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フィンランド流、女性もLGBTも生きやすい社会の作り方

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「女性が働きやすく、LGBTの人が暮らしやすい国は?」と聞かれれば、北欧の国々をイメージする人はきっと多いでしょう。

たとえばフィンランドは、父親が育児にかける時間の長さは世界トップクラスで、ジェンダー・ギャップ指数も世界3位。また、中学校の社会科教科書を開けば冒頭の章で同性カップルについて触れられているほど、LGBTがふつうに受け入れられています。

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ヘルシンキ大学でジェンダーや性の平等に関する調査研究をしているユッカ・レヘトネンさんに、「フィンランドではどうしてそんなに女性やLGBTの人々が生きやすい社会になっているんですか?」と聞くと、意外な答えが戻ってきました。

いえ、フィンランドもまだまだなんです。昔よりは減ってきたものの、差別やハラスメントはたくさん起きています。だからこそ、実態の調査や社会への提言が必要だと考えて、私は研究を始めたんです」

ユッカ・レヘトネン さん
ヘルシンキ大学専任講師、ジェンダー学の上級研究員。研究テーマは、教育現場と職場環境における性の平等と多様性。約30年にわたって、性の多様性や性自認について研究を行っている。Seta(性的少数者の人権を擁護するフィンランドの非営利団体)の教育部門担当者として活躍。若者と教師の性の多様性や教育を専門とし、教材開発や実態調査などを行っている。現在は、職業と性のダイバーシティについて研究するWeAll-projectのメンバー。

「性教育」が豊かな社会をつくっているの?

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若者への教育もレヘトネンさんの研究テーマ。フィンランドを含め、北欧は性教育が充実していると言われています。そのことが、ジェンダーが平等な社会を形作るのに大きな役割を果たしているのでしょうか。

「性教育は一人ひとりの人生と健康を守る上で非常に重要です。ただ、社会を変えるには学校の授業だけでは足りません。おそらく教育以外で日本との大きな違いを挙げるならば、“法律”の部分と言えるでしょう」

法律……? たとえばセクハラ被害を受けて、裁判にまで発展すれば大きく関わってきそうですが、法律が日常の社会にもそれほど大きな変化をもたらすものなのか、日本で働く女性からしたらピンとこないのも事実です。

法律があるからうまくやれる

「フィンランドでは2015年に『ジェンダー平等と差別禁止法』ができました。それ以降、すべての学校と20人以上の会社で、ジェンダー平等を進める行動計画をつくることが義務とされています」

この計画づくりには教員と生徒、雇用者と従業員、どちらも参加することが定められていて、たとえば会社であれば、男女の給与格差や昇進の差を把握し、どう解消するかを話し合ったり、セクハラや差別が起きたときには、会社としてどのように対応するかを取り決めたガイドラインを作ったりするのだそう。

「ジェンダー平等を推進しましょう」と号令をかけるだけ、「ハラスメント対策室を設置しました」と形を整えるだけではダメなのです。

たとえ法律がなくても……

「こうした法律が日本でもできると、ダイバーシティに富んだ職場をつくっていきたいと考える女性ビジネスリーダーにとって、後ろ盾となってくれるでしょう。組織として取り組むべきと法律で決められていれば、社内から反対の声はあがりにくいはずです」

もし法律がなくても、ビジネスリーダーならできることはある、とレヘトネンさんは言います。

「『責任者をおく』ということも大きな変化をもたらします。たとえばノキアには、ダイバーシティ推進専門の担当者がいます。人件費をかけてこの問題にあたるんだ、とリーダーが示すことが重要なんです」

ダイバーシティの追求は、社会にも企業にもメリットが

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レヘトネンさんによれば、LGBTの人はキャリア選択の際に、男性優位の職場や職種を避けるケースが多いとのこと。ハラスメントを受ける可能性が高いと考えるのです。

女性でも、同じように考える人は多いかもしれません。これを会社側から見れば、ダイバーシティに配慮のない会社は、さまざまな個性や高い能力をもった多くの入社希望者を逃し、その中から優秀な人材を得るチャンスを失っていることになります。

「社会がダイバーシティを追求すべきなのはなによりもまず、差別を受けて苦しむ人をなくすため。けれどそれが同時に企業に利益をもたらすことにもなるのです」

教育、法律、そして、ビジネスリーダーの決断が社会を少しずつ変えていく。フィンランドの進む道は決して極端なものではなく、とりわけ型破りなものでもありません。

レヘトネンさんの言葉の端々には「だから、日本でもきっとできますよ。フィンランドだってまだまだです。一緒に前に進んでいきましょう」という励ましがにじんでいました。


取材・文/江口絵理、撮影/野澤朋代、協力:フィンランド大使館

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江口絵理

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