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タラレバが口癖になってない? もしもをやめると憂いは消える

母語の日本語、アメリカ生活で使っている英語、そして少しかじったスペイン語とフランス語にもあるから、ベトナム語にはないと知ってすごく驚いたのが、仮定法でした。

「もしも、こうだったら〜」がない世界

きっかけはこのTEDトークでした。トークを披露してくれたトランさんは、子ども時代にベトナムから家族でアメリカに移住。大学で学んだラテン語、ギリシャ語、サンスクリット語、ドイツ語の先生でもあるマルチリンガルです

言語オタクの彼いわく、言語はツール。ユーモアを交えてわかりやすく説明してくれるトランさんのトークに引き込まれました。仮定法は、可能性や反実仮想など、さまざまなニュアンスを表現することができるツールなのです。

でも、もしその仮定法がないとしたら……?
トランさんによると、ベトナム語には英語のような仮定法がないそうです。

もしある言語に仮定法がなくて、「あのときあれができたとしたら」のような思いが表現できないとしたらどうでしょうか? それがベトナム語だったら? わたしの父にとっては、(一家でベトナムからアメリカに渡った)1975年に実際とは別の現実は存在しなかったのです。起きたことと起きなかったことだけがありました。もし父がこうあるべきだったという人生を思って胸を痛めていたとしても、それを表現する言語を持ち合わせていませんでした。(中略)ベトナム語には、ありのままの直接法しか存在しなかったのです。

TED」より翻訳引用

物事は、やるか、やらないか。

トランさんは、移民としてアメリカで暮らすようになった両親にとって、仮定法のないベトナム語での思考がその苦労を支えるのに役立ったと言います。なぜなら、「もしもこうだったら」などと過去を後悔したり、「もしこうなったら」と将来を憂えることもないから

ベトナム語を話す彼の父親にとって、物事は「やるかやらないか」であり、英語や日本語のように「できないかもしれない」「もしこうだったらできるかも」のように曖昧な発想や、条件つきの考えは思い浮かばない。いえ、もし浮かんだとしてもそれを言葉に表す術がないのです。

となると、思考が先にあってそれが言語化されるのではなく、話す言語が思考をつくるのだろうかと考えさせられます。

使う言語が思考をつくる?

20180511_word

思考とまではいかなくても、言語によってコンセプトが存在しないということはあります。言語研究機関の「Linguistic Society of America(アメリカ言語学会)」では、オーストラリアのグーグ・イミディル語には、右左や前後を表す単語がないと説明しています。

たとえば、「子どもが家の前にいる」という代わりに「子どもが家の東にいる」というように、位置は東西南北を使って表現されるそうです。

また、ブラジルのジャングルに住むPirahã(ピラハ)族の言語には、「1、2、3」と数を表す言葉がありません。あるのは、「少量・少数」」「それよりも大きな量や数」「ひとまとまり」だけだそうです。それならば、ピラハ族には「犬が1匹」とか「100人の人」といった数量のコンセプトがなく、同じものを見てもわたしたちと同じような思考にはならないか、少なくとも同じ表現は不可能なことになります。

Linguistic Society of Americaは、言語と思考の関係についてこう言っています。

話す言語に単語が存在するものしか人には見えていないわけではありません。ただ、まわりのものをどういうふうにグループ分けするかには言語が影響を与えることがあります。(中略)つまり、言語の影響というのは、何を考えるか、何を考えることができるのかということによりも、現実をどんなカテゴリーに分けてそれをどう名付けるのかに及びます。そのときには、おそらく言語と思考の両方が文化に左右されているのです。

Linguistic Society of America」より翻訳引用

なるほど、ひとの思考は言語だけではなく、文化や環境も深く関わってくるんですね。

ベトナム系アメリカ人の英語のなぞが解けた

筆者はアメリカで暮らしていて、ベトナム系アメリカ人、とくに年配の人の英語がぶっきらぼうに聞こえることが多いと感じていました。

たとえば、大部分の人が「I would like to ask you to go......」と依頼するような場面で、「I ask you to go......」「Go to......」のようなストレートで、ややもするとぶっきらぼうに聞こえる話し方ですね。でも、トランさんの説明で納得がいきました。 でも一方で、ベトナム語と仮定法がある言語を担当する通訳さんは大変そう!

海外の人と話すときには、使っている言語にこのような母語の干渉があることも念頭に入れておいたほうがよさそうです。

TEDxDirigo, slate, Linguistic Society of America

Image via Getty Images

ぬえよしこ

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