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ヘルシーでリュクス。豪州ブレックファストに魅せられる

The New York Times

ニューヨークの定番朝食といえば、手軽で油っぽくて、茶色で炭水化物中心で、ランチやディナーほど洗練されたものではなかった。朝の忙しいときに、見目美しいのは無理だとしてもおいしそうに見える朝食を見つけるのはなかなかむずかしい。

いまニューヨーカーが夢中!

だから、ニューヨーカーはインスタグラムやギグエコノミーの登場にともなって、ニューヨーカーこの街で急速に増えつつあるオーストラリア式カフェが提供するモダンな朝食に魅せられているのだろう。その料理は、ヘルシーでナチュラル、かつリュクスな素材の組み合わせが中心だ。ベーコン&卵&チーズというアメリカの定番朝食が好みの人でも、これには抵抗できないかもしれない。

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トライベッカのカフェ「ツーハンズ」のアボカドトーストとポーチドエッグ。(George Etheredge/The New York Times)

生はちみつ、アボカドトースト、レモンチーズ

オーストラリア式カフェの「Two Hands(ツーハンズ)」「Ruby’s(ルビーズ)」「Flinders Lane(フリンダーズ・レーン)」「Banter and Five Leaves(バンター・アンド・ファイブ・リーブス)」では、生はちみつとグラスフェッドの牛からのクリーム入りのオーガニックポリッジ(おかゆ)や、フリーレンジの卵を使ったポーチドエッグに地元製ベーコンとローストブロッコリー。そして、アボカドトーストも、玉ねぎのピクルスやオハサンタ(ハーブの一種)やゴマ&シソつきなどあらゆる付け合わせがある。

チェーン店の「Bluestone Lane(ブルーストーン・レーン)」でさえも、アボカドトーストだけではなく、アーモンドバターやシトラスチーズなどの洗練されたスプレッドが選べる「トースト・バー」が備えられている。

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トライベッカのカフェ「ツーハンズ」の料理、ゾーイズ・マーケット・プレート。(George Etheredge/The New York Times)

英×地中海×アジアのフュージョン!

この10年ほどでニューヨークで開業したオーストラリアスタイルのカフェでは、終日シンプルで洗練された朝食が食べられる。ニール・ペリー、ヨータム・オットレンギ、ドナ・ヘイのようなフードライターやシェフが語っているような、イギリスと地中海とアジア料理のフュージョン料理なのだ。

この流れは偶然ではない。2005年に結ばれたオーストラリアとアメリカとの貿易協定では、オーストラリア人が融通のきく新しい就業ビザを特別に取得することができるようになった。オーストラリアがアフガニスタンとイラクのアメリカ軍を支援した後、この協定が結ばれた(軍事支援についてはいまでも論争されている)。2005年以来、何千人というとくに若いオーストラリア人がアメリカに来ている。その全員がカフェをオープンするか、そんなカフェでウエイターをしているかのように感じてしまうこともある。

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ブルックリンの「カーサージュ・マスト・ビ・デストロイド」の料理。(George Etheredge/The New York Times)

リモートワーカーの多い地域で

この動きは、ウィリアムズバーググリーンポイントなど、ニューヨークでもとくにトレンディな地区で顕著だ。もともとカフェが集まってもいるし、日中仕事をしていなかったりリモートワークの住民が多い場所である。オーストラリアと同様、テック分野とギグエコノミーが広がっているので、ケールポレンタと目玉焼きの朝食や、パンケーキとポリッジの朝食をゆっくり食べて、フラットホワイト(カプチーノでもラテでもない、オーストラリア独特のエスプレッソとスチームミルクのドリンク)のラテアートの写真をSNSにアップする時間の余裕もある。

オーストラリアの朝食は、ビールの時間まで続くこともありますよ。うまく時間調整すればね」というのはニコラ・パーマー氏。キャンベラ出身のグラフィックデザイナーで、現在はウィリアムズバーグに住んでいる。

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トライベッカのカフェ「ツーハンズ」のカプチーノ&リコッタホットケーキ。(George Etheredge/The New York Times)

アボカドトーストって、オーストラリアの発明?

