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「俺はクジラだ!」ビットコインで調子に乗りすぎた男たち [The New York Times]

The New York Times

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photo via shutterstock

投資対象や決済ツールとして、ますます注目を集める、仮想通貨やその関連ビジネス。しかし、今年に入ってから、その関連で、女性が思わず眉をひそめたくなるニュースが相次いで報道された。

まず、1月下旬。仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーン技術により、果物や野菜など農作物に革命を起こすとして、投資を募ったProdeumというスタートアップが突然姿をくらました。閉鎖されたウェブサイトには、「ペニス(penis)」のテキスト文字だけが残されていた。

仮想通貨による資金調達である「イニシャル・コイン・オファリング(またはI.C.O.)」を先日行った、出会い系仮想通貨のDateCoin社。投資家を募集するためにフェイスブックに掲載した広告には、水着姿でソファに横たわった女性のイメージ写真が「タッチ・マイI.C.O.(私のI.C.O.に触れて)」というメッセージとともに掲載された。

1月半ばに米フロリダ州マイアミで、毎年恒例の仮想通貨ビットコインの会議「北米ビットコイン・カンファレンス」が開催され、18日で延べ5,000人が参加した。ハイライトのプレゼンテーションでは、招待された87の講演者枠のうち84枠が男性スピーカーに割り当てられた。また、会議後に主催者側がパーティ会場に用意したのは、マイアミのストリップクラブであった。

ブロックチェーン・ブラザーズの台頭

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女性投資家は全体のわずか4〜6%に過ぎない。 (Abbey Lossing/The New York Times)

仮想通貨といわゆる「デジタル台帳」としてその記録・管理を司る、ブロックチェーン技術は、国家や各国の中央銀行などの既存権力に支配されないユートピアづくりという崇高な理想に押され、民主化や均等化を推進する勢力になるという期待の下、誕生した。

しかし、仮想通貨市場に早々乗り込んだ女性たちは、すでにこの業界に、明らかな男女比のアンバランスが生じている様子を目の当たりにしている。しかも、この不均衡は、最近、「ブロックチェーン・ブラザーズ」とも揶揄される、潤沢な資金を手に投機に乗り込んできた男性投資家が急増したことで、偏りに一層拍車がかかっているという。

仮想通貨は産業としても市場としても、ようやく芽を出し始めたばかり。それなのにすでに、ジェンダー・バランスの点では、他のテクノロジー産業と同じ運命をたどる危機にさらされているようだ。つまり、この業界でも決定的に、女性はマイノリティになってしまう可能性がある。

調査によれば、現在、ブロックチェーン関連の投資家のうち女性が占める割合は、たったの4~6%に過ぎない。この不均衡はゆゆしき問題だ。なぜなら、まだ黎明期にある産業では、大儲けは多くの場合、市場成長の初期段階で得られるからだ。そこでの勝ち組が、次にどの企業に投資するか、次にどんなビジネスを構築するかを決定する権利を手にし、その後の収益連鎖をスタートさせる資格を得るのだ。

警鐘を鳴らし始めた女性リーダー

このような市場成長の初期段階に参入を果たした女性投資家や起業家らが、今、警鐘を鳴らし、反撃を開始している。

女性たちよ、仮想通貨を検討せよ! さもなければ、男どもにまた儲けを総取りされる」と、ベンチャー・キャピタリストのアレクシア・ボナトスは最近ツイートした。

仮想通貨の業界にも、イベントやクラブ、カンファレンスなどを開催し、女性に積極的にアピールを試みる動きもある。ボナトスは、2 月にサンフランシスコで開催された、そうしたイベントの一つでプレゼンテーションした。

ニューヨークでは同じく2月に、投資のスタートアップ、Future Perfect Ventures社の女性創業者、ジャラク・ ジョバンプトラをはじめ、ブロックチェーン技術の開発者らが集結し、業界のジェンダー問題について協議した。彼らは、「コレクティブ・フューチャー」と名付けたブロックチェーンのダイバーシティ(多様性)推進を目的とするグループを立ち上げ、仮想通貨を手がける企業を対象に、ダイバーシティ促進に向けた積極的な取り組みについての確約を取り付ける計画を発表した。

