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女性は少しの痛み止めでOK? 診療室でまさかの男女格差

The New York Times

女性の健康問題は、ドクターが持つ女性に対する先入観のために、きちんととりあってもらえない場合があります。アメリカの健康ジャーナリスト、カミラ・ノー・ペイガンが自らも経験したそんな状況をヒントにルポしました。

私は調子が悪いって言ってるのに……

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Image via Shutterstock

あら、あなた、元気そうよ」。かかりつけの女性ドクターに明るくそう言われた私は、診察台の上から信じられない思いで彼女の顔を見つめてしまった。

このところ、子どもたちと一緒にいるのが楽しくないし、仕事でも家庭でもやるべきことをやれなくて困っているんです、と今しがたドクターに訴えたばかりなのに。

私は健康ジャーナリストとして医師や精神科医を何十人も取材してきた。だから日常生活に支障が出るときは、助けが必要だという危険信号なのだと分かっていた。私は助けを求めていた。

けれど、かかりつけのドクターは、私に治療は必要ないと思い込んでいた。「薬の服用を考えるほどではないと思うわ。それに薬はクセになりがちだし。エクササイズやヨガを続けて。瞑想を取り入れるのも、いいかもしれないわね」。一応笑ってみせる、うちの先生。「それから、もっと睡眠時間を取るようにしてね」。

それらは試してみたけど、効果ないんです、と私は言った。不安があって寝つきが悪いし、安眠もできません。「でも……」と言いかけると、ドクターにパッと言葉をさえぎられた。「2、3か月してもまだ問題があったら、もう一度いらっしゃい。分かった? 」

私は仕方なくうなづいた。彼女は私と似ている。まだ割と若くて学歴があり、小さな子どもたちを抱える母親で、やることはたくさんある。その上、彼女の名前の後ろには「医学博士」と付いている。なのに私が本当に治療を必要としているんだって、彼女には分からないのかしら?

ドクターを変える、別の専門家に会う

別の専門家に会ってみる勇気を奮い起こすのには、それから何か月かかかった。訪ねたのは認知行動療法士で、私がかかりつけのドクターのところで味わった経験を聞いて呆れていた。そして私がラクになれるよう、今すぐできることがたくさんあると言ってくれた。

セラピーは効果があった。不安は2、3か月のうちに大きく減って、今度はもっと大きな問いを考える精神的な余裕ができた。すなわち、健康に関する不安をドクターに軽視されたり打ち消されたりすることって、女性にとってどのくらいよくあることなのだろうか、という疑問が湧いたのだ。

結果はなんと、「とてもよくあること」だった。「これは医療の世界で大きな問題となっています」と語るのは、ニューヨークにあるアルベルト・アインシュタイン医学校の教授で、生命倫理学者のティア・パウエル医師。女性が症状を訴えたり、理解してもらったり、治療を受けたりするときに、医療を提供する側が持つ潜在的な先入観が影響することがある、と言う。「医大や専門家のガイドラインではこの問題に向き合い始めていますが、まだまだやるべきことが多いのが現状です」

体重が減ると「ダイエット」という偏見

パウエル医師も自ら女性として、同様の経験があると言う。「しばらく前、2~3か月で5キロ近く体重が減ってしまったので、かかりつけのドクターのところへ行ったんです。自分では昔の病気が再発したサインじゃないかと思っていました。でもドクターはほとんど理由も挙げずに、そう思わないねと言い、さらに『それにダイエットもしてるでしょう』と言ったんです」。

そんなことは一言も言ってないのに、男性の患者だったら同じことを考えるかしら? と、パウエル医師はショックを受けたそう。別の医師にかかって検査を受けた結果、パウエル医師自身の見立てがあっていて昔の病気が再発していたため、直ちに治療を受けたという。

医療における格差は女性だけの問題では全くない。米国だったら、裕福でない場合、白人でない場合、ヘテロセクシュアルでない場合、受ける医療が最善とはいえない傾向がある。しかし、医療現場での扱われ方を男女間で比較する研究が進むにつれて、どんな女性にも共通して分かってきたことがある……。

