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アートか科学か。神経解剖学の父が描いた美しき脳細胞 [The New York Times]

The New York Times

現在、ニューヨーク大学のグレイ・アートギャラリーで開催中の展覧会「The Beautiful Brain: The Drawings of Santiago Ramón y Cajal(美しき脳細胞:サンティアゴ・ラモン・イ・カハールの ドローイング)」は、極めて異例の展示品により大きな話題を呼んでいる。

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グレイ・アートギャラリーで開催中の「The Beautiful Brain: The Drawings of Santiago Ramón y Cajal」展から「Cells in the retina of eye (網膜の細胞)」(1904) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

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「Pyramidal neurons of the rabbit cerebral cortex (ウサギの大脳皮質の錐体ニューロン)」(1909) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

スペインの神経解剖学者サンティアゴ・ラモン・イ・カハール(1852-1934)が、小さなノートブックにインクと鉛筆で丹念に描いた、繊細かつ美しい中枢神経系統の観察スケッチ80点が公開されているからだ。

近代神経解剖学の祖にしてノーベル賞も受賞

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「Axon of Purkinje neurons in the cerebellum of a drowned man (溺死者の小脳内プルキンエ細胞の神経突起)」 (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

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「Tumor cells of the covering membranes of the brain (脳を覆う膜にできた腫瘍の細胞)」(1890) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

カハールは近代神経解剖学の父とも呼ばれ、その業績はダーウィンやパスツールと並び称される存在であり、1906年にはノーベル医学・生理学賞を受賞している。

神経系を構成する神経細胞(ニューロン)は独立した単位であり、個々の細胞の接合部(シナプス)の間には隙間があるとする、今日では正しいことが確認されたニューロン説を唱え、その発見のもとになったのが、光学顕微鏡を使い脳内の神経系の組織を細部まで入念に観察した結果を写したスケッチだった。

アート作品に匹敵するダイナミズム

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「the dorsal root ganglion (後根神経節)」(1904) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

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「Glial cells of the cerebral cortex of a child(小児の大脳皮質のグリア細胞)」(1904) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

特殊な染色法で染め出した人間や動物の神経細胞を、顕微鏡のレンズを通して見たままに、フリーハンドで正確に描いていくカハールの筆致は、類まれな才能を感じさせる。しなやかな線や丁寧な塗り、さまざまなタッチの点描など、細やかな技術を駆使したドローイングは優美さと同時に生き生きとした活力をあわせもち、観察記録という役割を超えて、それ自体がグラフィックとして強い印象を与えるものだ。シュールレアリストの作品に相通じるセンスさえうかがわれ、思わず羨んでしまうアーティストも少なくないだろう。

しかも、そこに描かれているのは、いまの世の人々にとっては簡単に見ることが可能になった生物の神経系内部であり、ミステリアスでありながら、どこか懐かしい感覚を抱かせるのは、生命への思いを呼び覚ますからに違いない。

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「Retina of lizard(トカゲの網膜)」(1911) (Cajal Institute, Madrid via The New York Times)

今回の展覧会では1890年から1933年にかけて描かれたスケッチが80点、錐体ニューロン図のようなシンプルなものから、網膜の細胞を描いた緻密なマスターピースまで、4つのテーマ別に展示されている。最後に設けられた「現代の脳神経解剖図」コーナーでは、カハールのドローイングを、最新の電子顕微鏡で撮影した同じ神経細胞部位の画像と並列させる試みもあり、興味深い。

※「The Beautiful Brain: The Drawings of Santiago Ramón y Cajal」展は、マンハッタンにあるニューヨーク大学グレイ・アートギャラリーで3月31日まで開催中 。

©2018 The New York Times News Service [原文:A Deep Dive Into the Brain, Hand-Drawn by the Father of Neuroscience/執筆: Roberta Smith](抄訳:十河亜矢子)

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