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急に余命を宣告されたら、わたしは何を残せる?/映画『蝶の眠り』中山美穂さん

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精神的にも身体的にも、さまざまな変化を感じはじめることが多いのが40代。年齢的に言っても“人生の折り返し地点”でもあるだけに、「人生の後半戦をどうやって生きていきたいか」ということを嫌でも考えてしまうはず。そんなとき、女性なら最期の瞬間まで自分らしさを失わずにいたいと願うものだが、その思いをさらに掻き立てるのが、2018年5月12日(土)より公開されるチョン・ジェウン監督の映画『蝶の眠り』

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主人公となるのは、作家として成功を収めている50代前半の涼子。自分の思うままに生きてきた女性が突如として遺伝性アルツハイマーに侵され、残り少ない時間のなかで仕事と恋愛、そして人生の最終章に苦悩していく姿が描かれている。今回、病と闘いながらも凛とした美しさを持ち続ける涼子を演じたのは、女優としても女性としてもさらなる輝きをみせている中山美穂さん。そこで、自身のキャリアや女性としての生き方について語ってもらった。

年上の女性を演じられるのはうれしいこと

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映画主演作は5年ぶりとなる中山さんだが、挑戦したのは実際よりも年上の女性という難しい役どころ。まずは、そこに対する不安はなかったのか聞いてみた。

中山美穂さん:不安はなくて、楽しみでしかなかったですね。年上の女性を演じることに対しても、まったく躊躇はなく、むしろやりがいがあるなと思っていたくらいでした。というのも、最近は若い人を意識した社会ということもあってか、どうしても実年齢よりも若い設定にされることが多かったんです。でも、そういう役がだんだん演じづらくなるのかなと思っていたときだけに、逆にうれしかったですね。

本作の監督・脚本・原案を務めたのは、『子猫をお願い』などで知られる韓国の女性監督チョン・ジェウン。中山さんの代表作でもある『Love Letter』(95)は、韓国ではいまなお人気の高い日本映画だというが、監督自身もこの作品で中山さんの大ファンとなり、今回のキャスティングでも真っ先に思い浮かんだという。海外でこれだけ自分が受け入れられていることについてはどう感じているのだろうか。

中山さん:まずは、純粋にうれしいです。日本以上に覚えていてくださる方がいて、会えばいまだに「お元気ですか?」と言ってくれる人が海外にいるのは不思議でもありますね(笑)。

「信じていれば叶う、という運命的な何か」

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90年代にアイドルから女優へとキャリアが変化するなかで、自身にとっても思い入れの深い作品だったと振り返る。

中山さん:それまでルーティン的にドラマや音楽に取り組んでいたなかで、新しいことをやりたいのにできないと自分のなかで空回りしていたときでした。そんな風に成長したいと思っていた時期だけに、『Love Letter』との出会いはうれしかったですし、その後の私にとっても、何かきっかけみたいにはなったとは思います。そういう意味では、この作品へも繋がっていったような気がしていますし、「信じていれば叶う」というのに似た運命的な何かがあるようにも感じています。

そうして導かれるようにして演じることになった女性小説家の涼子だが、同じ女性として共感したところは?

中山さん:演じているときはそういうことを考えずにひたすら演じていたんですけど、終わってみて初めて、「涼子は強くて、自分を持っていて、潔く生きたかった人なんだ」というのに気が付いたんです。物語としては悲しいところもありますけど、そこにあるのは、悲しさを薄っぺらくしない純粋な愛情。そのバランスがすごく絶妙に作られていると感じたので、私もそういうバランスのいい女性になりたいなと思いました。

今後の生き方を考えるきっかけにもなった

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では、病を抱えながらも「どう人生を終えるか」という壁にぶち当たった女性を演じたことで、自身の死生観やこれからの生き方についても考えたことは?

