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いつも、こめかみに微笑みを。美容ジャーナリスト齋藤薫さん

姿勢のよい顔 ー顔マネジメントで印象を操作するー

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突然だけれど、「おはよう」「こんにちは」そして「お疲れ様」そういう毎日の当たり前の挨拶の時、あなたはにこやかな顔をしているだろうか? 言われてみると、わからない。自信がない。ひょっとしたら、ニコリともせずに、惰性で挨拶をすましているかもしれない。そこに、自覚も記憶もないのが、自分の顔の表情なのだ

そう、こんなことがあった。私の目の前に、母親が急に鏡を差し出して、こう言ったのだ。「あなたはこんな顔してテレビを見てるのよ」と。映っていたのは自分の全く知らない顔。初めて見るような険しい顔。顔の表情は、ここまで無意識なのだと思い知ったもの。ハッと気づいて、いけないいけない、優しい顔をしなくてはと意識をしても、また何分か後には自分の知らない顔になっている。

「何かにそっくり」と思ったら、そう言えば姿勢も全く同じ。姿勢が丸いことに気づいて、いけないいけないと背筋を伸ばしても、数分後にはもう元に戻っている。まさに、姿勢と顔はよくも悪くも連動しているよう。言い換えれば、キュッと上向きの凛とした顔は、まさしく“姿勢のよい顔”。でもなぜいい姿勢は続かないのだろう。そしてなぜ、凛とした上向きの顔も、続かないのだろう。自分の顔なのに。

もっと言えば、年齢を重ねるほどに凛とした顔もよい姿勢も、さらに長く続かなくなる。それも1つのエイジングなのだろう。

* * *

そこで思い出したのが、いつも惚れ惚れするほど威勢のよいダンスの講師が言っていた、こんな一言だった。「私はいつも、イスの背もたれにもたれないの。背筋を真っ直ぐにしている方がずっと体がラクだから」。聞いた時は、そんなこと、ありえないと思ったが、本来はそういうものなのかもしれないと思い直してみた。

背もたれにもたれない。なるほど、やってみると気持ちがいい。逆に言えば、人間、丸めた背中を背もたれにうずめている方がむしろ体がだるくなり、どっと疲れが出る仕組みになっているのだろう。背もたれにもたれない心がけ、何とも言えない心地よさが、それを続けさせてくれたのだ。

* * *

じつは、顔の姿勢も同じ。背中を丸めるように、無意識に眉間にシワを寄せていると、顔の筋肉がひどく凝っていることに気づかされる。じゃあ背もたれを使わない心がけと同じように、顔の姿勢を正すコツとは何なのか。やはり頭で考えると、到底続かなさそうなのに、不思議にクセになるのが“こめかみで笑うこと”。これは、証明写真や集合写真を撮られる時に、誰もが無意識にやっている筋肉運動。モデルがオーディションで審査員に見られる時も、とても自然にこめかみに力が入ると言われる。

やってみてほしい。口角を上げなくても、こめかみに力を入れるだけで、顔が凛として、様々な筋肉がキュッと上を向き、穏やかなよそ行きの顔になる。いや、こめかみで微笑むようにすると、目がぱっちりと美しく見開かれ、瞳もキラキラ輝き、またとても自然に口角も上向きになり、とても華やかで艶やかな、その人の最も美しい顔になる。顔の筋肉も、そういう自然な連鎖のような動きこそが、最も美しい表情を作ることを覚えていて欲しいのだ

両方のこめかみに、意識の上だけでいい。わずかに力を入れて、こめかみで微笑む……思い出すたびにやってみて欲しい。ほんの一瞬でできる心がけ。1人の時でも、電車の中でも、いつでもどこでもできる、こめかみの微笑み。それがクセになった時、顔は驚くほど美しくなる。生き生き輝くようになる。ひょっとするとメイクよりも、ずっと人を美しくしてくれるのだ。

* * *

笑顔が人を美しくすることは、みんな知っている。そして、いつも笑顔を絶やさない人になることが、周囲の人の心をぐるりと惹きつけることも、よーく知っている。笑顔ばかりが思い出される人になるって、人生において素晴らしいこと。それ自体が自ずと運命を切り開いてくれるだろう。それでも人は、なかなか“笑顔”顔になれない。

だから、“こめかみの微笑み”から始めてみて欲しい。不思議なもので、筋肉で微笑みの形を作ると、心まで晴れやかになる。心が晴れるから笑顔になるだけじゃない。逆の作用も起こりうるのだ。しかもナチュラルキラー細胞までが働いて、免疫力が高まるとまで言われる。顔における微笑みは、奇跡的とも言える力をもたらしてくれるのだ。

だから、こめかみに、いつも微笑みを。

文/齋藤薫、企画・構成/寺田佳織(カフェグローブ編集部)、photo by shutterstock

cafeglobe編集部

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