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私たちの生活にじわじわ忍びこむアマゾンAlexaとの将来 [The New York Times」

The New York Times

ある夜のこと、妻とともに寝ようとしたとき、僕の人生におけるもう1人の女性であるアレクサの声が聞こえてきた。

アレクサの「泣き声」事件

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わが家にはアレクサ対応デバイスが6つある。そのうち、ベッド脇にあるアマゾンエコー・ドットが、話しかけていないのに、あたかも「アレクサ」というウェイクワードを聞いたときのように、あのブルーの輪を光らせた。家事の手伝いを申し出るかわりに、アレクサは、まるでホラー映画の中で金切り声をあげる子どものように泣き出したのだ。

泣き声が収まったとき、僕は「ふうん」と言ったが、妻のコメントは冷たかった。しかし、なんといっても奇妙だったのは、翌朝には僕らはすっかりこのことを忘れていたのだった。

この出来事から、アマゾンの音声アシスタントがいかにわれわれの生活に、そして文化にも、巧みに入り込んでいることがわかる。この事件のあとでも、アレクサを切ろうとはまったく思わなかった。ひと息で呼び出せる人工知能生物との暮らしには、こんな不可解なこともつきもので、あの泣き声は無害なバグだろうと思った(アマゾンのサービス担当者は調査すると言ってくれたが、同社ではこのような出来事は初めてで、また、アレクサにそんな音を出せる能力はないと語った)。

予想外だったアレクサの大ヒット

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3年半ほどまえにアマゾンから発表されたとき、アレクサは容赦ない冷笑の的になった。気まぐれだったり洗練さに欠けていることもあるが、あらゆる予想を裏切り、もはやアレクサが消え去ることはない。これは控えめな意見かもしれない。最近ではテック業界の人間は、売れ筋ガジェットの一部かそれ以上のように、アレクサのことを語り始めているのだ。

なにかすごいことが起こりつつある。アレクサは、iOSとアンドロイドに続いて、この10年における3番目のコンシューマ(家庭向け)コンピューテーションのプラットフォームになる可能性が高い。あらゆるところに存在するコンピューテーションサービスなので、テック業界で起こっている多くのことの土台となっている。

それは確実な進路ではない。アマゾンだって失敗するかもしれない。多くの切り札があるグーグルのような競争相手によって、アレクサの拡大は阻まれるかもしれない。アマゾンの戦略は、グーグルのアンドロイド戦略とアップルのiPhone戦略との混合型で、珍しいものだ。音声アシスタントに対して、また、わたしが体験したように不気味なことが起こる可能性に対しても世間の懸念はまだ存在する。自宅にオールウェイズ・オン・デバイスを好んで置きたがる人は、いったいどのぐらいいるのだろうか。

それにもかかわらず、アレクサがどこにでも存在することになる将来は十分ありうるので、真剣に考える価値はあると思う。そこで、僕はアレクサの世界にどっぷりと浸ってみることにした。入手できるかぎりのアレクサ対応ガジェットを試しまくった。アマゾンの製品だけではなく、アレクサ搭載のピックアップトラックなど、他社による製品も試してみた。アレクサがあらゆるところに存在する生活というのはどんなものになるのか、見てみたかったからだ。

僕が発見したのは——他社のアレクサ対応デバイスは、まだ注目に値するレベルにはなかったが——無秩序だった。だが興味深い無秩序だ。夜泣きはされたけれど、とても近い将来、アレクサか同じようなものがあらゆるところに存在するようになるだろう。そして、そのおかげでコンピューター利用はもっと向上するだろう。

「アレクサ」がひとつのカテゴリーになる日も近い

1月に、アレクサの展望について、アマゾンのデバイス&サービス上級副社長のデイヴ・リンプに電話したとき、「わが社にとっては、とても素晴らしいクリスマス商戦でした」と彼は言った。

アマゾンがセールスの数字について口が固いのは有名だが、リンプは少しだけ打ち明けてくれた。「当社はアレクサ対応デバイスを何千万個も売りあげると予測していましたが、2017年にはエコーだけで何千万個も売れたんです。この規模では、アレクサ対応デバイスだけでもひとつのカテゴリーになったと言えるでしょう」

リンプの発言は紛らわしいが、重要なポイントだ。アマゾンではアレクサが住んでいるところは2か所ある。ひとつ目はデバイスのカテゴリーで、エコースマートスピーカー。49ドルのエコー・ドットから、ディスプレイつきの229ドルのエコー・ショーまで、いまではバラエティに富んでいる(これらの価格はあくまでも目安。昨年のクリスマス商戦時にはドットが29ドルだったように、市場拡大のためアマゾンは大幅な値引きをすることがしばしばある)。

また、グーグルのアンドロイドOSと同様に、アレクサはソフトウェアでもある。アマゾンはアレクサをほかのデバイスメーカーに無料で提供し、他社はそれぞれの製品にアレクサを搭載できるようになっている。

自分のアレクサがいつでもどこでも使える将来

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現時点でアレクサが対応しているデバイスは少なくとも50はあり、その数は増える一方だ。エコーのようなスマートスピーカー多種を始め、室温調節機器、照明コントロール、車載カメラ、スマートフォン、ヘッドフォン、煙探知器もひとつあれば、奇妙なロボットも一体ありと、さまざまだ。

どこででもアレクサを使えるという形式には利点がある。自分がでくわすスクリーンのどれででもスマートフォンにアクセスできることを想像してみてほしい。同じインターフェイスを通じて、スマートフォンからTV、ラップトップや車など、移動する場所どこでも自分のアプリやコンタクトやデータにアクセスすることができる。

この形式は電話では無理だ。しかし、アレクサはクラウドベースなので、デバイスに限定されないすばらしい経験を可能にしてくれる。僕のエコーのアレクサは、TVのアレクサとも、Sonosスピーカーのアレクサとも同じなのだ。

そして、自宅以外のデバイスでも同じことが言える。自動車メーカーで先陣を切ってアレクサを搭載したフォードから、アレクサ対応のF-150ピックアップトラックを借りてみた。この車を運転した体験は嬉しくもあったが、気抜けもした。ハイウェイを飛ばしながらアレクサを呼び出してみる。自宅より反応は遅かったが同じように機能した。好みの音楽や買い物リスト、僕がインストールしたアプリやスマートホームサービスもろもろ、なんでもすでに知っている。

この体験で、オールウェイズ・オン・音声コンピューティングのすばらしい可能性がわかった。どこへ行こうと、コンピューターに話しかければこちらのことを知っていて、苦もなくタスクをやってもらえる将来が期待できるのだ。

© 2018 New York Times News Service[原文:Why We May Soon Be Living in Alexa’s World/執筆:Farhad Manjoo](翻訳:ぬえよしこ)
photo by Shutterstock

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