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ポピーって知ってる? アンドロイドがアイドルになる時代 [The New York Times]

The New York Times

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(Cari Vander Yacht via The New York Times)

米国の若者向けテレビチャンネルMTVの音楽番組「TRL」は先日、人気急上昇中のアイドル、ポピーをゲストに迎えた。ホログラムでできた完璧な肌、日本の女子高生のようなアヴァンギャルドな服装、そしてベンゾジアゼピン(向精神薬)を飲んだベティ・ブープような声がポピーの特徴だ。

番組中、ポピーはほとんど何も喋らずソファに腰かけ、ガラステーブルの上にキャンディを几帳面に積み上げていた。彼女と一緒に登場したのは、ロングヘアの“トレーナー”タイタニック・シンクレアだ。彼は、「ポピーが故障しないよう、見守るために来た」と説明した。

ポピーは難しいインタビューもできることを証明した。グラミー賞についてどう思うかと質問されると、「う~ん、あまり覚えていないの」と小鳥のような声で答えた。その後、美しいたまごの黄身のような色の衣装に着替え、「Bleach Blonde Baby(ビーチ・ブロンド・ベイビー)」を熱唱。この歌詞には、彼女が化粧やマニキュア・ペディキュアをして完璧に着飾った状態で誕生した様子が描かれている。

YouTubeから誕生したアンドロイド・アイドル

簡単にまとめると、ポピーとはアンドロイドのポップスターだ。彼女が初めて公に姿を現したのは、2014年に公開されたYouTube動画だった。ポピーがひたすら綿菓子を食べ続けるだけの動画で、効果音として食べる音もついている。話す時には、チャットボットによる限られたセリフのみを披露していた。

動画『Hey YouTube(ヘイ、ユーチューブ)』では、「What’s up, guys?(みんな、調子はどう?)」や「Hey YouTube!(ヘイ、ユーチューブ!)」などvlogger (ヴロガー、ヴイロガー/ビデオブロガー)らしい挨拶を、その本来の意味が失われるまで何度も何度も繰り返していた。『I am empowered(私はエンパワーされました)』においても、ポピーは嬉しそうな様子で「ハイクオリティなコンテンツを製作した時、エンパワーされたと感じます」と何度も繰り返した。

ポピーのYouTube動画の再生回数は、2億5700万回以上。今、彼女のペルソナはカルチャー全体に浸透しつつある。テレビ番組「トゥデイ」、タイムズ・スクエアのビルボード、そしてコメディ専門テレビ局「コメディ・セントラル」の「スナップチャット」シリーズへの登場。さらに、サンリオとの提携まで実現させた。現在は全米コンサートツアーの真っ最中で、YouTubeの有料サービス「YouTube Red」によるウェブ番組「アイム・ポピー」にも出演している。

ポピーのコメントはたどたどしくぎこちないところがあるが、彼女の背後にいる女性、23歳のモリア・ペレイラのパフォーマンスには不気味な魅力的がある。ちなみに、彼女のクリエイター/トレーナー/ディレクターであるタイタニック・シンクレアは、コレイ・ミクスターという30歳の男性が演じている。

ポピーの声には、まるでASMR(自律感覚絶頂反応)動画(注: 観ているだけで心地良い気分になれる動画のことを指す)のような癒し効果がある。また、次の言葉を発するまでの間ポピーの動きがフリーズする様子は、まるで新しいダイアログ・プログラムをダウンロードしながらその対話内容に合う表情を調整しているようで不気味だ。

CGIインスタグラマー、リル・ミケーラ

もしもポピーがロボットのように振る舞う人間だとしたら、Lil Miquela(リル・ミケーラ)は人間のようなポーズをとるCGI作品だ。彼女は、コンピューター・アニメーションでできたインスタグラマーで、現実世界の風景や生身の人間と一緒に映っている。さらに、彼女が着ている洋服は実際に店舗で購入できるものだ。ぽってりとしたマットな唇、濃い眉毛、バービーのような滑らかな肌にほんの少し散らばっているそばかす……彼女は、まるでインスタグラム上の“美のスタンダード”を誇張したような見た目をしている。

