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さらさらっと書く快感はもう終わり。カードにサインが不要になります

The New York Times

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Captured from "Is This the End of the signature"

アラバマ州モービルに住む44歳のダグ・テイラーは、営業マネージャー。出張の多い彼は、この10年近くクレジットカードのレシートにしっぽを振っているイヌの落書きを描いてきた。

その「サイン」が受けつけられなかったことは一度もない。「だいたいみんな笑うね。見ても気づかないこともあるよ」と彼は言う。

カードの支払いでサインがいらなくなる

クレジットカード会社のネットワークは、消費者や小売業者が長年気づいていることをようやく受け入れる覚悟ができたようだ。サインは身分証明の手段としてはもう役立たないということに。2018年4月末には、最大のクレジットカードネットワークのうち、アメリカン・エキスプレス、ディスカバー、マスターカード、ビザの4社はカード使用時にサインを必要とするルールを取りやめる

身分証明の手段として100年ほど使われてきた署名、それは消えつつある。個人の小切手は時代遅れで、ペンの手書きの手紙は珍しくなった。クレジットカードのサインがなくなると、手でする署名というのは限られた特別な場合にしか使われなくなる。たとえば、家の購入や、グッズに有名人のサインをもらうとき。それさえも、ケータイの自撮りに取って代わられつつある。

お店によってはいるところも

だが、クレジットカードのサインが一晩にして消えてしまうわけではない。この変更はオプションであり、サインを必要とするかは小売業者に任されることになる。

(全米屈指の大型ストアの)ターゲットは4月でサインを不要にする予定だ。ウォルマートのスポークスマンのランディ・ハーグローブによると、ウォルマートはサインを「意味なし」として、すでに大部分の取引で中止しているが、じきにサイン義務を完全にやめる予定である。

マスターカードは長い間サインを不要にしたかったのだが、チップ付きのカードが流通するまで待っていたのだった。

「サインの時代が終わったのです」

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Captured from "Is This the End of the signature"

クレジットカード不正利用のコストを補償しているのはクレジットカード会社であるが、その損失を減らすためにマイクロチップを10年以上も前に導入し始めた。チップは使うたびに個別のコードを作りだすので、カードをコピーすることはずっと難しくなった。ヨーロッパとアジアではすでにチップは使われていたが、アメリカでは3年前に普及し始めた。クレジットカードネットワークが、カードをスライドするタイプの古いテクノロジーをまだ使っている小売業者を罰し始めたのがこの頃だった。チップが普及した時点で、不正利用を解決するのにサインはほとんど無益となった。

「サインの時代はもう終わったんです」と、アメリカのマスターカードのビジネスディベロプメント担当重役、リンダ・カークパトリックは言う。

サインが始まったのは100年前

テクノロジーが手書きの署名にとって変わるのに、ほぼ100年かかった。(特定の店で請求をつけておける)カードの始まりは1920年代に遡る。小売店は細長い署名用紙を金属のプレートに押しつけたものを発行し、客がつけで購入して後日まとめて支払えるようにした。

それから30年経ち、銀行や小売業者のネットワークがさまざまな小売店で使えるカードを導入した。1950年代の終わりまでには、買い物客は現金を持たずにサインだけで保証することで、食料品やガソリンや夕食が買えるようになった。

廃止はオンラインショッピングの普及が影響

カード不正利用を調べる捜査員は、取引時にカードの持ち主がいたかどうかを確認するためにレシートのサインを細かく調べた。サインはすべての購入に不可欠だった。サインをもらい忘れた小売業者はその取引にクレームがついた場合、一般的に損失を負担することになった。小売業者はまた、客のカード裏のサインとレシートのサインが違っていることに気づかなかった場合にも責任を問われた。

やがてオンラインショッピングが普及すると、カード会社は不正利用を見つけ判断を下すために新しい手段を考えなければならなくなった。カード会社の裁定システムが向上するにつれ、サインは過去のものとなった。

対応に追われる小売業者

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Captured from "Is This the End of the signature"

アメリカの大型小売業者を代表する業界グループ、Merchant Advisory Group(マーチャント・アドバイザリー・グループ)のCEOであるマーク・ホーウェデルは「サインはもう過去のものだと思う」と語っている。

ホーウェデルは、同グループのメンバーの4分の3は今年末までにクレジットカードのレシートへのサイン義務をやめるだろうと考えている。レジの客の列を迅速に動かすことは大きな動機だからと彼は言う。

小規模の小売業者はおそらく遅れをとるだろう。小企業に人気のある支払いシステムのShopKeepとSquareは、小売業者がサインなしですべての取引をできるようにシステムをすぐに変更する予定はないという(どちらのシステムも現在25ドル以下の取引についてはサインなしを許可している)。

カード会社によってもルールはいろいろ

「様子を見てから対応する」と言うのは、ShopKeepのCEOのマイケル・デシモーン。「いまのところ、サインがいらないということはそれほど認識されていないと思う。この変更がもっと知られて、実際にどうなるかを見てから我が社は対応してゆくつもりだ」

この新しいサイン不要ルールは、カードネットワークによって異なる。アメリカン・エキスプレスは、同社のどのカードでも世界中でサインが不要となる。マスターカードについてはアメリカとカナダでのみ該当。ディスカバーは、アメリカ、カナダ、メキシコ、カリブ海地域に適用する。ビザは、北米の国すべてでサインはオプションとするが、それはチップ付きカードが読みとれるシステムを持つ小売業者に限られている。

ウエイターへのチップに影響が出るかも

小売業者のなかには、客の習慣となっているサイン手続きに介入するのに躊躇しているところもある。デトロイトのワインバー、Brixのオーナー、ミカイア・ウエストブルックは客がサインしなくなるとウエイターらへのチップに影響がでると懸念している。

また、不正使用に関してサインが役立つこともあるという。昨夏、ある客が請求に文句をいってきたが、ウエストブルックがサインされたレシートを見せたら、引き下がった。

ウエストブルックは言う。「向こうはうそをついていました。わたしには証拠があったんです」

© 2018 New York Times News Service[原文:Credit Card Signatures Are About to Become Extinct/執筆:Stacy Cowley](翻訳:ぬえよしこ)

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