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「セックス・アンド・ザ・シティ」で人生が変わった

The New York Times

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大ヒットを飛ばしたドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の影響を受けて、実際にニューヨークに移り住んだ人、夢破れた人。さまざまな意見を集めた。

みんなを魅了した「SATC」の夢

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Photo Courtesy of HBO/Getty Images

1998年6月6日、HBOで「セックス・アンド・ザ・シティ」(以下SATC)の第1回が放送され、キャリー、シャーロット、ミランダ、サマンサが世に登場。4人の独身女性たちがマンハッタンにセンセーションを巻き起こした。

この作品がこれ以後のテレビドラマのみならず、ドラマにおける女性同士の友情やセックスの描写にどのような革命を起こしたかについては既にさんざん書かれてきたが、今回はそれとは別の視点で、「SATC」の夢——自分にとってのミスター・ビッグを見つけ、ハンプトンズでカクテルを飲む——をかなえるためにニューヨークにやって来た、若くて野心的な独身の社会人への影響を探った。

アンケート調査では、このドラマに映し出されたマンハッタンがどれほど魅力的だったか——同性愛者の友人とのブランチ、やりがいのある仕事、次々に現れては結婚を迫るハンサムな男たち、そして買い物ざんまい——について詳しく語る人も多かったが、その一方で、カップケーキの店に長い行列ができ、ある回答者の言葉を借りれば「自己陶酔した退屈なファン」が殺到するようになってからは、ウエストビレッジ、特にマンハッタンのダウンタウンの良さが失われてしまったと批判する意見も多かった。ここで回答の一部を紹介する。

キャリー・ブラッドーショーを夢見たタイプ……マノラ・ブラニクの靴に憧れました編

マーガレット・エイブラムス(28)
職業:ライフスタイル問題を専門とするライター
出身:フロリダ州ボカラトン
ニューヨークに引っ越した年:2014年
現在の住まい:ブルックリン・ウィリアムズバーグにあるワンルームアパート

キャリーと同じような職業に

学校から帰って母親に許可をもらったときは、家でずっとこのドラマのVHSを見てました。原作者キャンディス・ブシュネルが書いた本も全部読みました。映画のプレミア上映には彼女のスタイルをまねて行きました。ウェービーな髪にアクセサリーをじゃらじゃら着けて。

「なんとしてでもニューヨークに引っ越さなくちゃ」そう思ってました。ハンプトンズで休日を過ごし、バスに乗る。『Four Blondes』を読んでから、ニューヨークの華やかさを心に思い描くようになったんです。

ライフスタイルに関するライターに

ニューヨークに越して来たのは4年前。キャリー(と少しだけシャーロット)みたいになるという夢を持って、フリーランスで女性のライフスタイルについての文章を書きながら、その夏は知り合いの家を泊まり歩きました。

今は「ニューヨーク・オブザーバー」誌でライフスタイルをテーマにしたライターとして働いています。キャリーとまさに一緒(彼女みたいな靴専用のクローゼットは持ってないけど)。

ポップカルチャーに関する記事を書きながら、今はミレニアル世代の「SATC」への答えとして、初めての本を出そうとしているところです。

パトリック・カーター(30)
職業:ハイライン公園のイベントディレクター
出身:メリーランド州ベルエア
ニューヨークに引っ越した年:2010年
現在の住まい:ヘルズキッチン

同性愛者の仲間、彼氏ができた

ニューヨークに移ってきたのはこのドラマの影響だということは分かってますが、具体的な理由をちゃんと言ったことはないんです。同性愛者だった僕には、自分と似たようなタイプの仲のいい友達グループがいませんでした。大学で初めてそういう関係の友達もできたけど、まだ足りないものがあって。それがニューヨークという街でした。

8年近く前、アッパーイーストサイドのまた貸しのワンルームまで両親に送ってもらい、これで初めてデートができるという自由を手に、ニューヨークで自分の家族を見つける旅が始まりました。

