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愛と豊穣の日バレンタインデーの起源は「古代ローマの合コン」 [The New York Times]

The New York Times

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Photo by Gettyimages

今年もやって来るバレンタインデー。ディナーテーブルにキャンドルを灯し、チョコレートが入ったハート型の箱を渡す、なんてスイートな夜を過ごす人(たとえコンビニで慌てて調達したにしても)もいれば、一人ワインを傾けながらロマンティック・コメディーの名作でも観て過ごそうかなという人もいるかも。現在、パートナーがいるかどうかによっても過ごし方は色々だけど、バレンタインデーが一大イベントであることは確かです。

ところで、バレンタインデーってどこから来たの? 私たちはなぜバレンタインデーをそんなに気にするの? というのは実は長年の謎なのです。古いニューヨーク・タイムズをめくると、なんと1853年の記事でもバレンタインデーの由来について「決して解かれないことを運命づけられた、古くからあるミステリアスな問い」と書かれています。

21世紀に入っても、バレンタインデーの起源は謎のまま。古代ローマから現代まで、この日にまつわる諸説を見てみると……。

古代ローマの男女、ワイン片手に大はしゃぎ?

バレンタインデーの由来について最も有名なのは古代ローマの祭り、「ルペルカリア祭」が起源だという説。豊穣を願ってワインを飲みつつ騒ぐ男女の出会いの場だったとか。

何世紀にも渡って2月中旬に行われていたルペルカリア祭は、ローマ帝国の信仰が多神教からキリスト教へと変化する中、キリスト教の聖人バレンタイン(聖ウァレンティヌス)をたたえる祭りとなりました。

ただし、5世紀にローマ教皇ゲラシウス1世がキリスト教の祝日とするまでは、ヌードも飛び出すどんちゃん騒ぎだったと、エール大学の歴史学者ノエル・レンスキー氏は解説しています。「元々は酒盛りの要素が強かったところに、キリスト教の色合いが加わった。それでも、愛と豊穣の日であることは変わらなかったのです」

命令に背いて愛をつないだ聖バレンタイン

聖バレンタインの人生については、あまり確かな情報がありません。英紙タイムズは1923年の記事で、実は同じバレンタインという名の2人の聖人を合わせてできた創作キャラクターだという説を載せています。

人気がある説は、1965年にボストングローブ紙が掲載したストーリー。ローマ皇帝クラウディウスは兵士たちが結婚することを禁じましたが、キリスト教の司祭だったバレンタインは命令に背いて密かに結婚式をとりおこなったため、捕われた末に処刑されてしまいます。

ローマの男たちはこの日を聖バレンタインを悼む日とし、未婚の女性たちの名前を書いた札を壺の中に入れ、それを引くという習慣が始まったといいます。この習慣はドイツやイングランドへ広まり、長年続いたそうです。

中世イングランド詩人がうたった「早春」

中世イングランドの詩人、ジェフリー・チョーサーこそが、聖バレンタイン像を生み出した張本人だという説もあります。1981年に「聖バレンタインとチョーサー、2月の春」という論文を発表した米カンザス大学の英文学者、故ジャック・B・オルチ教授の主張です。

聖バレンタインとロマンティックな伝統が結びつけられている記録は、14世紀にチョーサーが書いた2篇の詩、「鳥たちの集い」と「軍神マルスの嘆き」までなかったとオルチ氏は述べています。

チョーサーが2月14日の聖人であるバレンタインとロマンスを結びつけたのは、単に便利だったからかもしれません。オルチ氏によれば14世紀の英国人は、鳥がつがいとなり草花が咲き始める春の始まりはこの日だと考えていました。

おまけに当時のヨーロッパで「バレンタイン」は響きが良い名だと考えられていたこともあるかもしれません。2月中旬の聖人といえば、聖スコラスティカ、聖アウストレベルタ、聖エウラリア、聖エルメンヒルデなど、あまり詩的にグッとこない名前ばかり。

でもオウチ氏は、中世の詩人チョーサーの創作説で、ロマンティックな古代ローマ説に挑戦するのは難しいと悟っていました。「バレンタインデーに関する記事は毎年、同じ神話を繰り返し語るものなんだ」と言い残しています。

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Photo by Shutterstock

春の目覚めを待つ、眠れる「恋の脳」

起源はどうあれ、この時期、必ず話題に上るバレンタインデー。人間の性行動の進化について研究している米ラトガース大学のヘレン・フィッシャー氏は、人によってはバレンタインデーが大きなストレスにもなり得ると言います。「それはバレンタインデーが、求愛をつかさどる脳の原始的な部分に響く、深く特別な意味を持った夜だからです」

フィッシャー氏の専門は自然人類学。恋愛で盛り上がっているときと、ふられたばかりのときの脳をスキャナーを使って調査する研究も行っています。

フィッシャー氏によれば、人が愛を必要とすることは古代ローマよりもずっと前、「数百年前から進化してきた基本的な脳のシステム」だと言います。特に独り身であれば「バレンタインデーは自己評価の時であり、自分の置かれている状況を評価する時。自分が手にしているもの、手にしていないものについてじっくり思案する日なのです」

米国人のバレンタイン予算、1人平均1万5000円

一方、バレンタインデーは出費の多い日でもあります。全米小売業協会によると、2017年のバレンタインデーに米国人が使った額は推計182億ドル(約2億円)、1人当たりにして平均136.57ドル(約1万5000円)でした。

使い道はスイーツや花束、カード、高級なディナーなどで大半は恋愛相手のためでしたが、友人や同僚、クラスメート、中にはペットのためにも相当の額が使われていました。この傾向についてフィッシャー氏は、バレンタインデーが恋する者たちを祝福するロマンティックな日から「みんなのイベント」に変化し、さまざまな種類の親愛の情や好意が示されるようになった結果だと言います。

バレンタインの日、あなたの相手がペットのネコだけだったら? フィッシャー氏は、誰にでも相手はいるはず、と言います。「脳のシステムは『眠れるネコ』のようなもの。つまり、いつでも目覚めることができます。ただ、そこから抜け出すだけでいいのです」

©2017 The New York Times News Service[原文:Valentine’s Day: Did It Start as a Roman Party or to Celebrate an Execution?/執筆:Liam Stack](抄訳:Tomoko.A)

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