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ワークライフバランスと成果、どちらも得るには? 働き方先進国デンマーク#2

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年に6週間の有給休暇は、毎年すべて消化。夏はそのうちの3週間を使って、長い夏休みに。平日も忙しい時期を除けば、たいてい午後3時か4時には仕事を終えるけれど、仕事の状況によっては上司や同僚に気兼ねすることなく時短勤務や在宅勤務ができる。

年に3週間足らずの有休でも使いきれない私たちには、あまり現実味のない理想の世界に見えるが、デンマークではごくふつうの会社員の働き方だ。

しかし社員が皆こんなに長く休暇をとり、てんでバラバラに自分の望む時間や場所で働いていたら、管理職は大変ではないだろうか? 部下や自分の人間らしい生活を確保することと、仕事の期限や質を守り、利益を上げることを両立させなくてはならないのだから。

ゆったりした生活も大事、経済力も大事

実はデンマークには世界的な企業が多い。レゴもカールスバーグも、ロイヤルコペンハーゲンもイルムスもこの国生まれ。仕事よりプライベートが大事だからお金はいらないと諦めているのではなく、ワークライフバランスと経済力を両立させてきた国なのだ。

前回にも登場した、インシュリンの生産量で世界トップのシェアをもつ製薬会社ノボ ノルディスクもデンマークを代表する企業の一つ。この会社で数十人の部下を率いて働くヤコブ・ヒュレステッド・ヴィネさんは言う。

「僕は、上司の役割は『部下がどれだけの時間働いているか』とか『在宅でも本当に仕事をしているかどうか』を管理することではなく、部下が最も効率よく働けるフレキシビリティを提供することだと思っています」

この背景には、上司と部下の信頼がある。「どんな働き方が最も生産性が高いかは本人が一番よく知っている」と部下を信頼していなかったら、上司は働き方を各自に委ねられない。また、部下が「目の前で長時間働いているか否かに関わらず、上司は成果で評価してくれる」と信頼していなければ、もし裁量を与えられても柔軟な働き方はできないだろう。

働き過ぎを止めるのも上司の仕事

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しかし、若い社員にもまったく同じように柔軟な働き方を認めているのだろうか。どれぐらい働けば決められた成果が出せるかわからず、さぼり過ぎてしまったりすることはないのだろうか? 財務部門で管理職として働くマリン・リンドストロム・バレンティンさんからは意外な答えが戻ってきた。

「むしろ、責任ある仕事を任されたやる気のある若い社員が働き過ぎてしまうことはありますね」

なるほど、成果で評価されるからこそ、効率よく働くことに加えて長時間働けばより多くの成果が出せ、高い評価が得られるという彼らの考え方は筋が通っている。

「でも、全速力で長距離を走ろうとしたら誰だって途中で倒れてしまいます。とはいえ、本人にやる気があればあるほど、バランスを取りながら働くのは難しいもの。そのような社員がいたら、しっかり話しあって、いいバランスを見つけられるようにサポートすることが管理職である私の重要な仕事だと思っています」

仕事が終わらないのは、休まないから

それに、無理のないペースでも、休まずにずっと働き続けたら生産性は低下するとヤコブさんは言う。

「日本支社で働いていたころ、よく『仕事が終わらないから長い休みはとれない』と人々が言うのを耳にしました。でも話は逆で、休まないから仕事が終わらなくなるのではないかと僕は思うんです。ひたすら働いてなんとかしようとすると、仕事の優先順位づけや取捨選択がどうしても甘くなってしまう。それは効率的ではないですよね。だから僕は、休もうとしない部下がいたら『休みをとりなさい。仕事のことは忘れて、リラックスしてきなさい』と言うようにしています」

つまり、長い休暇や柔軟な働き方を認めるのは、社員の人間らしい生活を尊重するためであるのと同時に、長期にわたって高い生産性を発揮してもらうためでもある、ということらしい。

社員の誰もが人間らしい生活を営む権利がある。しかし権利だけを求めていては、会社も個人も生計が成り立たない。

理想の働き方をやみくもに求めるのではなく、といって諦めるのでもなく、理想を現実にとりこむにはどうしたらいいかと知恵を絞るのがデンマークの人々なのだろう。

日本の働き方改革はまだ始まったばかり。残業をなくせ、しかし業績は落とすなという会社からの要請に管理職が板挟みになることも多い。「世界一幸せな国」と呼ばれるデンマークが培ってきた働き方は、日本の管理職にもヒントを与えてくれるかもしれない。

取材・文/江口絵理、取材協力/ノボ ノルディスク 、 Photo by Shutterstock

Writing by江口絵理

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