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思想もスタイルも真似したくなる。シルバー世代のInsta-grans

The New York Times

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マルジェラのエプロンドレスとトレンディな裂けジーンズを見せびらかすように腰を前に突き出した画像で、リン・スレイターはこの世代の女性には珍しい高慢さを醸し出している。フォーダム大学のソーシャルサービス大学院の教授としてよりも、モデル兼ブロガーという超シックな副業のほうで、世間ではインスタグラムのアイドルとして知られている。

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リン・スレイターさん、64歳。インスタグラムは@iconaccidental (Calvin Lom via The New York Times)

64歳だけど、それがどうしたっていうの

リンさんは、64歳。クローズアップには抵抗を感じる年齢だと思うのだが、彼女にはそんな気配はまったくない。

彼女のインスタグラム「Accidental Icon」では、コム・デ・ギャルソンやヨウジヤマモトを古着屋で調達したアイテムと組み合わせたような、目をみはるスタイルが見られる。10万人を超え増え続けているフォロワーは、彼女によると若い世代が多く、リンさんの生意気な態度に魅力を感じているという。

「見せびらかしますよ。20歳ではないですし、20歳になりたいとも思いません。でも、わたしはとてもかっこいいでしょう。そう思いながら撮影しているんです」

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サラ・ジェーン・アダムズさん、63歳。ジュエリーデザイナーで、インスタグラムは@saramaijewels。「わたしは、(オーストラリアのフェミニストの)ジャーメイン・グリアの世代。でも、ソーシャルメディアの世界では、60歳以上のグループにまとめて入れられてしまうんです」 (Amurri Lauren via The New York Times)

「年配女性」のイメージを打破する

リンさんの大胆な発言は、同じ考えを持つ60代、70代や80代の女性たちの意見のひとつ。彼女たちは、大胆かつ魅惑のスタイルで年を重ねている。彼女たちの母親世代はうらやましく思ったことだろう。

既婚者も独身も、仕事をしている人もしていない人もおり、大部分には孫がいる。彼女たちはインスタグラムで自分たちの存在を主張している。そうすることで、これまでの古臭い「高齢者」の外見や気持ちをくつがえす意図がある。ある女性の言葉を借りれば、「100パーセントキマっている」女性たちなのだ。

「彼女たちは年を重ねることの使節なんですね」と語るのは、ストリートスタイルの人気ブログ「Advanced Style」のクリエイターでもあり、著書が2冊あるアリ・セス・コーエン。アリの言葉を借りると、「シニア世代のファッションと知恵」を記録している映画もある。彼がテーマとするこの世代は、加齢についてこれまでの認識を少しずつ変えてゆく動きを反映すると同時に、その変化に貢献もしている。

「高齢の女性たちの外見についての見解はもはや変わりました」とコーエン氏は言う。「若いときにスタイリッシュだったら、いまでもスタイリッシュでいられます。自分らしくあり続けているんです」

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ジャン・コレルさん、60歳。テック営業コンサルタントで、インスタグラムは@silver_isthenewblonde。「マーケターは、この世代の女性が自由になるお金を持っているのを知っています」 (Mr. Silver via The New York Times)

年齢よりも、健康や経済力が生き方を決める

この見解は、イギリスの55歳から72歳までの女性を対象にした、2018年のJ・ウォルター・トンプソンの「Elastic Generation(しなやかな世代)」調査と重なる。「高齢者についての共通の理解はもう古すぎて嘆かわしいほどです」というのは、JWTイノベーション・グループの欧州ディレクターのマリー・スタッフォード氏。「もはや年齢はわたしたちの生き方を決めません。身体能力や経済的状況や、心のもちかたなどのほうがずっと大きな影響力を持つと思われます」

そうなると、50代の女性は「孫がいるかもしれないし、母親になったばかりかもしれない可能性がある」と、この調査は述べている。「起業家、ワイルドなバイカー、またはマラソン走者かもしれない。ライフスタイルは年齢ではなく、本人の価値観や重要視していることによって決められる」。50代の女性や外国の女性のなかには、1960年代から70年代にはまったカウンターカルチャーの価値観やアウトロー的な態度をいまだに信じている人もいる。

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ジェニー・キーさん、71歳。インスタグラムは@jennykeeoz (Georges Antoni via The New York Times)

