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面接で「前職ではいくら貰ってた?」の質問が今後NGに。

The New York Times

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Min Heo/The New York Times

アイリーン・リゾさんは、カリフォルニア州フレスノのパブリック・スクールで数学教師の研修をしている時、ある事実に気づいた。同じような職業に就いている男性の同僚が、彼女よりもかなり多くの給料を貰っているということに。

しかし、これには正当な理由があるのだと説明を受けたそうだ。その理由とは、被雇用者の給料は、前職の給料に基づいているというものだった。彼女が今まで貰ってきた給料は、男性よりも少なかったのだ。

アマゾンやグーグルでも導入

現在カリフォルニア州議会下院選挙に立候補しているリゾさんは、この件について訴訟を起こした。そして2018年4月、第9巡回控訴裁判所は、前職の給料を理由に男女賃金格差を正当化すべきでないとして、リゾさんの勝訴判決を下した。

前職に基づく給料決定の違法化は、男女賃金格差を縮小するために選択すべき政策となった。今回の勝訴判決は、この傾向を示すもっとも新しい事例だ。最近では、複数の州・市・企業が、過去の給料について面接で質問する行為を禁止した。たとえば、マサチューセッツ州、カリフォルニア州、ニューヨーク市、シカゴ。民間企業では、アマゾン、グーグル、そしてスターバックスなどだ。

女性差別も理由のひとつ

女性の収入が男性よりも少ないままなのには、様々な理由がある。差別もそのひとつであるということが、研究で明らかになっている。また、女性は男性よりも低賃金の職種(公共サービス、看護・介護、非営利セクターなど)に従事する傾向があり、育児のために仕事を休みがちだ。雇用主は前職の給料に基づき従業員に支払う給料を決定することが多いため、様々な職業で男女賃金格差が継続することになる。そして、女性が自力でこの差を埋めるのは、見たところではほぼ不可能になった。

2018年4月に亡くなったステファン・ラインハート判事は、亡くなる直前に、第9巡回裁判所の意見の中で「女性は、男性と同等の価値がない存在だと言われている」と書き記していた。「前職の給料を理由に賃金格差を正当化するのを許容したら、明白な差別の手段である給料システムに隠されているこのメッセージを永続させることになる」

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Image via Getty Images

礼儀正しく質問をかわそう

では、過去の給料についての質問が法律で禁止されていない地域に住んでいる求職者の場合は、どうすべきなのだろうか? 複数の専門家が勧めているのは、礼儀正しく質問をかわす方法を編み出すというものだ。面接の質問に答えるのを拒否するというのはリスクを伴う行為かもしれないが、たとえそうであっても、だ。全米大学女性協会(AAUW)が開催したワークショップでは、いくつかの戦略を提案していた。

求職者が、その役職の給料レンジ、または前任者の給料について雇用主に質問返しをすることによって対抗するという手段も考えられる。例えば、「まず最初に、この仕事についてよく知っておきたいたいです。どれくらいのお給料がいただけそうなのか、把握しておくためにも」というような質問が考えられる。または、なぜ過去の給料についての情報提供を拒否したのかを、男女賃金格差との因果関係から説明し、コンテキストを明らかにするという対策も考えられる。

過去の情報がなければ、より多くの対話が生まれる

また、この禁止措置がもたらすと予想される影響は、それほど大きなものではなさそうだ。求職者の価値を測る基準として過去の給料を参考にできなくなったら、雇用主は今までよりも幅広い範囲の候補者の中から探すようになるだろう。最近まとめられたある研究報告書は、オンラインの仕事マーケットプレイス上での実務経験に基づき作成されたものだ。そこでは、雇用主の半数が求職者の過去の給料を見ることができて、残りの半数は確認できない。過去の給料を見ることができない雇用主は、候補者に対してより多くの質問を投げかけ、インタビューにも頻繁に招待していた。彼らが採用した候補者を平均的に見てみると、過去の給料は低かったものの、交渉の結果、今までよりも良い条件で契約が成立していた

スタートラインに立てなかった人にもチャンスが生まれる

このような仕事マーケットプレイスは求職者が入札する形式の短期プロジェクトであるため、上記の研究結果を一般的な雇用環境にそのまま当てはめることはできない。それに、この実験は給料の男女差を評価するものではなかった。

しかし、この研究結果は、多くの雇用主が生産性を測る指標として過去の給料に過度に依存してきたことを示すものだ。そして、過去の給料についての情報がない場合には、雇用主は他の方法で候補者のことを知ろうとすることも明らかになった。こう説明するのは、ジョージタウン在住の研究者で上記の研究報告書の共著者モシェ・バラック氏だ。「一部の雇用主にとっては従来よりも骨の折れる作業かもしれませんが、その分良い結果を収められるでしょう。なぜなら、今までだったらスタートラインにすら立てなかった人もチャンスを掴めるようになるから。雇用主は候補者からよく話を聞くことで、本当に優秀な人材を見つけ、採用できるようになるでしょう」

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Image via Getty Images

コスト面では反対意見も

一方で、この禁止措置に反対している経営者もいる。過去の給料に関する情報があれば、コストがかかりすぎる候補者に面接する時間と手間を省ける、というのが彼らの言い分だ。また、本来ならもっと低コストで雇えたはずの人々に給料を払いすぎるのを防ぐこともできるし、過去の雇用主がその候補者をどれだけ評価していたのかを知る手段になるとも主張している。

しかし、面接の手間を省く手段として過去の給料情報を活用すると、差別がこれからもずっと続くことになると、カーネギーメロン大学の経済学者リンダ・バブコック氏は説明する。バブコック氏は、交渉における男女差を研究している。「この新法のおかげで、雇用主はその仕事に釣り合う金額について、早い段階で有意義な決断をすることができるようになるだろう」

他にも変化が生じそう

今回の禁止措置を受けて、より多くの人々がこの問題を認識するようになり、その結果、他の変化も引き起こされる可能性がある。こう述べるのは、「Washington Center for Equitable Growth (公平な成長のためのワシントン・センター)」で、ジェンダーと労働市場を研究している経済学者ケイト・バーン氏だ。雇用主は今後、給料の決定方法や、交渉してきた女性候補者への対応の仕方などを変更する可能性がある。

バーン氏は「これこそが、今回の禁止措置が便利な小道具になると考えられる理由のひとつです。なぜなら、男女賃金格差のほとんどがただの性差別であり、政策によって性差別に対抗しうる文化的変革を加速させることができるからです」と語った。

© 2018 The New York Times News Service[原文:How a Common Interview Question Fuels the Gender Pay Gap (and How to Stop It)/執筆:Claire Cain Miller](翻訳:吉野潤子)

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