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世界で最も高いアマゾンが届く場所

The New York Times

インドの中国との国境付近に位置する、ヒマラヤ山脈の小さな“天空の町”レーは、現代のテクノロジーに置き去りにされているように見えることがある。

インターネットや携帯電話のサービスは途切れ途切れだし、外界に繋がる2つの道は毎年冬に覆われてしまう。さらに、仏教僧院と軍事組織がこの地域の覇権を巡って対立している。

しかし、そんなレーの町でも、毎日早朝にはデジタル時代ならではの便利さを享受することができる。アマゾン・ドットコムからの荷物が15~20個ほど飛行機で運ばれてくるのだ。

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レーのメイン広場 (Atul Loke/The New York Times)

ヒマラヤにもアマゾンが届く

標高11,562フィート(約3,524メートル)のこの町は、アマゾンが配送サービスを提供する世界の地域の中で最も高い位置にある。

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アマゾンの現地配送を請け負うIncredible Himalaya社 (Atul Loke/The New York Times)

ニューデリーからの飛行機が到着すると、アマゾンの現地配送パートナー企業であるIncredible Himalaya(インクレディブル・ヒマラヤ)が荷物を受け取りに行く。その後、同社のスタッフは荷物をバンに載せて最寄りの倉庫に移送する。

同社オーナーの甥エシャイ・ラングドルさん(26)が荷物の仕分けの監視業務をサポートし、彼自身の手で配送も行っている。

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アマゾンの荷物を配達に出かけるエシャイ・ラングドルさん (Atul Loke/The New York Times)

同社の配達員は、アマゾンが定めた厳しい基準を守らなければならない。たとえば、つま先の開いていない靴の着用、きちんと整えた身だしなみ、そしてIDカードの携帯、フル充電された携帯電話を常に持ち歩くことが義務付けられている。

郵便局より断然はやい

アマゾンがこの地域でのドアステップ配送(注:玄関先に荷物を置いておく不在配達)サービスをスタートしたのは、2017年秋のことだった。インドの辺境地帯でのサービス向上を図る取り組みの一環として開始した。

インクレディブル・ヒマラヤが郵便局から配送サービスを引き継いでから、レーにおけるアマゾンの売上高は12倍にまで上昇した。郵便局の配送サービスはかなり時間がかかった上に、郵便局までわざわざ荷物を受け取りに行く必要があったからだ。

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レー郊外をバイクで走るラングドルさん (Atul Loke/The New York Times)

インクレディブル・ヒマラヤのような現地配送パートナーは、アマゾンのグローバル戦略にとって欠かせない存在だ。同社は現在配送サービスの多様化を目指しており、2018年6月末には小規模配達業者を対象に同社の配送ネットワークへ参加してもらうためのプログラムも発表した。

バイクで牛を避けながら

レーは、地理的にも文化的にもチベット寄りだ。仏教僧院はこの町の住民3万人の宗教的ニーズを満たし信徒たちの面倒を見ようとしている。一方、軍事組織は、いまだに紛争が続く中国との国境を守ろうとしている。

ラングドルさんと他の配達員は、バイクやスクーターで配達を行っている。冬に雪がたくさん積もった時には、自動車を使うこともある。しかし、レーの細くてでこぼこした道を通り、至る所にいる牛を避けつつ荷物を届けるには、基本的に二輪車のほうが適している。

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ときには牛にも遭遇する (Atul Loke/The New York Times)

通常、レーの町では配達までに5~7日かかる。大都市に比べると2日ほど遅いが、それでもこれまで郵便局が配送までに1か月要していたことを思うとかなり早くなったと言えるだろう。

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レーではコスメや服の通販が人気だ (Atul Loke/The New York Times)

ヒマラヤの兵士と僧侶が得意客

アマゾンにとって幸いだったのは、現地の兵士と僧侶が得意客になってくれたことだった。この地域にある小さな「カルツェ僧院」の僧侶シンレイ・オゼルさんが受け取ったのは、バックパックだ。これまでにも、携帯電話ケースやバイクの部品などを購入したことがあるそうだ。

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アマゾンでバックパックを注文した僧侶 (Atul Loke/The New York Times)

アマゾンのような世界的大企業にとって、レーは魅力的な市場にはとても見えない。商品を注文するのに欠かせないインターネット・サービスは頻繁に途切れるし、冬の間は数週間から数か月間もの間完全にダウンしてしまう。

しかし、アマゾンはあくまで長期的な視点に立って考えているようだ。Eコマースは世界全体に広まりつつあり、その中でもインドは主戦場となっている。インドではネット通販がまだそこまで普及しておらず、顧客ロイヤルティがまだ確立されていないからだ。

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出産を控えた彼女はアマゾンで買い物をした (Atul Loke/The New York Times)

レーへの配送サービスは完全に赤字なようだが、ムンバイやデリーなどの大都市で得た利益を辺境地帯のサービスに充当して賄うようだ。

「我々の顧客が地球上のどこにいようと、便利な配送サービスを享受してほしい」グローバル・ロジスティクス副社長ティム・コリンズはこう述べた。「時間とともに、経済がうまく回るようになるだろう」

個人商店とアマゾンは共存していける

このアマゾンの戦略は、レーの個人商店に打撃を与えている。その中のひとり、Tsering Electronics(ツェリング・エレクトロニクス)のオーナー、ナワン・シスパさんによると、アマゾンによるスピーディーなサービスがこの町で始まってからというもの、彼の店では携帯電話や付属部品の売上高が10%下がったそうだ。

それでもなお、彼の店の販売員も負けていない。ジグマット・アモさん(16)は、アマゾンよりも少しだけ安い価格でこの店からスマートフォンを購入した。アモさんは、以前アマゾンでハンドバッグとバレーシューズを購入したことがあるそうだが、写真と実物が違ったため今は慎重になっていると語った。

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ジェネラルストアのオーナー、リヤカット・アリさん (Atul Loke/The New York Times)

町の中央広場にあるSingay General Store(シンガイ・ジェネラル・ストア)のオーナー、リヤカット・アリさんは、自分たちのような個人商店とアマゾンは共存していけると考えている。アリさんのお店では、食料品や日用品(オムツなど)といった、通常すぐに必要なものばかりを販売しており、繁盛している。

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「今の仕事につく前は、友達は僕のことをエシャイって呼んでいたけど、今はアマゾンって呼んでいるよ」とラングドルさん (Atul Loke/The New York Times)

「アマゾンはまだまだレーの人々にとっては新しいサービスだし、ここはインターネット環境もあまり良くない。もしオムツなどをアマゾンで注文すれば、1週間から10日間くらいは待たないといけないからね」とアリさんは語った。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Delivering Amazon Packages to the Top of the World/執筆:Vindu Goel](抄訳:吉野潤子)

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