの住宅地まで猫用トラップを運び、設置した。朝になってもトラップには何も掛かっていなかった。それでも諦めずに、クリスマス休暇の間も猫探しを続けた。

ネバーギブアップ

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ポールにくくり付けた迷い猫と保護猫を知らせるチラシ。コフィーパーク地区の焼け焦げた住宅街が後ろに見える。2017年12月21日サンタローザにて撮影。(Jim Wilson /The New York Times)

ジェニファーたちはこれまでに、飼い主ですら探すのを断念した猫を見つけてきた。シンディ・フルウィダーさんは、10月9日未明、ゴルフボールほどの大きさの火の粉が舞い落ちる中、命からがら自宅から避難した。「スイートベイビー」と呼ぶ愛猫とはそれきり会えなくなった。きっと、死んでしまったのだろう、と諦めていた。

火事から5週間後のある日、ジェニファーのチームのメンバーから電話をもらった。「2度と会えないのだと思い込んでいました」と、フルウィダーさんは再会の喜びを噛みしめる。飼い猫を必死で探す人々がいる一方で、無事に捕獲されたのに、飼い主がわからない猫もいる。約10匹のファイヤ・キャットたちが、現在、ソノマ郡の動物保護局に一時的に保護されている。

© 2018 The New York Times News Service[原文:The Hunt for 'Fire Cats' Amid Northern California Ashes/執筆:Thomas Fuller](翻訳:Ikuko.T)


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