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「荘厳」のひと言。宗教美術と服飾の歴史が生み出した美しいコスチューム

2018年5月上旬に開催された「METガラ」。ニューヨーク・メトロポリタン美術館(以下、メット)にセレブが集うファッションの祭典で、日本からはモデルの森 星さんが参加したことでも話題になりました。毎年、1つのテーマが設けられるMETガラ。今年のテーマは「ファッションとカトリックのイマジネーション」であったことから、列席者は法王のような出で立ちだったり、天使の羽をつけていたり。

ハイブランドの歴代コスチュームが勢ぞろい

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Gallery View, Medieval Europe Gallery. Image: © The Metropolitan Museum of Art

とかく、セレブのきらびやかな装いが注目を集めがちですが、今回フォーカスするのはMETガラではなく、メットで開催中の展覧会について。展覧会タイトルは「Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination」カトリックが多くのファッションデザイナーに影響を与えてきたことを示唆する内容となっています。

たとえば、カトリックの図像をウェアの柄として用いている「ヴェルサーチ」や、聖体拝領式のドレスにインスパイアされた「シャネル」のウェディングドレス、ジョン・ガリアーノが「クリスチャン・ディオール」在籍中にデザインした法王を彷彿とさせるアンサンブルなど、150点以上のコスチュームがずらり。

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Gallery View, Mary and Michael Jaharis Galleries for Byzantine Art. Image: © The Metropolitan Museum of Art

さらにバチカン市国のシスティーナ礼拝堂が所蔵する宝飾品や祭服なども。その多くはこれまでバチカンの外に持ち出されたことがないもので、衣装のなかには、現在も実際に使用されているものが含まれているのだとか。

バチカンがこれだけの規模の展示品をメットに貸し出すのは、1983年に行われた「バチカンコレクション展」以来。同展の集客数はメット歴代3位を記録しているとあり、本企画展にも期待がかかっています。

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Gallery View, Fuentidueña Chapel. Image: © The Metropolitan Museum of Art

キュレーターの熱がこもった企画展。ファッションと宗教の対話

25の展示室を使って展開される本展は、メットのコスチューム・インスティチュートが手がける過去最大規模の展覧会。ここまで気合が入っている背景には、本展のキュレーターを務めるアンドリュー・ボルトンの熱意があります。彼は「1980年代の文化戦争のころから草案を温めていた」というのです。

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Gallery View, Romanesque Hall. Image: © The Metropolitan Museum of Art

宗教を主題にすることは、いつの時代においても繊細な配慮が必要。ですが、世界中で宗教問題が武装化と政治化を招き、さらにカトリック教会内部が保守派とリベラル派で分裂している現代において、このテーマを扱うことは、メットにとっての挑戦と言えるでしょう。ボルトン自身も、同展が物議を醸す可能性を認めています。

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Gallery View, Medieval Sculpture Hall. Image: © The Metropolitan Museum of Art

しかし彼が目指しているのは、あくまで美術的観点による考察。「カトリックのイメージがいかにデザイナーに影響を及ぼしたのか」「美術館のコンテクストのなかで、ファッションと宗教美術に対話させる」とボルトンは話します。

デザイナーの意匠に思い巡らせて

これは筆者の個人的見解ですが、本展、特に日本人はフラットな気持ちで堪能できるのでは、と思っています。そう感じたのは、2008年のISSP(International Social Survey Programme)における「神についての国際比較」の結果を見たから。

同調査の調査対象国のなかで「神の存在を信じる」という回答は、日本がダントツ少ない4.4%。しかし「神の存在を信じるときもあるし、信じないときもある」32.2%と、これまた飛び抜けて多く、対象国中1位。つまり日本人は、気分によって神の存在を信じる傾向にあるということ。

神仏について存在をはっきりさせる必要がない、というのは日本古来の性質のようで、「神仏については単純に信じてもいけないし、嘘と決めつけてもいけない」とは『徒然草』にも書かれています。よって日本人は特定の宗教に傾倒していないだけで、宗教心は持っている国民に違いありません。となれば、われわれはカトリックに影響を受けたデザイナーたちの気持ちに優しく寄り添うことができるのではないかな……と、思ったわけです。

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Gallery View, Cuxa Cloister. Image: © The Metropolitan Museum of Art

少々、こじつけ的になりました。そもそもメットの荘厳な空間に配されたコスチュームや美術品はただただ美しいので、難しいことは考えなくて構いません。宗教と装飾文化の歴史が生み出した美しきものに、心を委ねてみてください。

Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination

開催日程:〜2018年10月8日(月祝) / 会場:The Met Cloisters, The Met Fifth Avenue: Medieval Galleries, Anna Wintour Costume Center

THE MET

多田亜矢子

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