1. Home
  2. キャリア
  3. 自由になれた気がした、40の夜/お金にならない学び #4

自由になれた気がした、40の夜/お金にならない学び #4

Re:Study ー今、必要な学びー

2,954

Re_study_hamano_04_top

濱野ちひろさん。セクシュアリティ・エロティシズムの文化人類学的研究に取り組む。撮影/祐實とも明

40歳を目前にキャリアからいったん離れ、京都大学の門を叩いたライターの濱野ちひろさんに、なぜ、学問の道に進んだのか、その結果感じたことを綴ってもらう、「社会人の学び」特集番外編。 最終回は、命からがら修士号を取得して、博士課程にまで進んでしまった濱野さんが、彼女にとって学びとは何かを振り返ります。

profile_chihiro

撮影/宮本敏明

濱野ちひろ(はまの・ちひろ)さん
1977年広島県生まれ。フリーライター。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在籍中。セクシュアリティ・エロティシズムの文化人類学的研究に取り組む。バツイチ、金なし、ミッドライフ・クライシス、の三重苦をバネに、先行き不透明なケモノ道を邁進中。ルポに「欲望のトレーニング——ベルリン「セックスの祭典」体験記」『新潮45』2018年3月号など。


大学院で40歳になっちゃった!

大学院に来て2年が過ぎ去った。

40歳で修士号を無事に取得し、今は博士課程に進学している。逸脱ぶりに磨きがかかって、むしろ正々堂々と自分らしい40代をスタートできた気がする。

この先がまだまだ長く、博士号を取得するには通常、5~6年はかかると言われている。果たして私がそれまで頑張り続けられるかどうかは定かではない。

じゃあなんで進学したの!? と思われるだろう。

しかも文化人類学で博士号を取得できたとしても、その先の経済的安定は約束されない。アカデミックポストに就ける人は一握り

それなのに一体全体、なんで私はこんなにもお金にならない学問を続けようとしているのだろう

我ながら首をかしげたくなるのだが、私が最近思うことは、どんな人生にも「ゴール」なんてないということだ。

目標達成よりも日々熱中すること

何かを達成すれば何かを得られるという成果主義的な考え方に、私は長いこと染まっていたと思う。どうやら違うと思い始めたのは社会で揉まれて悔しい思いを何度もしてから。

今の私は、結果なんてどうでもよいから日々熱中できればそれでいいと思っている。

つまり「明確な目標を達成すること」を人生と捉えるか、「過程を楽しみ続けること」を人生と捉えるかという違いではないだろうか。

そして私は後者を選んだのだと思う。不安との闘いはずっと続くだろう。だが不安なんて、どこに行たって付きまとうものだ。

だから今回も、どん詰まりになるまで研究を続けてみるよりほかないのだろう

その先にどんな答えがあるのか見当もつかないとしても。一生懸命歩き続け、ついにたどり着いたと思ったら、途方もない断崖絶壁に立っているに過ぎないのかもしれなくても。

失敗にしか見えないそんな「ゴール」が待ち受けていても、私にとってそこに至る道が面白い限り。

shutterstock_260188841

Image via Shutterstock

人生の多様化を進めよう

ところで日本の大学は、年齢・国籍・人種の多様化が欧米諸国に比べると圧倒的に進んでいない。

年齢に限って話すと、30歳以上の修士課程の入学者数の割合はOECDの平均値が約28パーセントなのに対して日本では約3パーセントにとどまっている(文部科学省「高等教育の将来構想に関する参考資料」2017)。

日本では人々が画一的に人生を歩みがちだということが、この一例でも伺える。幸い私の周りには30~50代で大学院に入学した人たちが何人かいるものの、そう多くはない。

「20代前半で大学を卒業し、就職し、結婚して家庭を持ち、老後に備えるために働き続けて……」というあたかもまっすぐに見える生き方を誰もがしないといけないわけではないのに、一般的なレールを外れれば厳しい現実が待っているから、人生の多様化が進みにくい。

