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いまや世界一のインフルエンサー。英国の新プリンセスがトレンドを動かす

The New York Times

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Image via Shutterstock

4月25日の夜、メーガン・マークルはレースの輝くような白いドレス姿でついにバージンロードを歩いた。もちろん、これは『SUITS/スーツ』のシーズン最終回のことで、メーガンはドラマの中での婚約者と結婚したのだった。

ハリー王子との挙式をめぐるメディアの狂騒

しかし、現実でもメーガンの結婚式は目前に迫っている。アフリカ系の母とアイルランド系の父を持つアメリカ人のメーガン。いまでは元女優、離婚歴あり、UNウィメンの支持者である彼女は、ウィンザー城で婚約者のハリー王子(皆から愛されているロイヤル兵士、問題児だったけれどいまではメンタルヘルス問題の活動家)と結婚式を挙げる。その日が近づくにつれ、メディアの大騒ぎはどんどんエスカレートするばかりだ。

詳細も少しずつわかってきている。賭けは締め切られた。何について? ウェディングドレスについて。どんなドレスが選ばれるかはまだ不明だけれど、経済的かつ文化的な反響がその答えにかかっている。

たかがドレスだと思っていたら、とんでもない。

賭けのトップは、メーガンの婚約公式発表時のドレスをてがけたRalph & Russo(ラルフ&ルッソ)。そして、アーデム・モラリオグル。彼はカナダ人であるし、メーガンは『SUITS/スーツ』の仕事でトロントに住んでいた。ロマンチックなレースのドレスで有名なアーデムはロンドンコレクションの中堅となった。メーガンも『ヴァニティ・フェア』誌でアーデムを愛用していると語っている。それからバーバリーの名も挙がっている。なぜなら、イギリスブランドだから(『SUITS/スーツ』でメーガンが着たAnne barge(アン・バージ)の「ベルサイユ」ドレスということはおそらくないだろう。ドレスの雰囲気はプリンセスにふさわしかったけれど)。

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インフルエンサーが持つ一枚の画像のパワー

ドレスの答えは5月19日にならないとわからないが、明らかになっているのは、デザイナーが誰であろうと世界中の話題に上る、という大躍進を遂げるということだ。

自分の魅力だけで一個人が世界的トレンドに火をつけることができ、そのほうが広告キャンペーンよりもずっと効果的。そして一枚の画像がどんな言葉よりもパワフルにメッセージを世界中に送ることができる。現在のそんなインフルエンサー文化のなかで、メーガンは最大のインフルエンサーであるように思えてきた。

彼女自身はソーシャルメディアのアカウントをすべて削除したにもかかわらず。

ファッション業界への影響を数字で見る

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インビクタス・ゲームに出席するメーガン・マークル(左)とハリー王子(右)。2017年9月カナダ・トロントで撮影 (Photo by Chris Jackson/Getty Images for the Invictus Games Foundation )

2017年9月、トロントで行われたInvictus Games(インビクタス・ゲーム)(訳注:ハリー王子が立ち上げた傷病兵らの国際スポーツイベント)に、メーガンはハリー王子とともに出席した。そのときのいでたちは、カリフォルニアのMother(マザー)の穴あきジーンズとEverlane(エバーレーン)のトートバッグ。彼女の登場直後からの数字が明らかになっている。

マザーによると、同社のウェブサイトのトラフィックは200パーセント増えた。2016年の9月の同じ週と比較して、グーグル検索では60パーセント増。同社の社長で創業者のレラ・ベッカーによると、そのジーンズは3日間で売り切れ、再入荷待ちリストは400人になった。(アメリカ最大のショッピングの日である11月第4金曜日の)ブラックフライデーよりも多くのトラフィックを集めた日もあった。

エバーレーンでは、同じトートバッグの再入荷待ちは2万人を超えた。同社の創業者でCEOのマイケル・プレイスマンは、同じレベルのセレブは誰かと聞かれて「アンジェリーナ・ジョリー」と答えている。

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婚約発表時のスタイル。2017年11月27日ロンドンにて。(Photo by Eddie Mulholland-WPA Pool/Getty Images)

婚約発表時に選ばれた白いラップコートは、カナダのLine the Label(ライン・ザ・レーベル)のもので、同ブランドによると即売り切れて、ウェブサイトはクラッシュした。またその時につけていたオパールとゴールドのスタッドイヤリングをてがけたカナダのジュエラーBirks(バークス)のサイトのトラフィックは500パーセント急上昇した。メーガンが同社のアクセサリーをつけるたびに同じような急増があるという。

「クレア・フォイやセリーナ・ウィリアムズといったセレブにもつけていただいていますが、世界的レベルであれほどの反響があるのはメーガンだけです」と、バークスの副社長エヴァ・ハートリングは言う。

ハートリングいわく「当社はカナダではメディアに取り上げられてきましたけど、いまでは日本版『ヴォーグ』やロシアなどでも取り上げられるようになりました」

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2017年12月1日の公務にて。ストラスベリーのバッグを持つメーガン。(Photo by Christopher Furlong/Getty Images)

婚約発表のあと、初公務の際に持っていたStrathberry(ストラスベリー)のバッグは、11分で売り切れ。このスコットランドの会社のサイトは5000パーセントのトラフィック増となった。2018年1月に、メーガンはウェールズの小さなブランドHiut Denim(ハイウットデニム)の黒いジーンズをはいた。同社は急増した需要に応えるため、3月には大きな製造工場へ引っ越した。

結婚式の経済的効果は1400億円!?