まるでキャリーのような出会いをした

デートにつきもののいろいろ大変なことも、これまでに出会った子たちのおかげで耐えられた。キャリーとミランダ、シャーロットとサマンサの僕バージョンでは、彼らは仕事、つらいこと、怒り、希望、あらゆることを一緒に分かち合ってくれたんです

ある年の8月、ファイアーアイランドで男性とちょっとだけ言葉を交わしました。でも彼は彼氏と別れようとしているところで、それ以上の関係には発展しなかったんです。それから数ヶ月後、たまたまジョーズ・パブに並んでいた僕の写真がニューヨーク・タイムズのスタイルコーナーに載り、彼からメールをもらいました。それ以来、付き合っているんです。

彼と連絡をするようになったいきさつを親友に話したら、「すごくキャリーっぽいね」と言われました。

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Photo by Mark Mainz/Getty Images

ニューヨークは大好きだけど……この街に来て去った人々編

セヴィア・フイ(47)
職業:セールスフォースのシニアプログラムマネジャー
出身:カリフォルニア州サンフランシスコ
ニューヨークに引っ越した年:2009年
現在の住まい:カリフォルニア州バーリンゲーム

人生に絶望し、ニューヨークへ

息子のジャックは生まれて3週間しか生きられなくて。息子が亡くなってすぐ結婚生活が破綻しました。私は絶望してました。私の人生これで終わったなって。その当時いたのはロサンゼルスで、友人たちが住んでる場所に近いベイエリアに戻りました。

友人たちはたくさんの愛とサポートをくれましたが、自分の喪失感をどうすればいいかを教えてくれるものはどこにもありませんでした。友人たちの子どもの誕生会に呼ばれないことも多かった。子どものことを思い出させたら悪いという気遣いはありがたかったけど、自分だけ招かれないのはかえってみじめで、このままではいけないという気になりました。

38歳、バツイチになりたて、子どもなし。でも完全に自由でもありました。どこにでも自分が好きな場所に住める。そうして選んだのがニューヨークだったんです

ニューヨークは前からずっと好きでした。当時の大半の女性と同じく、「SATC」は現実逃避できるドラマとして好きだったんです。友人たちにはよくシャーロット・タイプだと言われていて、2009年にニューヨークに引っ越したときは彼女に一番、自分を重ね合わせていました。

自分のタイプはシャーロットではなくキャリーだった

自分の持ち物を全部倉庫に預け、片道切符を買い、自分の体験をつづるためにSevinthecityというブログも立ち上げました。

フォローしてくれている数人と自分の体験を分かち合えるように、できるだけいろんなことをブログに書きました。そうこうしているうちに1年間だけ滞在するつもりが7年に。2回恋愛し、2回失恋し、4つのアパートメントに移り住みました。

2016年にサンフランシスコに戻って来たときは、もうシャーロットに自分を重ね合わせていないことに気付きました。ニューヨークで信じられないような7年間を過ごしてみて発見したのは、私は最初からずっとキャリー・タイプだったということ。私のクローゼットを見れば分かるはずです。

エリン・ギルモア・アレン(33)
職業:石油ガス会社の営業部長
出身:ミズーリ州セントルイス
ニューヨークに引っ越した年:2008年
現在の住まい:テキサス州ヒューストン。夫と二人暮らし

狭い部屋で孤独な生活

NFLのチアリーダーだったときにニュージャージー州ジャージーシティの金融会社からマーケティングの仕事をしないかというオファーがあり、自分が持っている学位と、自分が目標とする女性になれるチャンスに飛びつきました。

チャイナタウンに住んでいたときの部屋の広さは、実家のダイニングルームのラグマットほど。1か月の家賃750ドル払って得られたのは「1日に1回」バスルームを使える権利。(ドラッグストアの)デュアン・リードのショッピングバッグに用を足さなければいけない夜もありました。こんなこと、サマンサならありえないですよね。

