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夫がつけたあだ名はブルドーザー。ブロガーから内閣入りしたマルレーヌ・シアパ

今フランスで一挙一動が話題に上る女性のひとりに数えられるのが、マルレーヌ・シアパ(Marlène Schiappa)です。2017年マクロン政権誕生とともに男女平等問題担当政務官に就任したときは34歳。経歴も見た目も、これまでに例のない政治家像であるのに加え、その歯に衣着せぬ物言い、怖いもの知らずの行動力は、ポジティブにもネガティブにも注目され、毎週のようにメディアを賑わせています。

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両親はトロツキスト

マルレーヌの生まれはパリ。イタリア系の血を引く母と、コルシカ島出身の父は、いずれもトロツキストでした。政治集会にビラ配りという環境に育ち、今では笑い話のようなエピソードも語っています。

子どものころは、しょっちゅう「カール・マルクスがこう言った...」って話を聞いていたので、(カール・マルクスは)両親の友人だとばかり思っていました。(Galaより翻訳引用)

早い時期に経済的に自立したマルレーヌの結婚は19歳。母親になったのも早く、現在6歳と11歳の娘を育てています。

仕事と育児のバランスをとるのは、現代のフランスでも容易なことではなく、マルレーヌも、その狭間で悩むことになります。彼女が、それまで勤めた会社を辞めて、ブログ「Maman travaille(ママは働く)」を立ち上げたのは、2008年のことでした。

働く母親のネットワーク立ち上げ

マルレーヌ・シアパ:広告会社で働いていましたけど、なかなか難しいんですよ。例えば、託児所への赤ん坊の迎えと、大切な戦略会議への出席とは、同時にできないですからね。(中略)他の働く母親たちと、それぞれの経験を共有し、働く母親の意見に政府が耳を傾けるよう、一種の圧力を持つ団体を作りたいと思ったんです。(“Salut les terriens!”から翻訳引用)

ブログ「Maman travaille(ママは働く)」は、非常に大きな反響を呼び、あっという間に累計800万もの閲覧を数えます。そうして、同年のうちにアソシエーションの形をとることになります。このアソシエーションでは、仕事とプライベートのバランスのとり方、託児所問題、新生児誕生時の父親休暇の条件改良など、具体的な問題に取り組み、定期的に、アトリエや講演会を開いてきました。

#MeTooを予言

2014年パリからル・マン市へ引っ越したことがきっかけで、マルレーヌは、政治の世界に入ることになります。同年、ル・マン市の市議会を経て、副市長に就くのです。2017年には、現フランス大統領エマニュエル・マクロンの立ち上げた政党La République En Marche!(ラ・レピュブリック・アン・マルシュ!)を支持し、マクロン大統領誕生後、現職に任命されました。

マルレーヌ・シアパは、文筆家でもあり、小説も手掛けています。また、フェミニストの立場から、多くのエッセイや論文も執筆しています。その文章は、彼女の話し方そのままに、時として、激しい表現も辞さぬ勢いを持っています。例えば、『Où sont les violeurs?(強姦者はどこ?)』(2017年2月)や『La culture du viol(レイプ文化)』(2018年2月)が弾劾するのは、強姦に寛容な社会の傾向、彼女が「レイプ文化」と名付けたものです。

強姦者に(強姦するに至った)言い訳を見つけ、強姦の責任を被害者に負わせる傾向は、レイプ文化の一部です。(中略)強姦を女性の問題だと考えるのはいい加減辞めなければなりません。強姦は男性の問題なのです。(ChEEkから翻訳引用、下線は原文ママ)

読めば読むほど、2017年10月に始まった#MeTooを思い出さずにはいられません。上に書いたように、『Où sont les violeurs?(強姦者はどこ?)』は、2017年2月に出版されたものですが、それより3年前、2014年4月には、同じタイトルのエッセイを、マルレーヌはHuffpostに発表していました。「強姦者」という”センセーショナルな用語”に同意する出版社を見つけるのに3年かかったと、本人もChEEk誌インタビューで話しています。

