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住民ビックリ! Googleマップが勝手に地名を変更

The New York Times

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リンコン・ヒル、サウス・ビーチ、あるいはサウス・オブ・マーケットとして長く知られていたサンフランシスコのダウンタウン南の街区。今年の春、Google マップが突然、この地域の名前を「ザ・イーストカット」に変更し、リアルの世界にも徐々に影響が訪れた。写真は、「The East Cut」と書かれた街灯バナー。(Christie Hemm Klok for The New York Times)

サンフランシスコに突如現れた謎の地名

ダウンタウン南のサンフランシスコ湾岸の街区は、数十年もの間、リンコンヒル(Rincon Hill)、サウスビーチ(South Beach)、あるいはサウス・オブ・マーケット(South of Market)と呼ばれてきた。

ところがこの春突然、Googleマップのこの街区に新しい地名が記載された。「ザ・イーストカット(The East Cut)」。誰も聞いたことのない名前だった。

ところが、その風変わりな名前は、Googleマップのデータを利用するホテル予約サイトや出会い系アプリ、配車サービスのUberなどの各種オンライン・サービスを経由し、瞬く間にデジタルの世界に拡散された

しばらくすると、リアルの世界でもこの新名称が伝わり始めた。不動産のテナント募集広告も、ニュース記事もこのエリアを「ザ・イーストカット」と呼び始めた。

街のアイデンティティも変えるほどのパワー

「うちのエリアにとってはイメージダウンです」と言うのは、この界隈に住んで14年になるタッド・ボグダン氏である。先日、この名前に関して住民271名にアンケートを実施したところ、9割が「嫌い」と回答したという。

約170年もの歴史を持つ土地の名前が、ある日突然、変更され、世間にあっという間に告知された。これは、Googleマップが今や、地名に関する決定人のような役割を果たすようになったという現象の一つの例に過ぎない。変更の決定を下すのはわずか数名のGoogle社の社員。

しかし、その決定により、都市や町、街区のアイデンティティが新たに形成されかねないのだ。リアルの世界に及ぼす、シリコンバレーの甚大な影響力がさらに増大している。

珍事はデトロイトでも、マンハッタンでも……

フィッシュコーン(Fishkorn)という名のデトロイトの街がある。実は、この街、本来、フィスクホーン(Fiskhorn)という名だった。原因は、Googleマップである

マンハッタンの「ミッドタウン・サウス・セントラル(Midtown South Central)」? これもやはり、Googleマップによりこの世に生を受けた新名称だった(現在は「NoMad」に変更されている)。

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一部のデトロイト市民は、Googleマップに表示されたフィッシュコーン(Fishkorn)という地名に困惑している。この地域は以前、フィスクホーン(Fiskhorn)と呼ばれていたからだ(現在は、 GoogleマップでもFiskhornに修正済み)。

とはいえ、Googleがマップ上の地名を決定するプロセスは、謎に包まれている。同社の広報には、こちらが質問したいくつかの地名が誕生する経緯を回答してもらうことはできなかったが、明らかにそれらの一部は、リサーチ担当者のミス不動産業者によるブランド形成目的のネーミングあるいはまったくの創作であるようだ。

LAで最近人気のエリア、名付け親は……?

ロサンゼルスのシルバーレイク(Silver Lake)という名のエリアで、長年活躍する建築家ジェフリー・シュナイダー氏は、先ごろ、所有する階下の賃貸アパートメントのテナント募集を行った。

その際、作った広告で、自宅周辺の丘を「シルバーレイク・ハイツ(Silver Lake Heights)」と名付けた。半ば冗談のつもりで。すると昨年、シルバーレイク・ハイツの名がGoogleマップに登場した

「今や、この界隈の不動産広告はすべて、シルバーレイク・ハイツと書いてありますよ。地図に書いてあれば、皆、それが名前だと思いますよね」とシュナイダー氏。

Googleマップのユーザー数、10億人超え

インターネットがなかった頃、街の名前を伝える手段は、口伝えや新聞記事、定期的に発行される紙の地図だった。

しかし、2005年に誕生以来、Googleマップが継続的にアップデートされ、10億人以上のユーザーのデバイスに配信されている。その上、 Googleは数千ものウェブサイトやアプリに地図データを提供し、その影響をさらに拡大している。

デジタル市場分析会社コムスコアの調査によると、2018年5月に、スマホやタブレットで使われていた地図アプリは、Googleマップが63%以上に上り、中国のインターネット大手アリババのマップ19.4 %、Appleマップ5.5%を大幅に上回った。

ところが地図修正の決定プロセスは不透明

Googleの広報担当によれば、地図作成の情報源は、サードパーティデータ、一般に公開されているデータ、GPSに加え、一般ユーザーである。

ユーザーは誰でもGoogleに地図上のデータ修正をリクエストすることができ、その提案された内容は、Googleのスタッフにより審査される。ただし、具体的にどのようなプロセスで審査されているかは回答してもらえなかった

しかし、匿名を条件に取材に協力してくれたGoogleマップの元従業員は、そうした修正案の判定は往々にして、土地勘がほぼゼロの人、たとえばインドの下請先などにより行われていると言う。

一方、 マップ上の間違いを報告して直してもらった経験を持つユーザーによれば、修正情報は即座に反映されたという。

Googleが下した決定の多くは、非常に広い範囲にわたり影響をもたらす。Googleマップのナビゲーションが原因で閑静な住宅街が連日の交通渋滞に悩まされてしまったこともあれば、2010年には、コスタリカとニカラグア間の国境が間違って表示され、国際紛争になりかけたこともあった。

あやしい地名が多いデトロイト、理由は?

