マウスに回し車を与えるとマウスはその中で走るようになるが、消費カロリーはそれほど増えない。なぜなら、走っていない時の行動も変わってしまうから──。
運動するマウスの行動と代謝に関する最近の研究で、こんなことが判明した。マウスの実験とはいえ、減量のために運動を始めた人も注目すべき結果だ。
消費カロリーは増えたのに……
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ここ数年の数々の研究で、運動だけでは減量に効果的でないという事実が明らかになっている。運動によって消費カロリーは増えるにもかかわらず、体重の減少は数学的な想定よりもはるかに少なかったのだ。
今回研究を行った米テキサス州のバンダービルト大学などの研究者らは、その理由について、人間でもその他の動物でも、運動をするとより空腹になり、より多くのカロリーを摂取するから、もしくは運動をしていないときに座っている時間が増えるからだろうと考えた。それによって運動で消費したカロリーを相殺してしまい、結果として体重が減らないのだろう、と。
研究では、回し車つきのケージに、若くて健康で標準的な体重のオスのマウスを入れ、その行動を観察した。その際、最初の4日間は回し車をロックして動かないようにし、その後の9日間はロックを外した。ロックを外してからはマウスは自由に回し車で走ることができ、また好きなように食べたり動き回ったりすることもできた。
するとマウスは進んで回し車に入って走り、乗って降りてを何時間も繰り返すようになった。結果、運動によるマウスのエネルギー消費は大幅に増加した。
運動をしていない時の行動が変化
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ところが、食習慣は変化していなかった。カロリー消費は増えても、食べる量は増えなかったのだ。
一方で、マウスの行動に変化があった。回し車で走り始めた直後から、回し車がロックされていた時のようにケージの中を歩き回らなくなった。 代わりに、回し車の中で走っていないときは休憩している時間が増え、歩き回る時間が減った。
体と脳がエネルギー不足を感知?
運動をしたマウスは、1日の消費カロリーが摂取カロリーを少し上回り、わずかにカロリー不足の状態だった。だがもしマウスが回し車がロックされていたときのようにケージの中を歩き回っていたとすれば、カロリー不足の程度は約45%も増えると推定されるという。
運動をしたマウスの歩き回る時間が減った理由は明らかではない。だが、研究を率いたバンダービルト大学医学部の分子生理学者ダニエル・ラーク氏によれば、疲れや時間不足が理由とは考えにくい。マウスにとって回し車を走ることは骨が折れるような作業ではないし、起きている間中ずっとしているわけでもないと、ラーク氏は指摘する。
それよりも、マウスが運動を始めたことでエネルギーが不足し始めたと体と脳が感知し、ペースを落としてエネルギーを温存し、ホメオタシス(恒常性)を維持し、体重を減らさないよう信号を送ったとラーク氏は考えている。
当然ながらマウスと人間は違うが、この研究結果が示唆しているのは、運動によって減量したいと考えているなら、食事にも注意し、また運動をしていないときに活動が減らないように注意すべきということだ。
©2018 The New York Times News Service[原文:Why Exercise Alone May Not Be the Key to Weight Loss/執筆:Gretchen Reynolds](抄訳:Masako. M)
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