さまざまな情報が溢れる現代において、的確に状況判断していく場面がビジネスでは数多くあります。そのジャッジを偏りなく、幅広い視点で的確に行なっていくためには、何か特別なスキルが必要なのでしょうか。
瀬木比呂志著『リベラルアーツの学び方』より、実践の場で役に立つリベラルアーツの身につけ方をご紹介します。
リベラルアーツとは単なる知識ではない
僕の考える教養、リベラルアーツの最も重要な性格は、ボーダレス、ジャンルレスの横断的共通性です。つまり、ジャンルによる上下の区別も付けないし、ジャンルの区別も絶対的なものとはみません。(中略)いいかえれば、リベラルアーツを学ぶことによって、僕たちは、考える力と感じる力の双方を、ともに伸ばすことができるのです。
35・37ページより引用
裁判官として活躍した後に研究者に転身した著者は、リベラルアーツの起源は、ギリシア・ローマ時代にまでさかのぼるといいます。当時は自由人(奴隷ではない人)が学ぶ必要のある文法学・算術・音楽などを指していて、現在の大学でいう教養課程に属する科目であったといいます。
近年注目されている意味におけるリベラルアーツは、大学の基本科目というよりも、そのもともとの意味である「人の精神を自由にする幅広い基礎的学問・教養」という趣旨であり、横断的な共通性、つながりを重視するといった含みを持つ言葉であるといわれています。
実践的な意味のある生きた教養を身につけて自分のものとして消化、それを横断的に結びつけて、広い視野と独自の視点を獲得していく。そこから得た発想を生かし、新たな仕事や企画にチャレンジすることによって、人生をより深く、意義あるものにしていくことができるのかもしれません。
物事の本質をとらえ、自分なりの「定点」を定める
リベラルアーツを身につける、あるいは個々の書物や芸術を通して本当の教養を身につけるに当たってまず重要なのは、個々の対象に接する過程で、批評的・構造的なものの見方、物事の捉え方を学ぶことだと思います。(中略)批評的・構造的なものの見方、物事のとらえ方においてポイントとなるのは、自分なりの批評の「定点」、基準点を定め、それをしっかりと保つことです。
84・85ページより引用
ビジネスにおいて、物事の本質をとらえるスキルは大変重要です。マーケットにおける人々の行動や志向の変化、ビジネスのトレンドにしても、本質をつかんでリベラルアーツを身につける必要性は大いにあります。
そのためには、さまざまな方法と戦略があると著者はいいます。批評的・構造的なものの見方、物事のとらえ方をしていくためには、自分なりの批評の「定点」を定めて、しっかりと保つことがポイントなのだとか。「定点」を欠いた批評は、自己の知識と見解の主観的・趣味的な羅列になりがちだといいます。
「定点」をしっかりと確定していくためには、「広がりと奥行きのあるものの見方」と「洞察力と直感により本質をつかむものの見方」の2つが大事。日本人は、知的水準の高い民族だといわれていますが、昨今、メディアで発信される情報の受け止め方としては、自分の実感だけに基づいた「印象批評」が多いといえそうです。
まずその物事に対して、正確な情報や事実を確定。次に、それらを的確に位置づけたうえで自分の意見を組み立てる。このプロセスを踏んでいくことによって、リベラルアーツは身についていくようです。
質と希少性の高い情報を厳選する
これは、リベラルアーツに関する情報収拾や処理にも役立ちますが、それにとどまらない一般的なスキルでもあります。まず、情報を精選することです。自分独自の思考や発想を持ちたい、オリジナリティーをもちたいと考える人については、ことにそのようにいえます。自らの思考力の強化、視野の拡大、新たな発想の獲得に生かすつもりであれば情報については、その質と希少性をみるべきです。
115ページより引用
リベラルアーツを身につけて、ビジネスで役立てていくためには、情報収拾や処理の仕方がカギであるといえるでしょう。現代は、情報の時代。さまざまな質のコンテンツが乱立し、満ち溢れています。情報に溺れてしまい、踊らされる人々も多いのではないでしょうか。
まず、情報を精選していくことの大切さを著者は語っています。誰もが得ている一般的な情報や、自身の耳や心に心地いい情報は、いわばジャンクフードみたいなもので、後には何も残らないといいます。質と希少性の高い情報は、受け手にも一定の対価……思考と時間を要求するものであるのだとか。
著者は、まず書物から、そして補充的にインターネットから情報を得ているといいます。書物から得られる情報、思考、感覚の質の高さ、希少性は、他の媒体より格段に優れているといいます。日本においても、ハイキャリア女性の読書量は、一般的な成人の約4倍という調査結果もあるのだとか。インターネットは、端的に言えば図書館代わりとして利用。自分が持っている情報は正確か、より新しいかといった細部を詰めていくときに、インターネットは有用なようです。
書物をメインにインターネットで補う。価値ある情報収拾で、リベラルアーツを効果的に身につけていきたいものです。
リベラルアーツの学び方
著者:瀬木比呂志
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価:1,500円(税別)
Image via Shutterstock
Ranking
子どものスマホデビュー前に確認しておきたい注意点とポイント
Sponsored
肌もボロボロになる? 女医に聞いた「花粉症の噂」の本当のところ
Sponsored
女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法
Sponsored
子どものスマホデビュー前に確認しておきたい注意点とポイント
Sponsored
肌もボロボロになる? 女医に聞いた「花粉症の噂」の本当のところ
Sponsored
女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法
Sponsored
子どものスマホデビュー前に確認しておきたい注意点とポイント
Sponsored
女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法
Sponsored