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同性カップルの家事分担に「恨みつらみ」が少ないワケ

The New York Times

料理や庭の芝刈り、子供の習い事のスケジュール管理にゴミ出し——。一口に家事といっても様々だが、異性同士のカップルではジェンダー的な役割に沿って家事を分担することが多い。一方、同性カップルの家事分担はより公平、と過去の調査は示してきた。

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自宅で息子のジャクソンくん(2歳)と愛犬パーカーと過ごすジェレド・ハントさんとドリアン・ケンダルさん。2018年5月3日サンフランシスコにて撮影(Jason Henry/The New York Times)

同性カップルでも、育児中は分業が進む

しかし、同性カップルを対象とした、より大規模な最新の調査では、意外な事実が明らかになった。同性カップルでも、子どもを持って親になると、異性カップルの家庭で見られるような役割分担を始めるのだ。異性カップルと比べればまだ公平ではあるものの、収入が少ない配偶者の方が家事や育児を多めに担うことが多いと言う。これはつまり、不公平な分担は単にジェンダー的な役割のせいではなく、仕事や社会の大部分がいまだに「働き手が一人の家庭」という前提の上に成り立っていることを示している。

「異性カップルの間に子供ができると、家事の分担は偏りがちになりますが、同性カップルでも同じ現象が起きていることがわかりました。社会全体が、伝統的な役割分担を踏襲せざるを得ない状況なのです」とカリフォルニア臨床心理大学院のロバート=ジェイ・グリーン名誉教授は指摘する。

「一方が働き、もう一方が家事・育児」という思い込み

その要因としては、24時間体制の対応を期待する雇用主、有給の育児休暇制度や公立幼稚園の欠如などが挙げられる。それから、目に見えない小さなハードルもある。「子供の面倒を主に受け持つのは片親」という小児科医や教師、祖父母の思い込みだ。

「共稼ぎで髪を振り乱しながら公平な役割分担を目指すより、自分が家庭に入った方が楽に思える。だって、全部するのは不可能でしょ」と言うのはワイオミング州シャイアン在住のセーラ・プルイスさん。フルタイムで働く同性の配偶者と、5人の子供を育てている。

かつてノーベル賞経済学者のゲーリー・ベッカーは、経済効率を実現するための結婚制度という理論を提示した。「夫は仕事、妻は家事と育児に専念」という考え方だ。しかし、この数十年で女性は妊娠や出産を自分で決められるようになり、労働市場への参入も果たした。結婚では、パートナーシップがより重視されるようになっている。

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Jason Henry/The New York Times

夫より稼いでも、家事は女性にのしかかる

それにもかかわらず、いまだに妻は夫より多くの家事を担っている。夫以上に稼いでいる女性の場合であってもだ。さらに、家事の分担はジェンダー的な役割に沿うことが社会科学的研究で示されている。女性の担当は主に家の中に集中し、料理、掃除、洗濯、育児など頻度の高いものが多い。男性はゴミ出しや芝刈り、洗車など、主に発生頻度が低い屋外の家事を担当する。

同性カップルに関する数十件の研究によると、同性カップルは家庭内労働をより平等に分担すると言う。伝統的な性役割を基準としないため、より公平性を重視する傾向にあるのだ。

また、性別による賃金格差がないため、必ずしも稼ぐ力に大きな差はなく、共稼ぎが多い。同性婚が法的に認められる前は、どちらかが仕事を辞めることには経済的なリスクがあった。パートナーと別れた場合や死別した場合、共同財産の権利をほとんど主張できなかったからだ。

同性カップルの結婚・育児と家事分担の変化

しかし近年になって、公的データが増えたことで、同性カップルがどのように家事を分担しているかが詳しく分かるようになった。

1975年と2000年に実施したアンケート結果をもとにした研究によると、異性カップルの家事分担は1975年に比べて2000年にはより公平になったが、同性カップルの場合、より不平等になった。筆者の一人であるグリーン教授は、2000年の調査では、結婚して親になった同性カップルが増えたことを理由に挙げる。

子どもができると負担が増すのはどのカップルも同じ

子供のいる同性カップルの間で労働の分業化が進む背景には、複数の要因があるようだ。クラーク大学で心理学を教えるアビー・ゴールドバーグ教授は、特に長時間労働の影響を指摘する。カップルの両方が自由度の高い仕事に就いている場合、または外部サービスを利用できるだけの収入がある場合、家事を分担する傾向が高かった。

「平等こそ理想、とするのは単純化し過ぎで、そんな現実は存在しません。実際には、同性カップルも異性カップルと全く同じ課題に直面しています。二人だけの時は順調に行っていても、出産したり養子を迎えたりしたとたん、膨大な量の家事が発生します」とゴールドバーグ教授は話す。

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Jason Henry/The New York Times

家事分担について不満が少ない同性カップル

子どもを持った同性カップルは、一般的に互いに違う役割を担当していても公平だと感じている。異性カップルの場合、その割合はそこまで高くない。公平性を実現するためのヒントがここにあるかもしれない。

公平さを感じる理由として、コミュニケーションをよくとること、育児の大部分を相手に任せている方が他の家事を負担すること、「男だから、女だから」といった精神的な負担が存在しないこと、などを同性カップルたちは挙げる。

公平と思える分担を

プルイスさん(41歳)とジャック・ストーナムさん(34歳)はレズビアンのカップルだが、それぞれ男性との結婚経験があり、2年前に再婚した時には合わせて5人の子供がいた。ストーナムさんはワイオミング州の空軍州兵でキャプテンの地位にあるフルタイムの軍人だ。

二人で話し合った結果、1度目の結婚でも専業主婦だったプルイスさんが家庭に入ることに決めた。最初の結婚時の分担と変わらないにもかかわらず、今の方が公平に感じるとプルイスさんは言う

「専業主婦になるのは当たり前、と想定されている感じが前はあった。今の時代は男女平等を謳っていても、実際の社会はそうじゃない。だから結局は夫に不満を持つようになってしまった。でも今度の分担は、自分が意識的に決めたことだと思える

ストーナムさんも言う。「誰が何をして当然、と思い込むのではなく、話し合いで分担を決めることが多い。共稼ぎだったら家事のやりくりが大変だったろうけど、彼女のおかげでキャリアに集中できている。なんて恵まれているんだろう、と毎日思っている」

© 2018 New York Times News Service[原文:How Same-Sex Couples Divide Chores, and What It Reveals About Modern Parenting/執筆:Claire Cain Miller](翻訳:Ikuyo.W)

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