毎晩、非常階段から父親に電話した

孤独でした。毎晩、自分の部屋の外にある非常階段から父に電話した。そこが一人になれる唯一の場所だったんです。毎晩、ニューヨークの美しいけれど独特の生活について愚痴を言って。それが、亡くなった父との一番の会話でした。離婚して以来、ニューヨークに行くまでは父と電話で話すことがなかったんです。

父は、私の周りでこのおかしな街についての唯一の理解者でした。神様がニューヨークに行くチャンスをくれたのは、ミスター・ビッグを見つけるためじゃなく、父と和解するためだったんだと思います。

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Photo by Mark Mainz/Getty Images

あのドラマのせいでニューヨークはダメになった 批判派編

フランチェスカ・ロメオ(41)
職業:博士課程の学生
出身:カリフォルニア州サンフランシスコベイエリア
ニューヨークに引っ越した年:1997年
現在の住まい:カリフォルニア州サンタクルーズ

キャリーたちのようなチャンスをつかんだ人はまれ

このドラマを見てニューヨークに引っ越したわけじゃなく、それ以前から住んでいました。

1998年、ロウアーイーストサイドで「モーターシティーバー」をやっていた私には、スクオッター(不法占拠者)からDJ、ミュージシャン、アーティスト、ジャンキーまでいろんな知り合いがいました。みんな、家賃を払うのに苦労し、社会正義を求めていて、キャリーやシャーロットたちが苦もなく手に入れているようなチャンスをつかむことはめったになかった。

ドラマの信者のせいで昔のニューヨークが消えていく

昔のニューヨークは、それまで住んでいた私たちに代わろうとしているこのドラマの大勢の信者のせいで姿を消しつつあります。「SATC」は女性を、男性を手に入れようと必死で、安定を求め、男性から認められることで自信をつけることができる存在として描いていました。

ごくたまにですが、ロウアーイーストサイドの屋上から昔のニューヨークの輝きが見えることがあります。市内のバーが閉店し、眠らない街が休息しているような時間が訪れてからの夜明け。

それを眺めていると、自分の無邪気な冒険を思い出し、日の出がありのままの魅力を映し出すのを見ながら、懐かしい過去を思い出しますね。

ジョシュア・コッツ(35)
職業:医師
出身:モンタナ州
ニューヨークに引っ越した年:2011年
現在の住まい:マサチューセッツ州チェルシーにあるエレベーターのないアパートメント

SATCに憧れていた彼女と別れた

このドラマは一部の女性には非現実的な夢を与えたと思います。そのうちの一人と付き合ったことがあります。

付き合い始めて1年を祝うディナーのサプライズとして、住まいの隣にあったベーカリーのおいしいパンをテーブルに並ベました。すると彼女の妹が、これはマグノリア・ベーカリーのものかと聞くんです。ドラマに出て来る店だというわけで、観光客がたくさんの並ぶようになったあのベーカリーです。

ドラマに出てくるカップケーキと違うことに失望した彼女

違うよと答えると、彼女は「なーんだ」という表情を浮かべました。あそこよりはるかにおいしいベーカリーだよと言うと、2人は失望したのを隠すように興味があるふりをしながら、お世辞のようにちょっと食べてみせました。結局、その彼女とは数週間後には別れてしまいました。

別れてから数か月しないうちに分かってきたんです。彼女がうっとりしていた地下のアパートメント、買う物、靴、僕が用意した誕生日のケーキにがっかりしたこと。そのどれもが、彼女が目を皿のようにして繰り返し見ていたあのドラマの現実離れした生活に関係していたんだなって。僕にとってはすごく陳腐な生活に思えましたけどね。

© 2018 New York Times News Service[原文:True Tales of ‘Sex and the City’/執筆:Ben Widdicombe and The New York Times](抄訳:Misako N)

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