オーストラリア式朝食といえば、なんといってもアボカドトーストだ。料理研究家によると、1993年に開業したシドニーの「bills(ビルズ)」がアボカドトーストを出した最初のレストランだと言われている(ただし、「ビルズ」の設立者、ビル・グレンジャー氏を生みの親だと呼ぶのには無理があるかもしれない。ベジタリアンを試した大学時代に自分がアボカドトーストを発明したんだと主張する人は大勢いるから。)

ビルズ開店以前、ずっと前からメルボルンではコーヒーやカフェ文化が栄えていた。メルボルン人は、明るい国際都市シドニーよりもメルボルンはもっとクールで知的でクリエイティブな都市だと思っている。

美しすぎる朝食ペイストリー

ライ・スティーブン氏はペイストリーシェフ。メルボルンであのすごいクロワッサンを完成させた。そしてパリ、サンフランシスコを経て、ニューヨークへ進出して、2017年ロウワーイーストサイドに「Supermoon Bakehouse(スーパームーン・ベイクハウス)」をオープンした。

ここでは、主にクロワッサン、ドーナツ、マフィンといった朝食ペイストリーを提供している。しかし、繊細なトッピングで飾られ、明るい色で彩られた、ブルーベリーとローズマリー、ペッパーミントクリスプ、レモンココナッツなどの魅惑的なペイストリーも揃っている。

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ブルックリンの「スーパームーン・ベイクハウス」のペイストリー。(George Etheredge/The New York Times)

「朝食はあきらかに最も美しい食事です」というのは、スティーブン氏のビジネスパートナーであるアーロンン・テジマス氏。この店のすばらしい内装とシックな包装類のデザイナーだ。

オーストラリア式朝食の先駆者「ビルズ」

グレンジャー氏は、1993年シドニーにビルズの1号店を開いたときには、日本のデザインと旅が好きなアート専攻の学生だった。「料理の見た目にはこだわりました。明るくてビーチみたいな店にしたいと思いました。スクランブルエッグのほかにはほとんど料理したことはありませんでしたね」

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2018年7月13日、ブルックリンの「スーパームーン・ベイクハウス」のオーナー、ライ・スティーブン(左)とアーロン・テジマス。(George Etheredge/The New York Times)

しかしこのエッグ(通常は「折りたたまれた」エッグと言われるもので、オムレツとスクランブルエッグの間のような卵料理)、リコッタパンケーキにはちみつバター、ライムとパクチーのアボカドトーストはあまりに美味で、レストランも魅力的だったため、思いがけずビルズは海外旅行客の目的地になった(2002年、「ニューヨーク・タイムズ」紙のR.W.アップル氏が「素晴らしく調理されたシンプルな食事」という、ビルズについてのコラムをしたためたほどだ)。

オーストラリア式朝食はまだまだ進化中

グレンジャー氏は、海外の人が持つオーストラリアの料理のイメージを書き換えるつもりはなかったのだが、結局そうなった。いまでは、ビルズは日本、韓国、ハワイにも進出している。ニューヨークには(いまのところ)ないが、現在あるカフェはオリジナルのビルズのメニューを驚くほど忠実に再現しているといえる。

しかし、ビルズを超えるために、タイの味(新鮮なハーブのライスサラダを目玉焼きと付け合わせると「Dudley's(ダッドリーズ)」のすてきな朝食に)、またはダッカや唐辛子のような海外のスパイスを合わせたり(「Hole in the Wall(ホール・イン・ザ・ウォール)」)、チアシードやグレインボウルのようなヘルシーな選択(開店したばかりの「Charley St.(チャーリー・ストリート)」)など、さまざまな工夫を試みている。

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ブルックリンの「カーサージュ・マスト・ビ・デストロイド」。(George Etheredge/The New York Times)

オーストラリア式朝食になんらかの哲学があるとしたら、それは調理ではなく、食べることについてのものだろう。「いまの人たちは長い間、本当の意味で食事をしていないと思うんです」と言うのは、アマンダ・ベッチャラ氏だ。

彼女と夫のダニエル・ゴールドスタイン氏は、ブルックインのブッシュウィック地区に、「Carthage Must Be Destroyed(カーサージュ・マスト・ビ・デストロイド)」という明るい色彩のロフト式カフェを所有している。そして彼女は、「とくにニューヨークのレストランで食事をしている人は」と、付け加えた。

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ブルックリンの「カーサージュ・マスト・ビ・デストロイド」のトースト料理。(George Etheredge/The New York Times)

© 2018 New York Times News Service[The Art of the Australian Breakfast/執筆:Julia Moskin](翻訳:ぬえよしこ)

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