中山さん:もちろん、きっかけにはなりましたね。ただ、具体的なことを考えたり、何かを準備したり、とまではいかないですけど、毎日生きていければいいとは感じています。私は作品に出会って、それができあがって、みなさんからいい評価をもらえる瞬間が一番うれしいこと。なので、その瞬間に出会うために日々いろいろとやっていきたいなと改めて思いました。

人生を3周くらいやってきたかのよう

アラフォー世代のなかには、中山さんとともに青春時代を過ごしてきた人も多いと思うが、いくつになっても変わらぬ魅力は誰もが憧れてしまうところ。そんな中山さんでも、40代になってから仕事やプライベートへの向き合い方に変化を感じることはあるのだろうか。

中山さん:あんまり年齢は意識してないですね。ただ、いろんなこだわりがあったものがどんどんそぎ落とされていく感じはしています。たとえば、何かひとつ豊かな自分になれたら、その分ひとつ鎧を外していくような感覚です。だから、仕事でもシンプルに考えられるようになって、「何があっても大丈夫」と笑っていられるようになりました。それは、おそらく人生を3周くらいやってきたような気分だからかもしれないですね(笑)。

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大人の女性が放つ色気と少女のような屈託のない笑顔の両面を持ち合わせ、その美しさには同性でも思わずハッとしてしまうほど。しかし、仕事においては意外な一面があることも教えてくれた。

中山さん:現場では、私のことを女性らしく扱ってくれる人が多いんですけど、実は現場のなかの一員としていたいタイプ。だから、いつも現場にいたいし、ほかの人の仕事を眺めていたいんですよね。昔から現場に入るとウキウキしちゃって、「やっぱり好きなんだな」って思うんです。ただ、「控室にどうぞ」とかすぐ言われちゃって、行かないと逆に迷惑なんだろうなと思うのでしょうがなく行くんですよ(笑)。

現場が好きだからこそ、女優としていることよりも、演じることの喜びや作品を作りあげることに対する情熱の方が強いのだろう。それは、こんなエピソードにも象徴されている。

中山さん:今回共演したジェウクくんに、「普通、女優さんはどっちの顔が好きとか、この角度で撮られたいとかすごく一生懸命考えているんですよ」と言われたんです。でも、「私はそういうのはまったくなくて、360度どこから撮られてもいいの」と返したら驚かれました(笑)。というのも、私はキレイに撮られることには、特にこだわってないんですよ。

自分のなかに豊かさを蓄えていきたい

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そんな中山さんが描く“未来の自分”へ進んでいくために、課題としていることとは?

中山さん:演技がうまくなりたいのはもちろんですけど、どんなに演じていても、自分から何かはにじみ出てしまうわけだから、その材料が自分のなかにいっぱい溜まっていればいいかなと思います。年を重ねるのもそうだし、いろんな経験をすることもそうですよね。

ときには、本から人生を豊かにするヒントを得ることも多いが、劇中では数々の名作が見事に組み込まれており、印象的に映し出されている。そこで、中山さんが好きな本についても尋ねてみた。

中山さん:私は旅モノが好きで、昔は『星の王子さま』とかを読んでいましたけど、その延長でパウロ・コエーリョさんの『アルケミスト 夢を旅した少年』もお気に入りの1冊ですね。

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実際に旅をするのが趣味だという中山さんだが、旅先での楽しみとは?

中山さん:休みができたら旅に出たいなといつも思っているんですけど、自分にとってはリセットという意味もあるんだと思います。というのも、普段忙しくしていると、自分では気が付いてない疲れがあって、疲れているはずなんだけど、全然疲れてないと思い込んでるから疲れが出ない。でもそうやってリセットすると、「ああ、私やっぱり疲れてたんだな」って(笑)。体が正直になるためと、見忘れていた美しい景色を求めて行ったりしますね。

国内だけでなく、国外でも行先や宿を決めずに直感で動くタイプだという中山さん。「自分の勘を信じてる」というが、その勘の鋭さと自分を信じる気持ちこそが、女性としていつまでも輝き続けている秘訣でもあるのだと感じずにはいられない。女性として生きることの強さと儚さが詰まった本作。美しさを兼ね備え、意のままに飛ぶ自由な蝶のように生きていたい女性にとっては必見の作品だ。

『蝶の眠り』

出演:中山美穂、 キム・ジェウク、石橋杏奈、勝村政信、菅田俊、眞島秀和、澁谷麻美、永瀬正敏ほか/監督・脚本・原案:チョン・ジェウン/配給:KADOKAWA/©2017 SIGLO, KING RECORDS, ZOA FILMS
2018年5月12日(土)より、角川シネマ新宿ほか全国公開
http://chono-nemuri.com/

撮影/柳原久子、取材・文/志村昌美
スタイリスト/十川ヒロコ、ヘアメイク/石田絵里子(air notes)、衣装協力/ドレス(ブランド:N° 21[ヌメロ ヴェントゥーノ])、シューズ(ブランド:JIMMY CHOO[ジミー チュウ])

志村昌美

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