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こんなコワーキングスペースならば、仕事がすいすい捗りそう!

The New York Times

サンフランシスコのレストラン「エリートカフェ(Elite Café)」は、いつも大勢の人で混み合っている。しかし、店員が飲み物を注ぐ姿は見当たらなかった。シャンパン・スタンドは空っぽの状態で温かくなっていたし、酒樽の注ぎ口もラップで覆われていた。

代わりに店内に溢れていたのは、カタカタとパソコンをタイプする音。このエリートカフェは、平日朝8時半から5時までの間、コワーキングスペースとして活用されているのだ

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マンハッタンにあるレストラン the Milling Room。日中はコワーキングスペースになる。(Sam Hodgson/The New York Times)

「なんでもコワーキングスペース」がトレンド

最近では、なんでもかんでもコワーキングスペースとして利用するのがトレンドのようだ。コワーキングスペースとは、シェアオフィスの一種。フリーランサーや小規模な会社の社員、その他景色を変えて気分転換したくなったビジネスパーソンなどの間で人気だ。

コーヒーショップ、スポーツジム、社交クラブときて、今度はレストランまでもコワーキングスペースになる時代。ただしレストランの場合は、夕食時までの限定的なサービスとなっている。

エリートカフェをコワーキングスペースに変えた会社の名前は、スぺーシャス(Spacious)。2年前に創業して以来、スぺーシャスは、ニューヨークとサンフランシスコにある25店もの高級レストランを、平日日中限定のオフィスに変えてきた。

メンバーシップは、スぺーシャス運営のコワーキングスペースならどこでも利用可能。会費は、1年間なら月99ドル、月極めなら月129ドル。2018年5月にはベンチャーキャピタルから900万ドルを資金調達し、今年中にはレストランのコワーキングスペースを100店舗にまで拡大する予定だ。

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スペーシャスの共同経営者たち。(Sam Hodgson/The New York Times)

レストランって、仕事しやすい

レストランはコワーキングスペースに最適だと、同社のチームは語る。バーはデスクに、個室は会議室に変身。レストランの照明は全体的に雰囲気があって素敵だし、通常のオフィスに比べて優しい光を放っている。さらに、レストランならではのBGMもムーディーな雰囲気を醸し出している。

多くのレストラン経営者たちは、家賃や給料の支払いに悪戦苦闘していて、さらにランチタイムのうんざりするような混雑ぶりにもストレスを抱えていた。したがって、日中にコワーキングスペースとして場所を提供し会費を受け取るというスぺーシャスとの契約は、彼らにとっては喉から手が出るほど欲しいものだった。結局、応募者の中でスぺーシャスのコワーキングスペースの座を獲得したのは全体のたった5%と、かなりの狭き門だった。

最近では、街のお店に行くよりもネット注文を選ぶ人が急増している。それに加えて、人件費がかさむこともレストランの立場をより厳しいものにしている。そんな中で、街中の店舗スペースをどのように有効活用するのかという幅広い議論が繰り広げられているが、スぺーシャスの取り組みもその一環として注目されている。

スぺーシャス共同創業者で最高技術責任者(CTO)のクリス・スマザーズさん(30)は、「人々が地元に求めているのは、もはや活発な消費活動などではありません」と語る。「小売店舗は、用事が済んだらすぐに立ち去るように設計されている。一日中カフェにいたら違和感を覚えるのは、そのためです」

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(Sam Hodgson/The New York Times)

これって、オフィスなの? レストランなの?

しかし、スぺーシャスのビジネスについて、ゾーニング上の分類は曖昧だ。レストランが日中だけオフィスに変身することが認められるのだろうか?

「スぺーシャスがオフィスであることを証明しなければならないだろうけれど、かなり難しいことだと思います」こう話すのは、同じく同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のプレストン・ペセックさん(39)だ。ペセックさんは、同社を創業する前は不動産投資の会社で働いていた。「それにしても、オフィスの定義とはいったい何なのでしょう? ビジネスの会話はどこでも起こるものですし、今や携帯電話がパソコン代わりになる時代。コワーキングスペースという言葉はゾーニング上いくぶん問題があるので、私たちはなるべく避けるようにしています。代わりに、“ドロップイン・ワークスペース”という言葉を使うようにしています」

ニューヨーク市建設局のスポークスパーソンをしているアンドリュー・ルダンスキーさんによると、レストランのコワーキングスペースとしての利用は、主な事業がレストランである限りにおいて認められるのだそうだ。もし、そのお店がもはや飲食店ではないという苦情があった場合には、当局が調査をするという。

サンフランシスコの都市計画局にもコメントを求めたが、返答はなかった。

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夜にワインを準備する台は、昼間はコーヒーの提供台に変わる。(Sam Hodgson/The New York Times)

出会いは、ヨガがきっかけ

スぺーシャス創業チームがニューヨークで出会ったのは、共通の趣味であるヨガがきっかけだった。スマザーズさんは、「僕はラジャ・ヨガを、プレストンはアシュタンカ・ヨガをやっていました。そこで共通の友達が、“君たち二人とも不動産の仕事をしているよね”と言って引き合わせてくれたんです」と当時を振り返った。

その後二人は、現最高執行責任者(COO)ジャクリーン・パスコチェロさん(30)にもヨガを通じて出会う。当時ヒルストーン・レストラン・グループのジェネラルマネージャーだったパスコチェロさんは、プエルトリコで開催されたヨガ・リトリートに参加中に、共通の友人からスぺーシャスのプロジェクトについて聞いたのだそうだ。

当初、創業チームはホテルの宿泊室をコワーキングスペースにしようと考えていた。しかしその後、もっと活用しやすいスペースがあることに気づいた。それが、レストランだった。パスコチェロさんが言うには、レストランの真似をして運営するのが、より良いコワーキングスペースづくりの秘訣だそうだ。「私たちは、ゲストノートをつけています。最終目標は、利用者全員について名前・職業だけでなく、その人が雑音に敏感な人かどうか、さらにはコーヒーの好みやミルクの有無まで把握することです」

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ディナータイムはレストランに戻る。(Sam Hodgson/The New York Times)

ビジネスモデルとして成功したっぽい

レストラン経営者の多くは資金繰りに苦しんでいるため、店舗スペースをオフィスとして貸すことが恥ずかしいという意識も以前よりは減ってきているそうだ。スぺーシャスと契約しているレストランでは、店の鍵を預かった同社のスタッフが毎朝店を開け、コーヒーを淹れ、店のドアで客を出迎えている。

午後4時をまわると、レストランのスタッフがダイニングルームのセットのためにやってきた。コーヒーのラストオーダーのアナウンスが流れると、利用客は一斉に電源コードを抜き始めた。

平日昼間のエリートカフェは、いつも満席状態だ。EC企業で働いているタニア・チェンさん(39)は、「普通のカフェだと、一日8時間もパソコンを持って居座ることはできません」と話す。チェンさんは、毎日スぺーシャスのコワーキングスペースで作業している。その結果、レストランとの関係性も変わってしまったという。「ディナーに出かける時は、昼間仕事しているお店は避けるようになりました。私にとっては、職場ですからね」そう語りながら、チェンさんは笑った。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Sorry, Power-Lunchers. This Restaurant Is a Co-Working Space Now./執筆:Nellie Bowles](抄訳:吉野潤子)

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