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結束力も宇宙一? 山崎直子さんに聞く宇宙飛行士のチームビルディング

チームビルディング ーチームを変える魔法の言葉−

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©️NASA

2010年、日本人2人目の女性宇宙飛行士として、宇宙に15日間滞在した山崎直子さん。国籍も文化も異なるメンバーたちと、スペースシャトルや国際宇宙ステーションで過ごす体験は、どのようなものだったのでしょう。「宇宙でのチームビルディング」について、お話を聞きました。

家庭でも教えられたチームワークの重要さ

まず、宇宙関連の仕事に携わるまで、山崎さんはどんなチームワークを経験してきたのでしょうか。

「学生時代、高校ではテニス部、大学ではESS(English Speaking Society)という英語劇のサークルに所属し、仲間と目標に向かって努力するという機会は何度かありました。また、父が学生時代にラグビーをしていて、陸上自衛官だったこともあり、家庭でも『仕事はチームでするもの。チームで取り組み、目標をクリアしたときに初めて、個人としても素晴らしい達成感を味わうことができる』と、小さい頃から教えられて育ちました」

宇宙飛行士の仕事は、そのほとんどがチームで息を合わせて行うもの。チームワークを重んずる家庭環境に育った山崎さんにとって、宇宙飛行士という職業は、肌に合うものだったのかもしれません。

1999年に宇宙飛行士の候補に選ばれてから、実際に「国際宇宙ステーション組立てミッション」の一員としてスペースシャトルで飛行するまで、11年の訓練を重ねた山崎さん。NASAやNASDA(宇宙開発事業団、現JAXA)で行われた数々の地上訓練でも、チームワークは最重要視されていたといいます。

直子さん7

真剣なまなざしで訓練を行う山崎さん

©️NASA

「宇宙では、一つのミスが搭乗員全員の命に関わるだけに、訓練の段階からチームが結束し、緊張感を持って取り組むことが重要です。その中で、まず大切と教わったのは『自己管理』自分は何ができて何が苦手なのか、どんなことが好きでどんなことにストレスを感じるのか。それぞれが自分のことをしっかりと把握して、はじめてチームが成り立つのだ、と

自己管理というと、周りに迷惑がかからないように自分に厳しくしなければ、とつい考えがちですが、人間誰しも体調やコンディションの波があるもの。つらいときには、無理をせず周囲に助けを求める能力も必要と教えられたそうです。

また、宇宙滞在中は実験によってリーダーが入れ替わるため、同じ人でもリーダーシップ、フォロワーシップ両方のスキルが求められました。

感謝や共感を表す言葉がけを忘れずに

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訓練でオレンジスーツを着用し、メンバーと談笑する山崎さん

©️NASA

ミッションの約1年半前にスペースシャトルへの搭乗が決まると、搭乗メンバーと一緒に実際に近い訓練を重ねる日々が始まります。7人のクルーは、山崎さん以外は全員アメリカ人。訓練以外にも、ホームパーティーをしたり一緒に飲みに行ったりして、少しずつチームの絆を深めていったそう。とはいえ、一度宇宙に行ってしまえば、閉鎖的な環境でメンバーたちと四六時中顔を突き合わせる共同生活。宇宙滞在中は、どのようなことを心がけていたのでしょうか。

「基本的なことですが、挨拶や『ありがとう』の言葉は欠かさない、ということ。それから一段落ついたときには、『Good job !』というような、がんばったことを分かっているよ、と共感を表す言葉を積極的にかけるようにしていましたね。程度の差こそあれ、長い時間をひとつの空間で過ごす、というのは職場や家庭も同じ。そういう意味で、宇宙というのは社会の縮図のようなものかもしれません」

また、ISS(国際宇宙ステーション)では、朝食と昼食は各自で済ませても、夕飯は皆で揃って食べるという暗黙のルールがあったそう。

「ときには皆がそれぞれの国の宇宙食を持ち寄って、『今日はロシアの宇宙食をふるまうよ』『今日は日本の手巻き寿司をつくってあげるよ』なんてごちそうし合うことも。一日の終わりのそんな時間がとても楽しみでしたね」

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ISSに長期滞在していた野口聡一宇宙飛行士と、手巻き寿司をつくって振る舞った

©️NASA

弱い部分を見せてくれた船長の姿

チームを思い出すときに、山崎さんの頭に浮かぶのは、帰還から2年後に不慮の事故で亡くなったアレン・ポインデクスター船長のこと。海軍出身のアレン船長は、大柄でとても屈強な人でした。

「地上で訓練をしていると、アレン船長が何度も『あれ、なんだか疲れたな』と口にするんです。するとメンバーからも『そうだね』『じゃあちょっと休憩しようか』と声が上がる。誰よりもタフで体力のある船長だったので、おそらくはメンバーを気づかって、意識的に「疲れた」と言ってくれていたのかなと思います。リーダーが強い部分だけではなく、弱い部分も積極的に見せることで、チームがまとまりやすくなるんだな、と気づかされました」

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ISSでメンバーたちと円になり、集合写真。中央がアレン・ポインデクスター船長

©️NASA

宇宙飛行士の試験に合格してから3年目に出産や育休も経験し、小さい娘さんを育てながらロシアやアメリカ、日本での訓練をこなした山崎さん。宇宙にいくまでの「ゴールの見えないマラソンのような」11年間を、「色々な人に助けてもらい、苦労もかけました」と振り返ります。サポートしてくれた家族や仲間たちへの感謝を胸に、現在は、宇宙の素晴らしさを各方面で伝えたり、宇宙を目指す若い人を応援したりという活動を行っているそうです。これからも宇宙で学んだチームワークを活かし、様々な方面で活躍してくれることでしょう。

最後に、働く女性たちにメッセージをもらいました。

「宇宙から見る地球があれだけ美しく輝いているのは、ひとりひとりが一生懸命生きて、命の光を発しているからかな、と思うんです。人生という航海の途中で、近くばかりを見ていると荒波に酔ってしまいますが、ときには遠くの水平線を見て『ああ、自分はあそこに向かっていきたいんだな』と再確認することを忘れないでください。人生には色々なことが起こりますが、うまくバランスをとって進んでいただきたいな、と思います」。

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宇宙から見た、青く輝く地球。住む人びとの「命の光」を感じたという

©️NASA

宇宙飛行士のチームビルディングのコツ

1. チームワークの基本は「自己管理」。
2. 感謝や共感の言葉を口にする。
3. リーダーが時に弱みを見せてこそ、チームがまとまりやすくなる。

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©️NASA

山崎直子(やまざき・なおこ)さん

1970年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了後、宇宙開発事業団(現JAXA)に勤務。99年国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士候補者に選ばれ、2006年にスペースシャトル搭乗運用技術者の資格を取得。2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号で15日間宇宙へ飛行した。

写真/NASA提供、取材・文/カフェグローブ編集部

cafeglobe編集部

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