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女王様に学べ。職場の主従関係を反転させるテクニック [The New York Times]

The New York Times

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Image via Gettyimages

「もう戻ってきたの? この前お仕置きをしたばかりでしょ。図々しい」

禿頭の男性をなじる、革のブーツの女性。

ステージ上をカツカツ歩くケイシア・ウルバニアックさんを見上げるのは銀行員やマーケティング・ディレクターなど130人ものキャリア女性たち。マンハッタンの講演会場に集まった彼女らは、熱心にメモを取り、ロール・プレーイング希望者の呼びかけに積極的に手を挙げていた。

ニューヨークを拠点に、17年間プロのSMの女王として活動してきたウルバニアックさん(39)は現在「アカデミー」という女性向けの講座で、困った男性との接し方を教えている。手ほどきをするのは、ムチではなくて言葉の使い方だ。セックス絡みに限らず、あらゆる状況で使えるトーク術を身につけ、立場を利用して理不尽を通そうとする男性に負けない力を養うのが目的だ。

状況に流されない察知力と質問力

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(Illustration by Tracy Ma/The New York Times)

航空宇宙関連企業で営業職についているハンナ・クビアクさん(46)は、職場で悔しい思いをした女性のひとりだ。粘り強い交渉の末、やっと取り付けた大口顧客との取引。いざ契約成立というタイミングで上司にランチの予約をするように言われ、契約書のサインの時に同席できなかったという。

命令や際どい言動に対し、女性は返す言葉を見つけられず固まってしまうことがある。ウルバニアックさんは、そういう時には直に答えたり、黙り込んだりするのではなく、相手になぜそう言うのか問い返すことを勧めている。帰ってきた答えに対してさらに質問を重ねるのがコツだという。

関係ない話題で煙に巻いてみてもいい。優しさとキツさのトーンを使い分け、相手の反応を探るのは楽しいと言うウルバニアックさん。「真意を問いただすことで、攻めの姿勢に入れます」。

とはいえ、機敏に反応するのは簡単ではない。講座の参加者とはこんなやり取りもあった。

「私はこの講座に参加するたびに……」

「いつも固まってしまうことを思い出して、恥ずかしくなる?」

「そうなんです!」

「ほら、今の。そうやって素直に反応するのをこらえなきゃ」

異色の講座は高額でも人気

ウルバニアックさんがアカデミーを設立したのは2014年。協同運営者のルーベン・フローレスさんは災害の被災地や戦場などに医療ボランティアを送るNPO、NYC Medics出身だ。講座ではSMだけでなく、武道、カリスマ・ドッグトレーナーの調教術、人質解放スペシャリストの交渉術も取り入れている。

一般的な企業のセクハラ防止研修とはまったく違う。実際、パワーポイントやビデオなどで訴訟の危険性やコストなどを見せる企業研修が、セクハラ防止にどこまで効果があるのか疑問視する研究もある。アメリカの独立行政機関である雇用機会均等委員会は2016年に発表した報告書のなかで、座学だけでなくロール・プレーイングなどを取り入れたトレーニングを増やすことを勧めている

企業に研修プログラムを提供するClear Law Instituteによると、アメリカ企業が一人の従業員に対してかけるセクハラ防止教育の平均額は15から40ドルだそうだ。アカデミーが提供する次回のウィークエンド講習は一人2,200ドルもするが、すでに席は埋まっている。土日3回分の講習とオンライン学習を合わせたコースは8,500ドルだという。

カナダのトロントに拠点を置くプロのSMの女王のスー・ストームさんは、「高校の必修科目にすべきだとすら思う」と、ニューヨークの同業者が立ち上げた教育プログラムを高く評価している。だが、妄想の実現のためならいくらでも払えるエリート男性を相手にしているわけではないので、値段設定を見直せないかと疑問も呈している。

アカデミーの最安の講座は「ハーヴェイを追い込め」という3時間のコースで、45ドル。現在同内容のオンライン講座も開発中だそうだ。

内面に気持ちが向いている方が「従者」

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(Illustration by Tracy Ma/The New York Times)

権力が絡む職場での駆け引きに、SMの心理的な技術を応用することは理にかなっているかもしれない。従来の社会規範は女性には従順さを、男性には力強さを求めてきた。弱さを見せることを許されない男性もまた、苦しんできた。トロントのストーンさんによると、男性はその抑圧を逃れるために女王様のもとに来るのだそうだ。

匿名希望の39歳の投資銀行の役員は「女王様のクラスに通ってることがバレたら同僚に笑われる」としながらも、効果を実感していると語ってくれた。「色目を使われた場合、昔なら不快に思いつつやり過ごしていましたが、今なら『悲しそうな目をしてどうしたの?』とでも言って空気を変えられます」。

アカデミーの辞書では、「あなた」という言葉は主従関係の「主」で「私」という言葉は「従」だ。誰がどの役割なのかは最初から決まっているわけではない。

「状況をコントロールしている側の関心は、相手という外部に向かっていて、自分という存在のことはあまり頭にありません」と、ウルバニアックさんは言う。従者の側は逆に「自分の内面や感情に気持ちが向いている」そうだ。

ウルバニアックさんいわく、言葉の使い方や場の空気の作り方で主従関係は変わり得るし、社会的なヒエラルキーとは別の文脈で力を掌握することは可能だとのこと。

前出の、手柄を上司に持って行かれた営業職のクビアクさん。航空宇宙関連業界で働いているだけに、アカデミーで伝授されたテクニックを褒める時の視点も宇宙規模だ。主従関係の機微を感知し、かつ、その関係を固定させないことは、宇宙船などの狭いスペースで人が長時間一緒に過ごすときに重要になってくると言う。

ランチの予約をせよという上司の命令に「同席したいのですが」と正直すぎる受け答えをして、失敗した彼女。練習を積んだ今、もう一度やり直せるとしたら?

「質問攻めにしてやるわ」

© 2018 The New York Times News Service [原文:Here’s How to Deal With Men (Thwack!)/執筆:Alice Hines](抄訳:Tom N.)

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