男性より少ない鎮痛薬

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Image via Shutterstock

例えば、手術後の男性患者と女性患者を比べた場合、医師にしても看護師にしても、鎮痛薬による処置は女性患者に対する方が少ない。女性の方がより頻繁に、しかもかなりの程度の痛みを訴えているのに、だ。

またペンシルベニア大学の研究によると、緊急治療室で鎮痛処置を受ける際には、女性の方が男性よりも16分多く待たされているという。それから、痛みが「心因性」のものだとか、精神的苦痛によるものだと言われる傾向も、女性の方が高い

慢性的な痛みがある女性2400人以上を対象にした調査では83%が、医療専門家から性別に基づいた差別を受けたと感じたことがあると回答した。

深刻なサインが見逃されることも

医師たちの側からも証言がある。「たくさんの医者に会っているのに、単にストレスのせいだとか、そういった医者側の思い込みで片づけられてしまった女性たちを数えきれないほど診てきました」と言うのは、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学の神経外科医、フィオナ・グプタ博士だ。

「そうした患者たちの多くが後になって、多発性硬化症やパーキンソン病といった神経系の深刻な問題を診断されています。患者は何かおかしいと分かっているのに、それが軽視され、患者自身の直観を信じる必要はないという指示が与えられている。患者としては、きちんと取り合ってもらえていないと感じても、それをはっきり言いにくいでしょう」。

では、どうしたらいいのか。健康に関する不安をドクターに真剣に受け取ってもらうための3つのアドバイスを紹介する。

ドクターに真剣に聞いてもらうための3つのアドバイス

1. 診療ガイドラインについて聞いてみる

例えば「様子をみましょう」などとドクターに言われても、あなたが「それは違うのでは? 」と思ったら、こんな風に聞き返すといいとパウエル医師はアドバイスしている。

「先生がそう思われる根拠は何ですか? この症状に関する診療ガイドラインはありますか? そのガイドラインは何と言っていますか?

パウエル医師いわく、「診療ガイドラインはデータに基づいていて極めて客観的。ドクターがそうしたガイドラインにのっとっていれば、女性にとって状況はより良いと言えます」

2. 不安をダイレクトに伝える

それでもまだまともに取り合ってもらえていないと感じたら、自分の不安をダイレクトに伝えてみることだとパウエル医師は言う。「先生に私の話をちゃんと聞いてもらえているのか不安です。先生はなぜ今の状態なら問題ないと考えるのか、私に分かるように教えてください」といったようにだ。

「良い医師だって先入観を持っていることはあります。でも良い医師ならば一歩下がって、『ちゃんと聞いていますよ。とにかく不安を全て話し合ってみましょう』ということができるはずです」

3. 自分の感覚が最も大事

「女性として私たちは若いころから、身体や精神の健康が黄信号を示したときに、自分でどうしてか考えるようにと教わっています」とグプタ医師。

なのに例えば、エール大学の心臓病研究によると、自分の症状を心気症だと思われることを心配して、心臓発作の治療を求めることをためらっていた女性が多くいた。

自分の症状に関する不安を口にすることは、決して大げさなことでも自己診断でもなければ、医療提供者になり代わろうとする行為でもない。「自分の身体がどこかおかしいと感じたら、たとえドクターが同意してくれなくても、自分の感じを大切にして。たとえ、あなたの方が間違っていたって、黙っていて手遅れになってしまうよりはいいのだから」。

それから女性のドクターの方が、男性のドクターよりも女性に平等な治療を行ってくれるという根拠はほとんどありません。パウエル医師いわく良いドクターとは、医療を一方的に指示するものと考えるのではなく、会話として捉え、あなたの言葉によく耳を貸してくれるドクターです。

©2018 The New York Times News Service[原文:When Doctors Downplay Women’s Health Concerns/執筆:Camille Noe Pagan](翻訳:Tomoko.A)

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