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海外も注目! アフリカ出身の京都精華大学新学長 [The New York Times]

The New York Times

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京都精華大学の新学長ウスビ・サコ氏。2018年4月1日撮影 (Kosuke Okahara/The New York Times)

桜咲く、うららかな日曜日。丘の上にある京都精華大学のキャンパスでは入学式が行われていた。就任したばかりの学長が新入生たちにこう語りかけた。

「あなた方は生まれ育った家を巣立ちました。でもここもまた、あなた方の家なのです」

このメッセージをマリ共和国の言葉であるバマナンカン語で伝えることで、ウスビ・サコ学長(51)は誰の目にも明らかな事実に触れたのだった。黒人の彼は、均質的な日本社会では目立つ存在だ。

おそらく日本の大学では初のアフリカ生まれの学長だと思われるサコ博士は、流暢な日本語でスピーチを続けた。多様性と国際性を重んじる京都精華大学の校風に触れ、学生には自分の個性を理解してほしいと語った。

昔に比べ外国人は増えてはいるものの……

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京都精華大学の新学長ウスビ・サコ氏 (Kosuke Okahara/The New York Times)

サコ博士は日本に移り住んで27年。市民権を得たのは16年前だ。以来、組織の中で着実に地位を築いてきた。

日本は移民の受け入れに前向きとは言い難いが、人口減少が深刻化するにつれ、変化の兆しも出てきた。政府統計によると、日本に住んでいる外国籍の人の数は2017年に過去最高を更新し、250万人強。アフリカ出身の人は15,140人だった。

それでも総人口の2パーセント弱に過ぎず、隣国の韓国の3.4パーセントよりも低い。翻って米国では14パーセント、香港では40パーセント弱にもなる(国連経済社会局のデータより)。日本国籍を取得するのは非常に難しく、1952年以来日本に帰化した人は55万人強。その多くは日本に占領された歴史のある朝鮮半島にルーツを持つ人々だ。

最近になり、高度なスキルを持つ外国人が永住権を取りやすくなるよう法律が改正された一方で、安倍首相は人口減少対策として移民政策を変えることはないと明言している。

サコ博士は、将来の発展のためにも日本はもっと外国人を受け入れるべきだと考えている。「日本人は何かを守ろうとしているのかもしれません。でも外の視点を取り入れれば、より客観的にゴールを設定できるようになるはずです」。

国費留学生としてアジアへ

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学長就任祝賀会にて (Kosuke Okahara/The New York Times)

マリ共和国の首都バマコで育ったサコ博士は、成績優秀だったためマリ政府の国費留学生に選ばれた。それまでの外国渡航経験は隣国のセネガルだけだった彼が、派遣されたのは中国だった。1985年に北京に渡り北京語を習得、後に南京東南大学で工学と建築を学んだ。だが、研究のためのフィールドワークに常に役人が立ち会うなど、不自由を感じることもあったそうだ。

学部を卒業した1990年に旅行で初めて訪れた日本で、地域のつながりや温かいホスピタリティに心を動かされる。後に結婚し二児をもうけることになる日本人女性と交際していた縁もあり、学業の場を日本に移すことを決意。大阪で語学を勉強してから、京都大学の修士課程に進んだ。

大学では日本語を徹底的に磨いた。ゼミでは頻繁に議事録を担当し、それによってリスニングと筆記力が鍛えられた。自由時間には日本のテレビを見たり、積極的に日本人の同級生と交流したりした。

日本語を習得するも、文化の差に戸惑うことも

留学当初はいつかマリに戻るつもりだったが、1991年に軍事クーデターが起き、帰国後のキャリア設計が難しくなってしまう。博士課程に進み日本の生活が長くなるにつれ、徐々に日本特有のコミュニケーションの仕方を学んでいったという。相手の言葉を額面通り受け取らないというのもそのひとつ。失敗もいろいろあった。

例えばこんなエピソードも。何度かホームパーティを開いた後のこと、隣近所に「いつも楽しそうでうらやましい」と言われたのを真に受け次のパーティに招いたところ、来てくれるどころか警察を呼ばれてしまったそうだ。騒音の苦情が出ていると警察に言われても、すぐには納得できなかったという。

もっと当たり前に多様な人々が活躍できたらいい

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京都精華大学の学食前でなごむ学生たち (Kosuke Okahara/The New York Times)

京都精華大学で教えるようになったのは2001年のことで、最初は講師として採用された。同大学は近年ダイバーシティを推進する方針を固めており、少子化が進む中で留学生の受け入れにも積極的だ。

サコ博士の学長就任で、日本でも人種問題への配慮が進むのではないかとの期待が高まっている。なにしろこの国では(欧米では差別的な表現だとしてNGとされる)顔の黒塗りが未だにテレビに登場するのだ。英字日刊紙のジャパン・タイムズでコラムを執筆する米国出身のBaye McNeil氏も日本に住む黒人のひとりとして期待を寄せている。「高い地位に着く人が出てきたことで、我々に対する見方も変化するのではないでしょうか」。

サコ博士自身は日本で黒人だからという理由で差別を受けたことはないと言う。ただ外見が日本人と違うため、まわりと違う扱いを受けることはあるそうだ。例えば空港などで、日本の市民権があるにもかかわらず、外国人の並ぶ列に誘導されるというように。

皆がそれぞれの違いを活かし、力を発揮できるようにすること。それが自分のミッションだとサコ博士は言う。芸術学部で教えていた吉岡恵美子氏を副学長に選んだのもこのことが念頭にあったからだ。

ポストに就くことを躊躇する吉岡氏に対し次にように説得したという。「あなたのような人が立たない限り、男性優位は崩れません。私のビジョンを実現するためにぜひご協力をいただきたいのです」。

© 2018 The New York Times News Service [原文:In Homogeneous Japan, an African-Born University President/執筆:Motoko Rich]

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