これは実に問題だ。人材の多様化が進まなければ学問における発想の多様性や、ひいては社会に還元される技術的な革新もまた滞ってしまうだろう。

GettyImages-736491751

Image via Getty images

あなたが世界を変えるのかもしれない

2年ちょっと前に京都大学大学院への進学を報告したとき、たくさんの人々、なかでも特に仕事を通して面識のあった様々な研究分野の教授たちの多くが、こちらが恐縮してしまうほどに私の方針転換を喜んでくれた。

「頑張れ! やってやれ!」という興奮が、彼らの表情と励ましの言葉に共通していた。

学問に身を投じてきた人たちは、誰かが学問の扉を叩くのをこんなにも歓迎してくれるのかとその時にはただ驚いたのだが、今になって思うに、彼らはよく知っていたのである。

「学問とは常識を、そして世界を変える力を秘めるものだ」ということを。そして、その実践には年齢も立場もなにもかも関係がなく、ひとりひとりに可能性があるのだと。

もしもどうしても変えたいこと、知りたいことがあるのなら、学問はとても有効な手段のひとつだ。

あなたが世界を変えるのかもしれないのだから、希望を思いっきり掲げて、飛び込んでみてほしい。そりゃあ、人生をなげうつことになるかもしれないが。

でもそんな生き方も、悪くないんじゃない?

*第1〜3回はこちら

「そうだ、京大行こう」/お金にならない学び #1

大人の学び特集番外編。40歳を目前にキャリアからいったん離れ、京都大学の門を叩いたライターの濱野ちひろさん。彼女に、なぜ、思い切った行動をとったのか...

https://www.cafeglobe.com/2018/06/hamano.html

「筋トレ」ファースト/お金にならない学び #2

40歳を目前にキャリアからいったん離れ、京都大学の門を叩いたライターの濱野ちひろさんに、なぜ、学問の道に進んだのか、その結果、よかったことや悪かった...

https://www.cafeglobe.com/2018/06/hamano-2.html

視界良好、世界は変わる/お金にならない学び #3

40歳を目前に京都大学の門を叩いたライターの濱野ちひろさんに、よかったことや悪かったことを綴ってもらう「社会人の学び」特集番外編の第3回。「大人が大...

https://www.cafeglobe.com/2018/07/hamano-3.html

文/濱野ちひろ

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    Ranking

    1. 心臓によくないと言われる食べ物7つ

    2. このサインが出たら、メンタルヘルスが崩れる5秒前

    3. みんな何を楽しみに仕事がんばってる? #ホンネ調査

    4. Googleの翻訳アプリがますます賢くなった!

    5. ガサガサ尻が、touchの力でふっくら美尻に

    6. 歩くだけで「きゅっ」。ボディラインを美しくするリーボックの新作

    7. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    8. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    9. ジョブズやゲイツだけじゃない。女性科学者たちが世界を変えた

    10. フィンランド流、女性もLGBTも生きやすい社会の作り方

    1. 心臓によくないと言われる食べ物7つ

    2. このサインが出たら、メンタルヘルスが崩れる5秒前

    3. 豊かで幸せな40代をおくるために必要なスキル

    4. 学校で教えてもらえなかった「文章の書き方」

    5. Googleの翻訳アプリがますます賢くなった!

    6. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    7. Bluetoothにも採用の技術、開発者はハリウッド女優でした

    8. たったの3つで、ビジネス英語がようやく自分のモノに

    9. 歩くだけで「きゅっ」。ボディラインを美しくするリーボックの新作

    10. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    1. 綿棒を耳掃除に使うのは絶対にやめた方がよい理由

    2. ジョブズは「なにか質問はありますか」を言わない

    3. 人からほめられたとき、この言葉は言ってはだめ! NGな返事4種

    4. 心臓によくないと言われる食べ物7つ

    5. このサインが出たら、メンタルヘルスが崩れる5秒前

    6. 日本一になれた人は365日×10年こんなことを続けてる

    7. 高収入の人が毎朝やっていること

    8. ナッツを冷凍してみてよ、もっとおいしくなるから

    9. グーグル面接の奇抜すぎる過去問題、解ける?

    10. メーガン妃に対するエリザベス女王の気遣い、ほっこりする

    自由になれた気がした、40の夜/お金にならない学び #4

    FBからも最新情報をお届けします。