彼女の声を音程補正ソフトウェア「Auto-Tune(オート・チューン)」で加工したクラブ風の曲をリリースするなど、副業もスタート。そして、ミケーラはソーシャルメディア上における表現の信ぴょう性について警鐘を鳴らすことがある。彼女は時々、CGでできている自分の顔をさらにビューティー・アプリで加工してみせるのだ。あまり多くを語らない彼女だが、YouTubeに投稿されたある貴重な電話インタビューには、ミケーラを名乗る女性が登場する。その“フェイクぶり”について質問を受けた時、彼女はこんな挑発的な言葉で質問をかわしていた。 「インスタグラムに投稿する自分の写真をデジタル加工しない女性の名前をひとり挙げてみてくれる?」

人間のスターがアンドロイドを真似る時代

女性型アンドロイド(ガイノイド)は、インターネット上のスターに似せてデザインされている。しかし、インターネット上のスターもまた、女性型アンドロイドに似せようとしている。カイリー・ジェンナーの例を見てみよう。彼女は、フォロワー数1億人を誇るトップ・インスタグラマーのひとりだ。自らが美を体現しつつ、さらに大人気ブランド「カイリー・コスメティックス」の販売も行うことで、彼女はインスタグラム上の美の頂点に君臨している。

注射でふっくらとさせた唇、焼けた肌、パッチリした目、彫刻のような顔立ち……ジェンナーの外見の変遷をまとめたイメージ・ギャラリーを順番に見ていくと、明らかにアップグレードされているのがわかる。ウィッグが好きなジェンナーは、頻繁に髪の色を変えている。それはまるで、フォトショップで簡単に加工できる技術や、何度でも改造できる物体を連想させる。

Kylieさん(@kyliejenner)がシェアした投稿 -

ジェンナーのもうひとつの大きな特徴は、“無感情”だ。彼女が投稿する無限ループの動画の内容は、毛皮をなでる綺麗にマニキュアを塗った指、ラメアイシャドウを塗った半開きの目などで、どれもアニマトロニック(ロボットが自然な動きをすること)な印象だ。

ジェンナーは2015年に雑誌「インタビュー」の表紙を飾ったことがあった。ラテックス製のボンテージ・コスチュームに身を包んだ彼女は、木製の輸送コンテナに入れられたり、男性の腕に抱き抱えられた状態で遠くを見つめていた。当時同誌のシニア・エディターだったクリス・ウォレスは、ジェンナーのことを「陽気なセックス・ドールみたい」と表現していた。

もし女性アンドロイドが自分の心を持ったら

AIの研究分野では、本物に近いロボットを作ろうと熱心に取り組んでいる。しかし、女性型アンドロイドの場合は、肉体的にはパーフェクトだが、感情的には欠陥のある製品を作ることにこだわっている。この場合の欠陥は、バグではなく特徴なのだ。

セックス・ロボットについて、ツイッター上で広まっているインターネット・ミームがある。もしもドールが人間のような感情を持ったとしたら、彼女は持ち主を批判し始めるか、自分たちの関係について問いただすようになるだろう。その時は、リセットボタンを押すかドールの電源を切るしかない。

『her/世界でひとつの彼女』『エクス・マキナ』『ウエストワールド』などの作品には、理想的な女性アンドロイドが登場する。だが、もしも彼女たちが心を持つようになったら、物語は悪夢に変わってしまうだろう。しかし、私たちのサイボーグ・ネットアイドルは、救済のシナリオもないままインターネットの海を漂っている。ポピーやカイリー・ジェンナーのフォロワーは、彼女たちの誕生の謎にも熱狂しているのかもしれない。たとえば、「ポピーのプロジェクトを作ったのは誰?」「ジェンナーはどんな美容外科手術を受けたの?」「どんなフィルターを使っているの?」などだ。

「アイム・ポピー」のパイロット版の中では、あるハリウッド関係者が「彼女はどこからきたの? 彼女と一緒にいるのは誰?」と尋ねた。この質問に対する回答は避けられたが、ポピーのフォロワー数が5000万人と聞くと、すかさず「彼女はパーフェクトだ」。フォロワー数こそが、スターの存在価値を決める時代なのだ。

© 2018 The New York Times News Service[原文:The Rise of the Social Media Fembot/執筆:Amanda Hess](抄訳:吉野潤子)

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