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ザ・イーストカット(The East Cut)の名前は、清潔で安全な街づくりを目指す、サンフランシスコの地域改善NPOからGoogle側に掲載がリクエストされた。

デトロイト市民は、「NWゴルドベルク(NW Goldberg)」、「フィッシュコーン(Fishkorn)」、「ザ・アイ(The Eye)」が市内の地名として表示されたGoogleマップに困惑ぎみだ。それらの地名は遅くとも2012年から Googleマップに表示されている。

同市の都市プランナー、ティモシー・ボスカリノ氏は、Googleがそれらの地名を使い始めた時期についてさかのぼって調べてみた。その結果、2002年頃、地元の人がウェブに掲載した地図を参考にしたことを突き止めた

Googleマップには、その地図の町名と境界線が、タイプミスも含めてそっくり使用されていた。だから、Googleマップでも、「Fiskhorn」ではなく、「k」と「h」が入れ替わった「Fishkorn」と誤って表示されたのだ。

20年前の間違いが、今の既成事実に

その2002年の地図は、元デトロイト市都市プランナーのアーサー・ミュレン氏が、当時、サイドプロジェクトとして作成したものだった。彼は、自分のタイプミスが現在、広く一般に提供されていることを知り驚いた

当時、昔の文献を元に、自分の持つ地元の知識を頼りに作成したのだという。情報が曖昧な境界線や地名もあったが、とりあえず載せ、フィードバックを得ようと思ったのだという。

「間違えるのはよくありません。20年後に訂正するのは難しくなります

自分が付けた名称の一部は正確ではないかもしれないとミュレン氏は認める。たとえば、デトロイト郊外の墓地に隣接する、60ブロックの街区である「ザ・アイ」。文献でその名前を見つけたと記憶しているが、どの文献かは定かでない。

「18年前の調査に使った資料を持っているかって? もちろんノーですよ」

もう修正するのは遅すぎる?

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ザ・イーストカットに決定後、NPOは街灯バナーを作成し、街路清掃人用の「The East Cut」の文字が背中に大きくデザインされたユニフォームも作成した。(Christie Hemm Klok for The New York Times)

「フィッシュコーン」や「ザ・アイ」の名称は今や、地元の不動産広告から出前のウェブサイト、鍵屋の広告まで、多数の地元のビジネスに使用されている

近郊のミシガン州ノバイの検眼士、エリック・ベルカーツもそのひとり。彼は今年、Googleマップでその地名を見つけ、自身が起業したスタートアップを「フィッシュコーン・パブリッシング」と名付けた。理由は、「言いやすい名前だから」と言う。

最近、デトロイト市の職員は、公式市街図を作成する目的で、住民調査を実施した。その結果、フィッシュコーンなど一部の地名は修正が行われた

しかし、多くの地区は、昔の名称を知る住民がもはや存在せず、調査で頼ったのは、Googleマップ。「ザ・アイ」などいくつかの地名は調べがつかず、結局、公式市街図にも掲載されることになった

「ザ・イーストカット」の意外な出どころ

実は、サンフランシスコのザ・イーストカットの出どころは、地元の非営利団体だ。清潔で安全な街づくりをするために、2015年に住民による投票で設立された。

このNPOは、「ブランド・エクスペリエンス・デザイン会社」なるものに、6万8千ドル(約7百万円)を支払い、地域のネーミングを含めたブランド構築を依頼。いくつかの新名称候補の中からザ・イーストカットが選ばれた

NPOの理事、アンドリュー・ロビンソン氏によれば、ザ・イーストカットになった決め手のひとつは、この名称が、近くのリンコン・ヒルの丘を削った1869年の道路建設計画のプロジェクト名を参考にしている点だった。

その後、NPO自体の名称も「イーストカット・コミュニティ・ベネフィット・ディストリクト」に変更。新たな地区名を浸透させるために、街灯バナーを作成し、街路清掃人用の「the East Cut」の文字が背中に大きくデザインされたユニフォームも作成した。

「オフィシャル」デビューはやはり……

しかし、この名前が世間の注目(嘲笑も)を浴びるようになったのは、Googleマップに掲載されてからのこと

ザ・イーストカットなんて、17ドルのサンドイッチみたいな名前」と5 月にツイートしたのは、この地区に勤務するUberのエンジニア、メノッティ・ミニュティロ氏。

Googleマップへの追加は、ロビンソン氏のNPO により申請された。その申請を受けて、Googleのスタッフが一般公開されている情報源で検証した後、手作業で追加された、と同社広報担当者。

ちなみに、Googleのサンフランシスコ支社は(ニューヨーク・タイムズの編集局同様に)この街区にあり、 同NPOの理事の1人はGoogleの従業員である。

© 2018 The New York Times News Service[原文:As Google Maps Renames Neighborhoods, Residents Fume/執筆:Jack Nicas](翻訳:Ikuko.T)

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