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役職は関係なし。チーム力を高める社内の「教室」 [The New York Times]

The New York Times

シルバークレスト・アセット・マネジメント・グループは、平均して2,900万ドルの資産を持つ顧客のために、総額213億ドルを運用する資産管理会社。同社には、約120名いる社員を対象にした教養プログラム、シルバークレスト・アカデミーがあります。その狙いは、チーム力強化。立ち上げの際には、初回のテーマ選びに気を配りました。ふさわしい方向性を打ち出したかったからです。

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シルバークレスト・アセット・マネジメント・グループCEOのリチャード・ハフさん。2018年3月12日ニューヨークにて撮影(Amy Lombard/The New York Times)

会長兼CEOのリチャード・R・ハフ(3世)さんが多数の候補の中から選んだのは、応急処置と心肺蘇生法のクラスでした。何もクライアントの高齢化に備えたわけではありません。

「(心理的な)壁を作らないクラスだったからです。CEOと受付係が隣り合って受講してもおかしくない。対等な立場になれるでしょう」とハフさん。

社内の信頼関係を強化して、より良いサービスを提供する

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同僚と一緒に応急処置と心肺蘇生法の講座に参加するディーン・デューイーさん(左)とブライアン・ジェミノさん。2018年3月12日ニューヨークにて撮影(Amy Lombard/The New York Times)

このような企業プログラムにはいくつか目的があります。職位や部署をまたいだ社内交流や、親睦を推し進めること。ポジションや給与の違いによって生じる心理的な距離感を狭め、職場の信頼関係を築くこと。そして最終的には会社全体のサービスを向上させる、というものです。

効果を実感する受付係のペレズさん

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同僚と一緒に応急処置と心肺蘇生法の講座に参加する受付係のナタリー・ペレズさん。2018年3月12日ニューヨークにて撮影(Amy Lombard/The New York Times)

受付係を務めるナタリー・ペレズさんも、当初、心肺蘇生法のクラスが会社を知るのにどう役に立つのか疑問に思ったと言います。上品な企業イメージを打ち出すシルバークレストで、アシスタントや資産管理担当者、執行役員が一緒に床に膝をついてマネキン人形を蘇生しようとするなど、前代未聞のことでした。

その後、11の講座に参加したペレズさん。「以前は、オペレーション統括部長に質問があっても、気が引けて直接電話できませんでした。今は自信を持って電話をかけられますし、親切に応対してもらえることも分かっています」

接点ができれば、社員同士の距離が縮まる

世界中の企業や非営利組織の職場環境の改善を手がけるコンサルタンティング会社、ラングレー・グループCEOのスー・ラングレーさんも言います。「活動が何であれ、相手との共通点が見つかれば親近感が湧きますし、仲良くなれます」ラングレーさんによれば、社内の交流は、安心して頼れる関係につながり、顧客にとってもプラスに働くとか。

「たとえば、内線を取るとき、『何の用?』ではなく『どうすれば役に立てる?』と前向きに応対できるようになります」

安易に食べ物でつらず、自発的な参加を促す

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シルバークレスト・アセット・マネジメント・グループで応急処置と心肺蘇生法のクラスを教えるアメリカ赤十字社の講師。2018年3月12日ニューヨークにて撮影(Amy Lombard/The New York Times)

2017年にシルバークレスト・アカデミーは、会社、個人、仕事術という3つのテーマを軸に27の講座を開催しました。応急処置と心配蘇生法のほか、会社の取引システム、資産配分プロセス、マーケティングの役割、目標設定や時間管理術、ボードゲームのバックギャモン入門といった講座が開催されました。それぞれに10〜35名が参加。企画チームは、食べ物でつる方法は避けることにしました。

「人寄せできても、期待する動機ではないからです。参加者には学んで欲しかったし、ある程度、真剣に取り組んで欲しかった」と企画チームのメンバーであり、部長補佐を務めるデューイーさんは言います。

社員の学びをチーム作りに生かしてきたシリコンバレー

勉強会を通じて生産性向上や信頼醸成を図る、という考え方のルーツを辿れば、固定観念を覆すシリコンバレーの文化に行き着きます。グーグルやアマゾンは、チーム作りの一環として、知識の吸収や意識の改革につながる講義シリーズを長く提供してきました。

ラングレー・グループでは老舗企業からの相談が増えているとラングレーさんは言います。社内のコミュニケーションの断絶や信頼の不足が生産性を下げ、サービスの質を落としていることを危惧してのことだとか。

コミュニケーションの見直しで変わる社内環境

大手メーカーの安全管理責任者を務めるクライアントの場合、コミュニケーション方法を見直したことでチームの士気が高まったそうです。会議の冒頭でチームの成果に触れ、ニアミスや怪我につながった事故の話は後にすることで、社員を信頼する雰囲気ができました。結果的に、社員も「ミスを犯したらどうしよう」と萎縮することなく、プロセスの改善に集中できるようになったと言います。

様々な仕事で組織は成り立っている

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同僚と一緒に応急処置と心肺蘇生法の講座に参加するドネット・ガードナーさんとブランドン・シムさん。2018年3月12日ニューヨークにて撮影(Amy Lombard/The New York Times)

ハフさんがシルバークレスト・アカデミーで目指したのも、社員の心理的な壁を取り除くことでした。チームの団結を望んだのはもちろんですが、そうすることで利益を拡大したかったからです。

「効果的な事業経営のためには、機能の棲み分けが欠かせません。その一方で、担当以外の仕事や、その価値を理解しない人も出てきます。社内協力のためには、そんな意識の壁は取り除いた方がいい。当社でもそうですが、金融業界では一般的に『評価されるもの』と『カネ』を混同してしまう傾向があります」とハフさんは言います。

チームプレーの重要性

ウォール街のトレーダーの仕事を引退し、今ではシルバークレストのクライアントであるロバート・サビーノさんも、顧客に対する潜在的インパクトを評価します。サビーノさん自身、現役時代に事務方との関係強化に努めた経験があります。

「管理部門と良い関係を築くことの重要性は、よく分かっていました。それぞれの仕事は色々と違う。でも互いに尊重し合う関係を維持しなくてはなりません。そうすれば問題が起きたとき、向こうも力を貸してくれるでしょう。それに、皆で協力すれば物事がスムーズに進みます」とサビーノさん。

© 2018 New York Times News Service[原文:Building Trust at Financial Firms With CPR and First Aid / 執筆:Paul Sullivan](抄訳:Ikuyo.W)

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