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フィンランドからやってきた、心を軽くする小さな絵本

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指先には黒いインクの染み。ほんの数秒でも空白の時間があれば、お気に入りの筆ペンでなにやらスケッチブックに線を描いている。

手元をのぞき込むと、そのままマグカップのデザインになりそうな個性あふれるフクロウがずらりと並んでいた。

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マッティさんはいつもスケッチブックとペンを持ち歩き、常に何かを描いている。

マッティ・ピックヤムサさんは、世界中に多くのファンをもつイラストレーター/テキスタイルデザイナー。日本でも大人気だが、マリメッコカウニステなどフィンランドを代表するブランドのデザインで彼の作品をそうとは知らずに目にしている人も多いだろう。

動物たちが語るメンタルヘルス

「描いていると気持ちが落ち着くんだよね」

マッティさんは会話の合間にも、実に楽しげに筆を動かす。パートナーのアンッティさんとカフェでのんびり過ごしていても、いつのまにか絵を描くのに夢中になっているらしい。

「気づくとアンッティは僕が描き終わるまで辛抱強く待っている。そこで、ふたりで一緒に何かできないかと思って、去年の夏、これを作り始めたんです」

マッティさんが見せてくれたのは、『CupOfTherapy』というタイトルの絵本。マッティさんが得意とする動物の絵と、心理療法士のアンッティさんの専門であるセラピーを組み合わせた本だという。

誰にでもある「心のひっかかり」をビジュアライズ

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「出てくるのが動物だったらメンタルヘルスの話題でも深刻になりすぎずに伝えられるし、読む人もすんなりと自分のこととしてイメージできるな、と思って」

本に登場するライオンやネズミたちは柔らかいユーモアをまといつつ、私たちが日々の生活で出会う小さなひっかかり、心の奥底にあって表に出さないように抑えてきた悩み、そして時には「特別なことじゃなくたってこれが自分の幸せ」と実感できる瞬間を、たった一枚の絵の中で雄弁に表現している。

メンタルな問題や強いストレスを抱えているのに誰にも言わずに抱え込んでしまう人は多いはず。そういう人があまり構えることなく、そうした思いを外に出せるきっかけになるような本を作りたかったんです」

動物たちのおかれたシチュエーションは、働く女性には「あるある」とつぶやきたくなるものばかり。同時並行で多くのタスクをこなせる“デキる人”であろうとして、あれこれ手を出してアタフタするタコが出てきたり、「ライオンなら強くなくっちゃ」とプレッシャーを受けがちだが実は自分にめっぽう自信がないライオンが出てきたり。

上からのお説教ではなく、効率や論理で迫ってくるのでもない。動物たちに自分自身を重ね合わせて眺めているうちに、「デキるふり」なんて必要ないな、ほかの人が自分に対して期待する「〇〇らしさ」に縛られる必要なんてないんだな、と肩の力がゆるんでいく。

気になる一枚を探すことが、心を癒す最初の一歩に

「この本には100枚の絵があります。その中から直感的に気になる一枚を探してみてください。その絵の何があなたの心をとらえたのか、その絵を選んだのはどうしてなのか、それを考えることで、自分の心の中にある問題に気づくことができると思うんです」

あるいはカウンセリングの場で、カウンセラーがクライアントに気になる一枚を選んでもらう。その一枚について話してもらうことが心の問題を解きほぐすのに役立つのではないか、とマッティさんは言う。

「また、悩みを抱えている友人に対して、『相談に乗るよ』といきなり踏み込むべきでないタイミングもありますよね? そんな時に、何も言わずにこの本をプレゼントするという使い方もできると思います」

日々、仕事の現場で様々なストレスを抱えながらもパワフルに働いているカフェグローブの読者のために一枚を選ぶとしたら? と尋ねてみると、マッティさんはすぐさま「これこれ!」と、あるページを開いた。

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肩を落としている大きなクマに、小さなハチが「You’re enough.」と声をかける。

あなたは十分がんばってる、だから自分への要求レベルを上げすぎて苦しくならないで。 マッティさんからの「日本で働く女性へのメッセージ」だ。

大変な仕事をいくつもこなした日の夕方、「今日はよくがんばった、私!」とお気に入りのカフェに立ち寄って、一杯のおいしいコーヒーを自分にふるまうように。何かしんどい思いを抱えているらしい友人や部下に黙って温かいお茶を差し出すように。この本をそんな風に使ってもらえたらうれしい、とマッティさんは微笑んだ。

* * *

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Cup Of Therapy だいじょうぶ。

著者:マッティ・ピックヤムサ/アンッティ・エルヴァスティ
訳者: 奥村健一
定価:1,000円(税別)
購入方法:MUJI BOOKS無印良品ネットストア

取材・文/江口絵理、撮影/野澤朋代

江口絵理

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