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2018年サンフランシスコの#MeTooパレード

一挙一動に集まる注目

内閣入り当時、メディアには「パンサー」だとか「チアリーダー」と揶揄されることもあったマルレーヌ。当時は豊かな髪を常に下ろす髪型でしたが、本人曰く「周りに話をちゃんと聞いてもらうため(“Salut les terriens!”から翻訳引用)」アップの髪型に変えました。同番組では、「私の発言内容よりも、服や髪型の記述のほうに多くの行を裂かれるのにうんざりしたから」とも語っています。

とはいっても、注目を浴びるのは、見た目ばかりではありません。たとえば、国民議会での発言時には、ヤジを飛ばす議員に向かって「静かにしなさい!」と叱りつけ、その様子がネットで拡散されました。また、今年の国際女性デー前夜には、右派と左派の女性政治家2人とともに、イヴ・エンスラー作『ヴァギナ・モノローグス』を舞台で演じました。どう見ても、言動自体に型破りなところがあるのは否めません。

昨年は、マルレーヌが偽名で官能小説を書いているという報道が流れ、一部のメディアは記事に彼女を侮辱するタイトルを載せました。マルレーヌは報道内容の肯定も否定もしませんでしたが、どのインタビューにも堂々とした態度で、主張を貫き通していたのは印象的でした。マルレーヌ曰く、セクシュアリティを口にすることは決して恥ずべきことではない。女性がセクシュアリティを文章にしたからという理由で、メディアが侮蔑の言葉を正面から投げかけることこそが社会的問題である、というものです。

性差別・性暴力に関する法案を提出

男女平等問題担当政務官としては、性差別・性暴力を取り締まる法案を、2018年3月議会に提出したところです。その内容は、これまでフランスの法律が定めていなかった性的同意年齢を15歳と定めること、未成年者に対する性犯罪の時効を成人後20年から30年に延長すること、街頭でのハラスメントやサイバーハラスメントにも罰則を設けることなど、大きな変革を盛り込んだものとなっています。

Ifop(フランス世論研究所)の数字によれば、フランス国民の大半はこの法案を支持しています。性的同意年齢の設定は69%が、未成年への性犯罪の時効の延長と、街頭でのハラスメントへの罰則は、90%以上が肯定的に捉えています。

Le Journal des Femmesより翻訳引用)

2018年1月の調べによれば、現閣僚の中で4番目に満足行く仕事をしている人物に選ばれるなど、エネルギッシュで勢いのある手腕への評価は徐々に高まっているように思えます。

20180507_metoo_2

夫とは7年ごとに仕事を分担

マルレーヌに「ブルドーザー」というあだ名をつけたという夫との関係はどうなのか気になるところですが、それに対しては、次のようにインタビューに答えています。

マルレーヌ:我が家は平等とは言えないですね。私は何にもしてませんから!私が閣僚になってからは、娘の世話をするため、夫は仕事を減らしました。彼はキャリアマネージャーで、女性の昇進問題にもよく関わってきた人です。娘たちが小さい時は、私が責任をもち、子どもたちとより多くの時間を過ごしました。7年そうしてきたので、今は7年間彼の番なんです!

Galaから翻訳引用)

マルレーヌが務める男女平等問題担当政務官の席は、これまでずっと女性が占めてきました。余談ながら、マルレーヌはつい最近、8~12歳の子供たちの質問に答える番組の中で、自分の後任は男性であってほしいと発言しています。

女の子と男の子が平等っていうのはね、女の子がしたいことができるようになるためだけじゃないの。男の子も、したいことができるようになるためなのよ。

RTL Girlsから翻訳引用)

本当の意味での男女平等は、女性の自由とともに男性の自由も保障するもののはず。そういう世の中への道のりはまだ遠いかもしれませんが、マルレーヌ・シアパのような人物を見ていると、確実に社会を動かす力が生まれているのを感じる思いがします。

[ Gala, Maman travaille, Salut les terriens!, Où sont les violeurs?, ChEEk, monologues de vagin, Le Journal des Femmes, RTL Girls ]

Image via Instagram, Shutterstock

冠ゆき

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