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ホームセキュリティ、AIに任せてほんとにいいのかな?

The New York Times

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ホームセキュリティ関連のビジネスは、予想では2020年までに475億ドル規模に成長するとみられている。最上位モデルのシステムとなると、警報器、カメラ、犬、警備員、秘密の通路まで含まれるが、たとえ非常に高機能のシステムですら初歩的なミスを犯すことはあり得る。それは人的ミスだ。

現在、セキュリティ専門企業の間では、AI(人工知能)の潜在能力をホームセキュリティの向上に結び付けようとする動きが起きている。しかし専門家の間には、AIを利用することへのリスクを指摘する声もある。例えばプライバシーの侵害や個人情報の収集、人種的なバイアスなどへの懸念だ。

その一方で専門企業は、低価格でより良いサービスの提供をうたっている。AIなら、ときに不注意になり得る人間頼みのシステムより、もっと迅速にさまざまな物に目を配れるというのだ。

たとえばこんなサービスが

死角のない視野を作り出すカメラを設置している」と話すのは、米ピッツバーグのコンサルティング会社、エッジワース・セキュリティのケン・ヤングCEOだ。 これらのシステムは侵入者を特定するサポートとして、ジオフェンシング(バーチャルなフェンス内に人物や物が出入りしたときにセンターにメッセージを送る機能)、顔認識、AI機能付きカメラなどの技術を利用している。

例えば、誰かが侵入してきたらカメラが指令センターに通報玄関のインターフォンのところに長時間誰かが立っていれば、システムはモニターセンターに通報し、モニターセンターは「青いシャツを着ているそこの方、退去してください」と警報アナウンスを発するようになっている。

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米ピッツバーグのコンサルティング会社、エッジワース・セキュリティのケン・ヤングCEO。2018年6月21 日(Ross Mantle/The New York Times)

とにかく人よりも気づくのが早い

ヤングは、このシステムに使用されるAIは敷地内への出入りの動きを区別し、顔認識技術で庭師や配達人といったよく訪れる訪問者とそれ以外の人々を区別すると説明した。

「ホワイトハウスで私が働いていたときは、敷地内には方眼のようにケーブルが張り巡らせていた」と話すヤングは、ジョージ・W・ブッシュ大統領政権時代に大統領専用ヘリコプター、マリーン・ワンのセキュリティに参加し、行政機関の緊急対応計画に携わっていた。「今はそれがカメラのレンズを通して全部できる」

家持ち富裕層には魅力的な話

ギャラクシーセキュリティのように、エッジワースが使用しているような高機能のビデオカメラを生産している会社や、他のカメラシステムに接続できる高度なビデオ監視装置を提供している警備会社もある。

エッジワースが導入するシステムは、小さめの敷地であれば約2万ドルからカメラを8台設置でき、もっと広い敷地であれば費用は60万ドル以上にも。モニターの費用は1時間で8〜12ドル。監視システムの作動時間を選ぶこともできる。

セキュリティのレベルが分かれているのは、富裕層の持ち家所有者にとっては魅力だ。

セキュリティ会社が見逃すことも……

俳優のジョー・マイケル・マンガニエロが数年前、自宅のホームセキュリティシステムの脆弱性に気づいたのは、カリフォルニア州ビバリーヒルズの自宅で妻で女優のソフィア・ヴェルガラと過ごしていた際に、敷地内を誰かが歩き回っている音を耳にしたときのことだった。

ヴェルガラがセキュリティカメラをチェックすると、カメラはいずれも消えていた。敷地に入ってきた2人の男がレンズにスプレーをかけ、45分近く消えていたのだ。そのことをセキュリティ会社も見落としていた。

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米ピッツバーグのコンサルティング会社、エッジワース・セキュリティの司令センター。2018年6月21 日(Ross Mantle/The New York Times)

「男たちはキッチンの窓をバールで開けようとし、それからリビングルームのドアに移って来た」とマンガニエロは言う。「僕は、武器を持って階段の上に立っていた」

男たちが玄関から侵入しようとしたときに警報が鳴り、男たちは逃げ出した。だがこの出来事で、セキュリティシステムをアップグレードする必要があると考えるようになったという。

セキュリティが甘々だったことが判明

多くの富裕層の家は、セキュリティの観点から見れば設備が不十分だと専門家らは指摘する。2011年の米司法省の調査によると、侵入を知らせる警報の94〜98%は誤報で、システムの信頼度も低かった

