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他人ごとじゃない介護離職。親が倒れたらどうすればよい?

仕事の本棚

ある日突然、親が倒れて介護が始まる……。私たちも世代的に無縁の話ではありません。親のことは自分が何とかしなくてはならないと負担を抱え込むことは、自らを追い込んでしまう可能性を含んでいるようです。

介護離職はなぜ避けるべきなのでしょうか? 酒井穣著『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』 より、仕事と介護を両立させて、介護離職をしないですむ考え方をご紹介します。

ひとつの依存先に隷属させてはいけない

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依存先が複数に分散されてはじめて、人間はより自分らしく生きることが可能になります。自立が進むと、やりたいことがあれば(それが合法である限り)誰にも遠慮する必要がなくなります。(中略)
実際に、優れた介護においては、要介護者は、この人がいないと死んでしまうという状態、すなわち特定の人への過度な依存が上手に避けられています。だからこそ要介護者であっても、何かに隷属することなく、自らの幸福を自分の意思で追及する自由が残されるのです(自己決定の原則)。これこそが「介護とは自立支援である」と言われる背景です。

4~5ページより引用

介護に限らず、自立とは、誰にも頼ることなく生きられる状態のことではないと著者はいいます。これが、人間を不幸にする決定的な誤解なのだとか。真の自立とは、その人の依存する先が複数に分散されていることであり、それによってひとつの依存先に隷属している状態から自分自身が自由であることを指すのだといいます。たしかに、それは生活全般やビジネスにおいても置き換えられる真理かもしれません。たとえば、夫婦や恋人との関係、会社との関係。ひとつだけの収入源、ひとつだけの取引先は、それを失うまいと依存先に対して交渉ができなくなり、言いなりにならざるをえない。自分で選択できない状態になってしまい、身動きがとれなくなってしまうということは、意外と身近によくある話です。

それが介護にも通じることであると、著者はいいます。自立とは依存先を増やしていくことであると理解すれば、「介護とは自立支援である」という定義がすんなりと納得できます。

仮に親の介護が必要な状態になった場合、子どもの側からすれば、「自分がやってあげたい」または「やるべきだ」と道義的にも思いがちです。しかし、それは言い換えれば、親が「子どもがいなければ生きていけない」という一人の隷属につながってしまうということ。大人として自立してきた親の幸福追求という観点でいえば、それは必ずしも正解ではないことが分かります。

介護離職のリスクを高める「3つの誤解」

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photo by Shutterstock

介護離職は誰にでも起こり得るリスクです。本書は、このリスクを下げるための指針を提示することを目的として執筆されています。ですから、介護の全体像の説明から入るのではなく、まずは介護離職のリスクを高めてしまう原因となっている「3つの誤解」について考察します。世間ではひとくくりにされがちなのですが、育児と介護は大きく異なるものです。育児の場合は、その前提として自分が育てられた経験があります。(中略)
しかし介護は、ある日いきなり、ほとんど無知の状態からはじまります。多くの場合、自分には過去に介護を受けた経験もないため、右も左もわかりません。

14ページより引用

国の施策などにおいても、「育児」と「介護」はひとくくりに表現されることが多くあります。しかし、「育児」と「介護」では、経験値という前提がそもそも違うのだとか。「育児」は自分自身に育てられたという経験があるため、それなりに知識を持って臨める。また、妊娠から出産までの間に本を読んだり、方針を考えていくことができる。しかし、介護の場合は、たとえば「あなたのお母さまが倒れました、これから緊急手術になります。手術が成功しても、身体には麻痺が残り、介護が必要になるかもしれません……」。自分の携帯にこんな電話がかかってきたその瞬間から急に始まるのだと著者はいいます。誰に連絡をして、どう行動して、仕事はどうするのか。未経験の状況の中で、怒涛の介護生活がスタートするとしたら、何が正解なのかもわからないのが実情でしょう。

仕事を辞めて介護に専念しよう、という介護離職の考え方には3つの誤解があると著者はいいます。

介護離職をしてもなんとかなる
介護離職をすれば負担が減る
子供が親の介護をすることがベスト

介護離職して再就職を試みた場合、1年以上収入が途絶え、年収も半減する可能性が高いといいます。また、介護離職をすると、逆に介護の負担が増えるのだとか。精神的・肉体的負担に加えて経済的負担のループが日増しに大きくなっていく。だからこそ、身体介護や家事を上手にプロの手に委ねれば、仕事と介護は両立できると著者はいいます。

この3つの誤解を認識しておくだけでも、まさかのときに適切な判断が下せそうです。

介護離職を避けるための具体的な方法

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これからの考察から、介護離職を避けるためには、まずは、介護離職の恐ろしさを理解することが大事だと言えます。ここを理解すれば、どうやって介護の負担を自分だけで抱え込むことなく、上手に分散するかということを考えていく必要性が明確になると思います。ここで大切になることは、ビジネスを進めるときとまったく同じです。それは「何を目的として、誰に、何をお願いするのか」を明らかにしていくということです。とはいえ、特に負担の大きい介護の初期の段階では、どうしても基本的な知識の勉強が追い付かず、上手に考えることができません。

70~71ページより引用

日本の社会福祉は、知らないと損をするようになっていると著者はいいます。たとえば、40歳以上になると介護保険に加入していますが、介護が必要になった場合には、それを利用することができます。介護サービスの利用は、実際にかかる費用の1割が自己負担で、残りは保険がカバーしてくれる仕組みになっているのだとか。それすらも、よく考えるとはっきりとどこかで教えられたことがないものです。介護の負担を減らすには、介護保険のフル活用が必要ですが、介護サービスについての知識がないと、そこに考えが及ばないというものです。ましてや、介護初期の段階では、情報がほとんどないため、すべてを一人でしなくてはならないと暗澹とした地獄を見るような感覚になってしまうようです。

それを避けるためには、まず優秀な介護のプロに早く会うことが大事だと著者はいいます。介護関連の人脈を持っておくことで、適切な情報を得ることができるからです。そのプロとどこでどう出会えばよいかというと、家族会に参加することを著者は薦めています。在宅介護をしていくことは、介護者の抑うつ状態を引き起こすことにもつながりやすいのだとか。家族会でプロの人脈に出会い、負担の分かち合いをしていくことに大きな収穫があるようです。

他人事ではない介護との向き合い方。新しい知識と情報をしっかり手に入れながら、心構えを常に持つことで、その行動は大きく違ってくるといえそうです。

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

著者: 酒井穣
発行: ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価:1,400円(税別)

photo by Getty Images, Shutterstock

ナカセコ エミコ

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