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トランプが勝利したから、私たちはアメリカを出た。学びの旅を続ける人たち [The New York Times]

The New York Times

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ルイス・バレト提供、日付不明。コロンビアのメデジンにて、リズ・クエインと娘たち。持ち家、教育、キャリアというアメリカンドリームのわなを断ち切り、Wi-Fiだけを頼りに旅に出るアメリカ人がいる。(Luis Barreto via The New York Times)

コロンビア、メデジンとのスカイプの接続は不安定で、ウェブカメラの向こう側にいるリズ・クエインの顔がときどきフリーズする。リズは、1年半ほど前に、9歳の双子を連れなぜ世界旅行に出たのかを語ってくれている。

リズは40代で、以前はシアトル近郊で子供のプレイルームつきカフェ兼保育園を経営していた。2016年8月、彼女が言うところの息苦しい消費者文化にうんざりして、アメリカの中流階級の暮らしと縁を切ったのだった。

トランプ勝利をきっかけにアメリカ脱出

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J・スウェンセン・フォトグラフィー提供、日付不明。オーストラリアにて、スウェンセン一家。 (J Swenson Photography via The New York Times)

ドナルド・トランプが大統領選挙に勝ったとき、リベラルな人たちが口を揃えて言ったこと——「トランプが勝ったらこの国を去る」——リズはそれを実行した。双子の娘、オーブリーとガブリエラとともにアメリカには戻らないと決心したのだった。アジアとヨーロッパを旅したあと、旅するシングルマザーという自ら選んだライフスタイルを支えるため、Amazonを通じて何かを売るビジネスを始めようとしているところだ。

「もし共和党が政権から離れたら、もしアメリカの教育システムがよくなったら、もし政府の医療保険システムが整ったら、そのときにはアメリカに戻ります。旅にも疲れているだろうし」とリズは言う。しかし、そんなユートピアが訪れるまでは、「マトリックス(偽りの世界)からはコンセントを抜いておきます」

世界中が学びの場

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J・スウェンセン・フォトグラフィー提供、日付不明。バリ滞在中のジェシカとウィリアム・スウェンセンの娘。 (J Swenson Photography via The New York Times)

持ち家、教育、キャリアというアメリカンドリームのわなを断ち切り、旅に出たのは、リズたちだけではない。彼らは自宅を売ったり貸したりして、持ち物をほとんど処分し、貯金やリモートワークで旅費をまかなっている。休暇用のレンタルハウスを渡り歩き、キャンピングカーに荷物を積む日々を送っている。

YouTubeやインスタグラム、そしてNomadTogether、Unsettle Down、Terra Trekkersなどのブログを通じてそれぞれの冒険について発信している。メキシコのグアナフアトで開催されたProject World School Family Summitのようなコンベンションに集い、「いいえ、休暇中ではありません」「世界を学びの場としているみなさんへ、お子さんは大学へ行けますよ!」などと名付けられた会議に出席する。

まるで60年代のヒッピーのごとく。しかし、ラップトップとインターネット接続さえあればどこでも仕事ができる現在では、旅しながら暮らすことはずっと簡単になった。Nomadlistのように、次の目的地を決めるのに役立つサイトもある。Airbnbの普及によって、スマホひとつで地球上のほとんどの場所で住まいを借りることも可能だ。

子連れで旅する親たちは、4万人のメンバーがいるWorldshoolersのようなFacebookの支持団体を通じて、世界規模で子どもの遊び相手を見つけたり、精神的なサポートも得ることができる。

そんなグループのひとつを管理するレイニー・リベルティは、アメリカを脱出するのは政治的な状況だけが理由ではないと言う。「みなさん将来が不透明だと感じているんです。いまを大事に、子育てを大事にして暮らしたいと思い始めています。自分にとってなにが重要なのかを見直しているんです」

何が自分にとって大事なのかを見つめるチャンス

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ギルスピー一家提供、日付不明。クロアチア、スプリトにて、チェルシーとケイレン・ギルスピー。 (Courtesy of The Gillespie Family via The New York Times)

31歳のマシュー・ギレスピーは、フルタイムのウェブデザイナーとしてリモートワークをしている。そのおかげで、30歳の妻チェルシーと2歳の娘ケイレンと3人でヨーロッパを旅しながら暮らし、その経験をブログUnsettledownにアップしている。一家は2017年の5月に、生活費が高すぎるサンディエゴをあとにした。

高い家賃や車ローンと学生ローンの支払いに苦しんでいたギレスピー夫妻は、将来サンディゴ地区で家を買い、かつローンの支払いもできるとは思わなかった。「親たちからは家を買って落ち着きなさいと言われたけどね」と、マシューは昨冬プラハから語った。「そうすることには価値を感じなかったんだ」

2017年の春、夫妻は所持品のほとんどを売って1万ドル(約110万円)を得た。これまで旅費は安くついている。クロアチアの生活では経費を60パーセントもカットできたおかげで、ふたりの学生ローンをもっと返済することができた。「この生活がうまくいく限り続けていきたい」とマシューは言う。彼らはハイシェラ(ブランド)のバッグパックで旅している。ケイレンも、ミツバチの形をした自分のバックパックを持っている。持ち物は最低限の必需品だけ。とはいえ、チェルシーは、夏の間滞在したイタリアではBebe(ブランド)のオレンジ色のスカートとザラのトップスを持っていた。そのワードローブがフィレンツェでの写真に映えると思ったからだ(写真を撮り終わったら、服は処分した)。「ぜんぜん実用的じゃなかったから」と彼女は言う。

貯金があると、このような旅でも不安は少なくなるものだ(ただし、モンテカルロのような場所を旅するのには要注意。1985年の映画『ゴー!ゴー!アメリカ〜我ら放浪族〜』で、ジュリー・ハガーティが演じたキャラクターがラスベガスのカジノで全財産すってしまう有名なシーンを再現することにならないように)。

外に出てアメリカの良さも再発見

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ジャーンストロム一家提供。ボリビアに滞在するジャーンストロム一家。(Courtesy of The Jernstrom Family via The New York Times)

しかし、不満足な生活から逃げるために誰もが放浪の暮らしを選ぶのではない。37歳のソニヤと36歳のクリスのジャーンストロム夫妻は、7歳のベンと4歳のエマを連れて、6月にシアトルの家を後にして、1年2か月におよぶ世界の旅に出た。

一家は、70フィート(約21メートル)のキャンプカーをつけたトラックで南北アメリカを巡り、それからアジア、中東、ヨーロッパへと移動する予定だ。「キャリアの途中で休むいい機会だった」と、投資マネジメントの仕事を辞めたクリスは言う。ソニアは環境科学者だった。一家は、4寝室ある家をAirbnbで貸し出しており、その収入と貯金を旅費にあてている。

南アメリカを旅したのは目からウロコの経験だった。トランプが勝ったとき、「『まずい、ヨーロッパへ引っ越そうか』と思ったよ」とチリに滞在するクリスが言う。しかし、「この旅で、アメリカ住民がどれだけ恵まれているかが見えてきて、感謝の念がわいてきた。アメリカに戻って状況をよくしたいと思うようになった」のだそうだ。

© 2018 New York Times News Service[Some Said They’d Flee Trump’s America. These People Actually Did/執筆:Ronda Kaysen] (翻訳:ぬえよしこ)

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