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スマートフォンの通知音がする。メールか、インスタグラムの投稿か、ツイートか。どこからともなくデジタル情報が入ってきた。一瞬のハイをもたらしてくれるものが、すぐそこに届いている。そう、ただ見さえすればいい。
でも、試しに我慢してみたら、どれくらいもつだろう?
1分? それとも2分? そんなにもったとしても、どんな気持ちになっているだろう? 他のことに集中できるだろうか? 逃した機会のことを考えていないだろうか? 欲求に負けたら、自分のことをどう思う? (いずれ見ることは分かっている。1日に何度もそうしているのだから)。
フェイスブックの元幹部も指摘し始めた
デジタル依存症はセンセーショナルに取り上げられる類の社会問題としてずっと存在してきた。ところが最近になって、新たに独善的な論調で語られるようになった。 興味深いのは、誰が問題提起しているかだ。フェイスブックの元幹部数名は、デジタル端末にうつつを抜かすわたしたちの社会に警鐘を鳴らし始めた。彼らは、デジタル中毒を生み、ネット上の活動を操る、「いいね!」の仕組みを設計した張本人なのに。
彼らの心配は人ごととは思えない。今や誰もがスマートフォンを所有し、常に画面を見ている。わたしたちの脳が不健全なほどまでにスマートフォンに束縛されている可能性をどうして否定できるだろうか。
「子どもの脳にどんな影響を与えているのかは誰にも分からない」
2017年11月、ビジネス情報サイト「Axios」のインタビューで、フェイスブックの初代社長、ショーン・パーカーは、煙草を形容するような表現でフェイスブックを始めとするSNSアプリをこき下ろした。「社会的証明のフィードバックループが出来上がっている。SNSアプリは人間の心の中毒経路に働きかけるように設計された商品だ。子どもの脳にどんな影響を与えているかは誰にも分からない」。パーカーに同調する声は他にもある。
機関投資家を含め、続々と上がる懸念の声
フェイスブックの世界的成長を指揮した元幹部であり、ベンチャー・キャピタリストのチャマス・パリハピティヤは2017年12月にスタンフォード大学経営大学院で「SNSに見られる、短期的でドーパミンの分泌によって駆り立てられるようなフィードバックのループが社会を壊している」と語った。
イギリスの日刊紙ザ・ガーディアンもフェイスブックの元社員数名に取材し、フェイスブックのアプリに自分が操られるようになるのが怖いからソーシャルメディアの使用を断ちたい、という彼らの声を記事にした。
ウォール街すら意見するようになった。2018年1月に大手機関投資家の2組織が、アップルに対し2つの行動を求めた。具体的には、製品の健康上の影響を調査することと、子どもの端末使用を制限しやすくすることだ。
スマホの存在を忘れることができない
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危機論者の意見が正しいかどうかは科学的に検証するしかないが、スマートフォンの中毒的な影響力を実際に示す研究はいくつかある。 2017年6月にテキサス大学の研究チームが発表した研究では、認知機能の集中が問われる一連のテストを用意した。スマートフォンをサイレントモードにして側に置いていた人のテスト結果は、スマートフォンを別の部屋に預けていた人よりかなり下回った。つまり、スマートフォンが近くにある限り、その存在を完全に忘れることはできないということだ。
制度的な対策は存在しない
より大きな問題は、どんな対策をとるかだ。ユーザーがアプリの虜にならないようにする法律はほとんど存在しないし、ユーザーをのめり込ませるためのソフトウェア的工夫を倫理的理由から自粛するようにする本気の自主規制などIT業界には存在しない。むしろ、IT企業の多くにとって、いかにユーザーをスクリーンにくぎづけにするかが勝負だ。
仕掛けを作った設計者たちが突如としてその危険性に気づいたのは、結構なことに違いない。ただ、スマートフォンを手放さない限り、(または無理だろうが、自主的に脱スマートフォン依存症計画をしっかり遂行しない限り)わたしたちはめちゃくちゃになってしまうかもしれない。
© 2018 New York Times News Service [原文:Even the Tech Elite Are Worrying About Tech Addiction/執筆:Farhad Manjoo](翻訳:Ikuyo. W)
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