ロサンゼルスで1,400部屋以上のアパートメントを備えた26棟の居住用建物を所有しているDSLコンストラクションの社長トム・ギャラガーは、不動産のセキュリティを改善したいと話す。 「この何年かで、警備員や警備サービスの質がひどいものであることがはっきりしてきた」」と言う。「あまり効果的と言えるものではなかった」

警備員は寝ていて気づかず

最初は、自身で警備会社を設立しようとしたがコストがかかりすぎた。そこで、高度なセキュリティシステムについて調べ始めたという。今では同社で扱っているすべての不動産にそうしたシステムを導入し、年間のコスト削減費用は40万〜50万ドルに及ぶ。また、AIの方が信頼も置けるという。

「警備員を配備していたときもセキュリティカメラは設置していた」と、同社のセキュリティシステムの試験段階についてギャラガーは明かした。「ある出来事をカメラが捉えていたが、そのとき、警備員はどこにいたかというと、彼は自分の車の中で6時間も眠りこけていた

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だからといって、AIに頼めば解決するの?

だが、悪意ある行為とそうではない行為との違いをこうしたシステムに教え込むのは、倫理的な問題をはらんでいる

「コンピュータ処理のシステムには特有のバイアスがある」と話すのは、カーネギーメロン大学クリエイト研究所で倫理コンピューターテクノロジーを教えているイラ・ノバクシュ教授だ。

そこには人種的な問題が

MITメディアラボが最近、現実世界のバイアスがどのようにAIに影響する恐れがあるかを研究したところ、商業的なソフトウェアでは、白人男性に関してはほとんど問題はなかったが、肌が浅黒い女性に関しては問題が生じることが分かった。

さらに2015年には、グーグルの顔認識フォトアプリが黒人の人々の写真を「ゴリラ」と誤って区分し、同社が謝罪を迫られる事例もあった。

ノバクシュ教授は言う。非白人が訪れた場合、その人物が客なのか、仕事のために来たのか、または侵入者なのかを区別するのは、AI機能を拡張したセキュリティシステムでは難しい恐れがある。

人とAIが協力すれば、世界最良のものに!

システムのバイアスを解析する1つの方法は、画像に反応する前にまず人間にその画像を確認させることだ。

「人間をその作業から外してしまうと、感情面の要素が失われることになる」とノバクシュ教授は言う。「人の力を引き続き利用してこうしたシステムを使えば、世界で最良のものが手に入る」

一方、セキュリティコンサルタントは、AIを含め、何段階ものアプローチを推奨する。

ネットに公開する情報は慎重に

元シークレットサービス捜査官で、インサイト・リスク・マネジメントの社長、クリストファー・フォーケンバーグは、ソーシャルメディアにはリスクが生まれやすいため、クライアントに対しては、自身の個人情報と誰がアクセスしたかをコントロールするサポートを行う必要性があると話した。

同社では、既存のテクノロジーを利用し、クライアントについてネット上で発言された内容を追跡する独自のプログラムを作成している。

「かつては懸念する対象は、クライアントに関する情報を備えた少人数のグループ、例えば敷地に入ってくる庭師などで済んだ」とフォーケンバーグは言う。「だが、庭師を調べるのに使用していた方法で、ネット上で関わる全員を調べることはできない。そこで、ネット上に自ら公開する情報をどのようにコントロールするかについてクライアントに説明させてもらう必要がある」

侵入する前に警察がかけつける

少なくとも、どんなセキュリティプログラムでもその目的は、犯罪者にその家を敬遠させることだ。

「私たちの力でイーストハンプトンやグリニッジの犯罪率は下がらない」とフォーケンバーグは言う。でも、と彼は続けた。「もし私たちのクライアントがターゲットになることを極力抑えられたら、目標は達成したと言える」

数か月前、再びマンガニエロとヴェルガラ夫妻の自宅が狙われた。だが今回は、ジオフェンシングやAI搭載カメラを備えたエッジワースの新システムを導入していたため、3人の侵入者は家に近づく前にすぐに探知された。

「このシステムは、侵入者がどこに入ろうとしているかを突き止めようとし、その間に司令センターの通報で警察が私たちの家に駆けつけて来た」とマンガニエロは話した。「自宅に手を触れられる前に、男たちと逃走用のドライバーを逮捕することができたんです」

© 2018 The New York Times News Service[原文:Can Artificial Intelligence Keep Your Home Secure?/執筆:Paul Sullivan](抄訳:Misako N)

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