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2018年1月18日、ウェールズのカーディフを訪問する黒ジーンズ姿のメーガン。(Photo by Chris Jackson/Chris Jackson/Getty Images)

暗いニュースばかりに思えるこの時代に人々がハッピーエンディングを望む気持ちや、プリンスとプリンセスの恋愛やロイヤルファミリーへの世界的な憧れがある状況においてさえも、メーガンをめぐる反響の大きさにはすごいものがある。もうひとりのインフルエンサー、キャサリン妃とウィリアム王子の第3子が生まれたらハリー王子の王位継承権は6位になり、メーガンがプリンセスと呼ばれることはないのにも関わらずである。(BBCはメーガンの敬称がプリンセス・ヘンリー・オブ・ウェールズになる「可能性がとても高い」としているが、プリンセスメーガンになることはない)。

ブランド価値(とくに無形資産の価値)を専門にしているイギリスのコンサルタント会社、ブランドファイナンス社は、ふたりの王室での立場を考慮して、観光や非公認のブランド支持などでこの挙式の価値を当初は5億ポンド(約740億円)と予測していた。つまり、重要ではあるがそれほどの大現象になるイベントとは考えていなかった。

しかし、報告書が完成するやいなや、「みんな熱狂的になった。こんなにメディアに取り上げられたプレスリリースはなかったと思う」と、CEOのデヴィッド・ヘイが言う。

ヘイは予測数値を上方修正した。いまでは結婚式の経済的効果は、「イギリス通貨でほぼ10億ポンド(約1480億円)、正直いってそれ以上の可能性もある」と述べる。

キャサリン妃を超えるか、ブランドへの影響力

服を着ることでブランドへの非公認な支持となる形で、メーガンはイギリスのファッション業界に年間1億5000万ポンド(約222億円)貢献するだろうとヘイは言う。メーガンの「ファッション業界へのとてつもない影響力は、キャサリン妃に相当するか、彼女を超えるかもしれない」

フランス系アメリカ人のデザイナー、ジョセフ・アルトゥザラは、メーガンが『SUITS/スーツ』に出演しているときから担当している。彼はメーガンが持つブランドイメージを変える力は、セールスへの効果と比べて「数値化はできないけれど、もっと大きなインパクトがある」と語っている。

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2018年4月18日コモンウェルス・ユース・フォーラムに出席したときのファッション。(Photo by Chris Jackson/Getty Images)

4月、メーガンは王室メンバーの一員としての初めての重要な公務となったコモンウェルズ・ユース・フォーラムの席でアルトゥザラのピンストライプのドレスを選んだ。(その直後に同社のサイトのトラフィックは400パーセント増、インスタグラムは300パーセント増えたとスポークスウーマンが語っている。)

アルトゥザラは言う。「当社はミレニアル世代が気軽に着られるブランドではありません。ニッチ分野のニッチなブランドです。メーガンは、我が社のブランドのイメージを変えたのです」

インクルーシブ(包括的)なファッション

何を着るかで人々からこれほど熱狂的な反響があった公人では、ミシェル・オバマ以来かもしれない。ミシェル・オバマがファッション業界の株価に与える影響を分析したニューヨーク大学の研究が「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に載ったほどだ。

オバマ夫妻がホワイトハウスを去って以来、アイディアや理想を推し進めるために意識的にファッションを使った公人の座は空いたままになっている。メラニア・トランプは戦略的な服装を続けることには意欲を見せていない。フランスのファーストレディー、ブリジット・マクロンは、ルイ・ヴィトンをはじめフランスのブランドに忠実である。もし、メーガンが「妻」という立場を利用して幅広い活動を推進するためのロールモデルを掲げるとしたら、それはミシェル・オバマかもしれない。

「ワードローブの選択では、メーガンはとても尊敬されています。慣習に挑むのにワードローブを利用したり、その土地の会社にスポットライトを当ててコミュニティとつながるという点で、ファッションの持つソフトな力をわかっているんですね」 と言うのは、ブリティッシュ・ファッション・カウンシルのチーフエグゼクティブ、キャロライン・ラッシュだ。

メーガンが着たさまざまなブランドの中には、イギリスのトップブランド(バーバリー、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー)も含まれている。しかし、価格や会社のプロフィールや国籍などを俯瞰してみると、コモンウェルス(および元イギリス植民地)からの小規模でモダンなブランドが主流となっている。

アルトゥザラが指摘するように、メーガンは「インクルーシビティ(いろいろな人を受け入れる姿勢)を表して」もいる。ケンブリッジ公爵夫人キャサリンが、過去450年のイギリス王室史でロイヤルと結婚した初めての一般人だとしたら、メーガンは、人種や国籍などさまざまな意味で、21世紀とこの時代の姿勢を表現していると言えるだろう。

「おとぎ話のようであること、そして社会学的な観点を別にしても、メーガンはとても現代的な女性。手がとどくラグジュアリーという点で、自分で選択をする女性としてのメーガンに若い世代は共感できるんですね」と、バークスブランドを傘下に持つバークスグループのCEOジーン・クリストフ・ベドスは言う。(スタイリストのジェシカ・マローニーはメーガンの友人であり、非公式で彼女のワードローブを手がけていると言われている)

「メーガンは、同じレベルの王室メンバーほど保守的ではないですね」とベドスは述べた。

© 2018 New York Times News Service[The Biggest Influencer of All?/執筆:Vanessa Friedman](翻訳:ぬえよしこ)

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