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SNS業界の行方がアヤシイ。健全なソーシャルメディアをつくるには [The New York Times]

The New York Times

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Glenn Harvey/The New York Times

ソーシャルメディアの何かがおかしいということは、もはや言うまでもないだろう。おそらく、皆さんも身をもって実感したことがあるのではないだろうか。たとえば、ツイッターのフィードをスクロールしている時に、不安や心配、世の中にうんざりした気分を感じたことがあるだろう。または、自分の子どもがYouTube動画を観ていると、心配になることもあるかもしれない。狂気じみた陰謀と流血に満ちた、無秩序な世界すれすれのところを閲覧していると言っても過言ではないからだ。

最近のフェイスブック個人情報流出事件も、SNSへの不信感に拍車をかけたかもしれない。皆さんのデジタルライフの中で最も私的な部分を、利潤最大化を最重視する監視システムに委ねていたということに改めて気づかされた人も多いはずだ。

最大のソーシャルプラットフォームに対する不信感の高まりは、アンケート調査にも現れている。米国のニュースメディア「Axios(アクシオス)」がSurveyMonkey (サーベイモンキー)を使って実施した最新の調査によると、フェイスブック、ツイッター、グーグルの大手3社全てについて、米国における人気が5か月前に比べ著しく低下していることが明らかになった。

しかし、ここで諦めるのは間違いだ。健全な議論を行い、新しい形の創造性を解放し、同じ興味関心を持つ人々を結びつけるというソーシャルメディアの当初の夢を、今現在のマーケットリーダーが失敗したからといって捨ててしまうべきではない。

今日におけるソーシャルネットワークの主要な問題とは、大手SNSが巨大化しすぎていること、そして、市場本位のシステムに完全に組み込まれているため成長し続けるのを余儀なくされている、ということだフェイスブックが個人情報の収益化を止められないのは、スターバックスがコーヒーの販売をやめられないのと同じ理由による。

そこで、市場本位のプレッシャーからソーシャルネットワークを救うための方法を3つ提案したい。

ユーザーに権限を移譲する

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photo by Getty Images

ジェレミー・ヘイマンズとヘンリー・ティムズによる新刊『New Power』では、“古い権力”を代表する中央集権型・トップダウン方式の機関と、“新しい権力”分散型・ボトムアップ方式のムーブメントとの間の戦いについて書いている。

同著によると、フェイスブックは、“新しい権力”型組織の形態をとりながら、 “古い権力”の利益のために動いている事例のひとつだという。数10億人ものユーザーが生み出したクリエイティブなアウトプットを収穫し、巨大な中央集権型企業に渡している。ほとんどのユーザーは自身が生み出した経済価値を受け取れないし、プラットフォームの運営方針への発言権もない。

では、もしソーシャルメディアがユーザーにより運営されたらどうだろうか? ヘイマンズ氏は、私の取材に対し「もしソーシャルメディアの経済価値に大きく貢献しているのなら、ユーザーも自身が生み出した価値をシェアできるようになるべきだ」と語った。

コロラド大学でメディア研究を行っているネイサン・シュナイダー教授も、2016年に似たような提案をしている。従業員やパワーユーザーなどといったネットワークに多大な貢献をしている人々は、貢献度に比例したステーク(持ち分)と議決権を与えられるべきだというのだ。そして、プラットフォームのオペレーションに関する重大な決定については、ユーザーも参加できるようになるべきだという。

ソーシャルフェデレーション(連邦)を設立する

もうひとつラディカルなアプローチとしては、ソーシャルネットワークを電子メールのような形式にするというものが考えられる。つまり、共通のプロトコルでシームレスに繋がることができる独立したアプリにするということだ。

連邦制のソーシャルネットワークは、独立したノードのクラスタのようなものだ。つまり、フェイスブックのように全ユーザ共通の大きなネットワークをひとつだけ作成するのではなく、マムブック(ママ向け)やアスリートブック、ゲーマーブックなどテーマごとに分け、それら全てを傘型ネットワークに接続できるようにするという仕組みだ。数10億人のユーザー全員に共通のポリシーを適用するのと違って、上記のようなノードの場合はユーザーのプライオリティを反映した設計ができる。もしあるノードが非常に有害な内容になったら、ネットワーク全体をシャットダウンすることなく、そのノードだけを削除すればいい。

このような形式のネットワークは既に存在している。「Mastodon(マストドン)」だ。ツイッターに似た分散型のソーシャルネットワークで、2016年にローンチしてからの登録ユーザー数は140,000名を超える。また、多くの仮想通貨に用いられているブロックチェーン技術を用いたソーシャルネットワークも、ここ数か月で次々と誕生している。

ソーシャルグラフの有効期限を設定する

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photo by Shutterstock

私の友人のある女性が以前言っていたことなのだが、OKCupid、Tinder、Bumbleといった有名デートアプリの大きな違いは、設計や運営会社ではないという。彼女によると、“新しさ”こそが重要なのだそうだ。

新しいアプリは、真剣に恋人を探している魅力的な人々が集まってくる傾向にある。一方で、古いアプリの場合は、どれだけ優れた設計がされていたとしても、不純な動機の遊び人に乗っ取られてしまうというのだ。

これと同じことが、ソーシャルネットワークにも言えるのではないだろうか。規模が巨大になり強い影響力も持っている大手SNSは、悪だくみをしている人々にとってはたまらなく魅力的な場所だ。そして、多くの“ソーシャルグラフ(ネット上の繋がり)”は、時が経つにつれて不要な繋がりも蓄積されていき、散らかった状態になってしまう。

ベンチャーキャピタリストのハンター・ウォーク氏が昨年ブログに投稿した、面白いアイデアがある。ソーシャルネットワーク上に“やり直し”ボタンを設置することを法律で義務づけるというものだ。そのボタンを押せば、ソーシャルネットワーク上にある全てのユーザーデータを消去して、新しいアカウントで再スタートできるということだ。

“セルフクリーニング”オプションの充実を

私としては、そこからさらにもう一歩進んで、“セルフクリーニング”オプションを提案したい。つまり、ユーザーがもう使用していないアプリのプロフィールや、もう交流していない友達やフォロワー、保存する必要がなくなったデータなどを定期的に削除する。もしこのようなツールが実現した場合、一定期間経過後にデータが消えてしまわないようにするためには、ユーザーは積極的なアクションをとらなければならないことになる。

ソーシャルグラフが一時的なものになったとしたら、間違いなくほとんどのソーシャルネットワークのビジネスモデルが打撃を受けることになるだろう。しかし、個人情報を守りデータハイジーン(衛生状態)を維持するための健全な基準を新たに設けることができるし、ネットワークが古くなり混沌とすることによって、問題が次々と生じるのも予防できる。さらに言えば、ソーシャルネットワークが誕生したばかりの頃に持っていた本来の魅力を取り戻すことにもなるだろう。だから、そんなに怖がることではない。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Can Social Media Be Saved? / 執筆:Kevin Roose](抄訳:吉野潤子)

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