「わたしたちは老人ホームにいるような染めた髪の小柄なおばあちゃんにはならないわよ」というのは、 @Jennykeeozこと、71歳のジェニー・キーさん。オーストラリアのアーティスト兼ニットデザイナーだ。「万が一老人ホームへ入るとしたら、マリファナとヘルスフードとセンスの良いスタイルを持ち込むわ

リンさんもこれに同感だ。「若いときにはブラを燃やして、フリーラブを訴えたものよ。ドラッグでハイになった。わたしたちの母親の世代のお年寄りのイメージなんて受け入れられないわ」

ファッションは、一生涯自己表現の手段

ワードローブで揺るがぬ自己表現をするというのが彼女たちのルールだ。ドリー・ジェイコブソンさんは83歳、若いときはプレイボーイのバニーガールだった。2017年、インスタグラム「Senior Style Bible」で、レースの黒いランジェリーをつけてモデルをしたときから注目を浴びている。SNSやインタビューを通じて、高齢の女性がどんな服を着るかについての時代遅れの考えを捨てるようにフォロワーたちに訴えている。「着たいものを着なさい。年相応などというのは無関係です」

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ドリー・ジェイコブソンさん、83歳。インスタグラムは@seniorstylebible (Jodi Jacobson via The New York Times)

遊び心のある元気のいい数人のオンライン上のロールモデルによって、このような威勢の良い年配女性のイメージが作られた。彼女たちは「Insta-grans(訳注:インスタグラムとグランマの造語)」と自称して、元気の良さを美徳にした。バディ・ウィンクル(89歳のヘレン・ルース・エラム・ヴァン・ウィンクル)さんのようなポップセンセーションは、波風を立てて、ときには衝突することもある。バディさんのポストが目指すのは、固定観念をひっくり返すことだ。

派手なカラフルニット、露出の多い水着や、あるときには「悪女であれ。やりたいことをやれ」と書いたピンクのTシャツ姿。そんなバディさんは、カルト的存在となっている。インスタグラムには何百万人というフォロワーがいて、「Got2B」ヘアプロダクトやスミノフ(ウォッカ)を宣伝して稼いでいる。また、セフォラの店舗にも登場したこともある。

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エミコ・モリさん、94歳。インスタグラムは@1000wave (Chinami Mori via The New York Times)

69歳のリリ・ヘイズさんは、ユダヤ人の母親の典型的なイメージを茶化しているようなポストが多い。オンラインのプロフィールにあるように気難しいタイプのようで、普段着中心のスタイルには怒りっぽさを感じ取ることができる。リリさんのスタイル定番は、増え続けるシュプリームの野球帽のコレクション。

彼女たちの影響力は社会に起こりつつある変化のおかげでもある。このような女性の登場は、アメリカの年配女性議員たちはもちろん、(最高裁判所判事の)ルース・ベイダー・ギンズバーグのような政治的スターが注目され、影響力を持つようになったのと時を同じくしている。やせ細ったギンズバーグの体躯はいま(訳注:彼女のドキュメンタリー『RBG』公開中で)映画スクリーンで大きくそびえ立っている。

テックだってお手のもの

これらの女性たちがSNSに精通していることは見逃されがちだ。「Elastic Generation」調査の参加者の73パーセントが、ステレオタイプを避けて、「テクノロジーに関して無知な人として扱われるのがいや」だと言っている。10人中6人は、テクノロジーを「おもしろい」と思っていると報告されており、実際にも若い世代よりもテックを使うことに能力がある人も多くいる。

加えて、多くの女性は60代70代になっても働いていて、稼ぐ力を発揮している。また、起業するなど新しい働き方を取り入れ、自分を作り変える人もいる。

リンさんはそのひとりで、自分のインスタグラムですぐに収入を得るようになった。スペインのブランド「MANGO(マンゴ)」の2017年の「A Story of Uniqueness」キャンペーンに起用された。最近では、(アメリカのドラッグストア)CVSファーマシーのコマーシャルにも出演。リンさんは、さまざまな年齢のモデルの修正なしの画像を使ったCVSを賞賛している。また、シャルロット・ゲンズブールのミュージックビデオにも出演したこともある。インスタグラムのポストを本にしないかと複数の出版代理人から声がかかっている。

© 2018 New York Times News Service[The Glamorous Grandmas of Instagram/執筆:Ruth La Ferla](翻訳:ぬえよしこ)

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