「市場の初期は、業界カルチャーを方向付けし、意思決定の関与者を決める、大事な時期です」とジョバンプトラは言う。彼女は、eBayやアマゾンに投資したベンチャー・キャピタリストらの名を挙げ、彼らがその次に投資した先はどこであったか企業名を並べた。

自分に参加資格はあるか、と考えてしまう女性

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女性を対象に仮想通貨の業界をアピールするイベントに列を作る女性参加者。世の中の不均衡を正す一大勢力となることを目指してはじまった、仮想通貨やその基幹技術のブロックチェーン。しかし、その世界では、女性にとって不利な状況がすでに形成されつつある。2018年2 月5 日、サンフランシスコで撮影。(Laura Morton/The New York Times)

仮想通貨に早くから投資するアリアンナ・シンプソンは、仮想通貨への投資経験のない、男性投資家の関心が急激に高まっている現象を見て、女性たちは、この生態系で繁栄するのに専門知識や学位は必要なかったという事実を思い出さなければならない、と言う。「女性は、その資格が自分にはあるのかしらと必ず考え、躊躇してしまいます。でも、見てください。あなたの周りにいる、あの役立たずどもを」

こうしたイベントに対する受け手の反応は良好で、女性リーダーたちの励みになっているという。シリコンバレーの女性起業家、ブリット・モリンが最近開催した、女性向けのブロックチェーンのイベントのチケットは1時間足らずで完売した。そのため、次回はさらに広い会場を選んだが、500席全席がやはり完売。そこで、イベントをライブ配信することにしたところ、当日の晩、1万6千人が視聴した。

モリンは言う。「私たちには金融システムを再構築する機会を得たのです。女性たちよ、この変革に携わりましょう」

関心は高い。“たまたま”男性が多いだけなのか?

くだんのストリップクラブをパーティ会場にした、ビットコインの北米会議。当初プレゼンテーションを依頼したのは、男性86名に対し女性は1名だけ。さすがに苦情が出たため、急遽、男性2枠を女性に交替し、最終的には男性84枠、女性3枠の構成で開催することに。

ジェンダーが偏った人選の理由を問われ、主催者である、仮想通貨の第一人者である投資家モエ・レヴィンは、「たまたま、男性スピーカーが女性スピーカーより多かっただけ。女性が少なかったのは、意図的ではありません。ただ、女性を入れる時間的余裕がなかっただけです」と回答した。

女性が参加する仮想通貨をテーマとするイベントでは、彼女たちの落胆は、怒り、そして悲しみへと変容する。先日の晩、シリコンバレーのパロアルトのウーマンズクラブで開催されたイベントには、仮想通貨に関心を寄せる約50名の若い女性が集結した。近隣のスタンフォード大学工学部の生徒も参加した。

仮想通貨関係のイベント会場で、お雇いコンパニオンと間違えられたり、就職面接中にナンパされたり、ワインを飲みながらお互いの体験や悩みを分かち合った。彼女たちの正体がエンジニアであるとは想像すらしなかった男性が大勢いるのだという。

ブロックチェーンのソフトウエア用インフラを提供する、BlockCypher社のキャサリン・ニコルソンCEOは、男女間のバランスが偏り過ぎている原因について、若手の女性参加者らを相手に自説を唱えた。「今、資金が潤沢にあるでしょ。そうすると、男たちはこう考える。『ああ、今、俺はクジラ(大量のビットコイン保有者を指す)だ』って。男どもは、ちょっと調子に乗りすぎてるのよ」

一方、BlockCypher社のヘッド・オブ・グロース(成長担当責任者)であるカレン・スーは、そういったジェンダー格差問題は誇張され過ぎている部分があると言う。実際、彼女は、最近のあるカンファレンスで講演者になってもらえないかオファーを受けたという。「良かったわ。彼が私をブース・ベイブだって思わなかったのは」。参加者の注目を引くためにスタートアップ企業のブースの側に立たされる、イベントコンパニオンを引き合いに出してスーは笑った。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Women in Cryptocurrencies Push Back Against ‘Blockchain Bros’/執筆:Nellie Bowles](翻訳:Ikuko.T)

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