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貧困から抜け出すには、ポジティブシンキングがほんとうに効く

The New York Times

「自分を信じろ。そして、自分の未来を信じろ」

ありきたりな自己啓発のアファメーションに聞こえるかもしれない。

しかし、これが貧困から抜け出すための戦略として有効であるというエビデンスが次々と発表されているのだ。

以下では、3大陸で実施された3つの実験結果を紹介する。

いずれも、貧困層の自己価値感を高めるのが狙いだ。

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Image via Getty Images

自分たちには価値がある

ウガンダのカンパラで行われた実験では、貧困層出身のチェスの天才を描いた感動的な映画を学生たちに見せた結果、学業成績がアップした。メキシコのオアハカでは、マイクロクレジット機関(注:貧困層を対象とした超少額融資)の顧客が研修を受け、未来に対する大きな希望を持つことに成功した。

さらに、インドのコルカタでは、売春宿で働く性産業従事者たちにエンパワーメントの概念を教えた結果、彼女たちはより良い人生を着実に歩んでいくために具体的かつ地道な行動をとれるようになった。

ロールモデルの成功が励みになった

一つ目のカンパラの実験は英オックスフォード大の大学院生エマ・ライリーさんによるもので、ディズニー映画『奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトウェ』を学生に見せてその影響を調査した。主人公のモデルは、カンパラの貧困街で生まれ育った実在の女性フィオナ・ムテシさん。ムテシさんは、幼い頃に父親をエイズで亡くしている。

ムテシさんはその後チェスのチャンピオンとなり、国際大会にウガンダの代表として参加するまでになった。この偉業は、ウガンダの多くの学生が自分にはとうてい不可能だと思っていたことだった。

学生たちのモチベーションをアップさせ更なる高みを目指すことができるように、実験では国家試験の受験生にこの映画を見せた。すると、ファンタジー映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』を観たグループよりも優れた成績を残したのだ。ちなみに、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』にはロールモデルとなるキャラクターは登場しない。前者の映画を観た学生たちの方が、圧倒的に高得点を記録していた。

より高い目標を掲げるように

米国人経済学者2名が実験したオアハカのケースでは、別のドキュメンタリー映画を被験者に見せた。被験者に選ばれたのは、地元の女性326名。

コミュニティバンク(注:日本の信用金庫に相当する地域密着型の小規模金融機関)から少額ローンを借りることができるというのが、彼女たちの共通点だ。

このドキュメンタリー映画に登場する女性も、コミュニティバンクの顧客だ。映画では、この女性が少額ローンを活用して事業を拡大していく様子を追っていた。

その後、被験者の326名の女性たちは4週間にわたる“ホープ・カリキュラム(希望のカリキュラム)”に参加。カリキュラムの中では、まず目標を設定してからそれについて話し合い、いかにして貧困から抜け出すのかをビジュアライゼーションするワークを実施。

その結果、被験者たちは未来に明るい希望を抱き、より高い目標を掲げるようになった。もちろん短期間で実現できないのは明らかだが、少なくとも収入は上昇した。

ヘルスチェックにも行くようになった性産業従事者

最後のコルカタの実験は、英国・インドの学者5名により性産業従事者264名を対象に実施された。性産業従事者の多くは、羞恥心や無力感に苛まれている。

実験に参加後、被験者の女性たちの自尊心は飛躍的に向上し、自らの手で人生を切り拓いていけるという強い自信も生まれた。より具体的には、貯蓄を地道に始め、健康診断にも頻繫に行くようになった。

年収だって増加した

これらの成功例は、従来型の反貧困プログラムでもある程度は効果があることを示している。なぜなら、貧困層の人々を金銭面だけでなく精神的にも引き上げるものだからだ。

たとえば、バングラデシュのNPOが設計したプログラムの例を見てみよう。インド、エチオピア、ペルーをはじめ世界中の国々で応用されているこのプログラムは、貧しい人々に家畜を与え、さらに飼育方法の研修も行うというものだ。

このプログラムの参加者の年収は、当初予想していた以上に大幅に上昇した。これは、参加者らが今まで以上に長い時間働くようになったからだ。このような支援を施しても貧しい人々は怠けて働かなくなるだけだという批判もあったが、この事例では真逆のことが起こった。

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Image via Getty Images

今まで以上に懸命に働けるように

支援の結果、今まで以上に懸命に働くようになったのだ。労働時間が伸びたのは、牛や山羊などといった生産性の高い資産のおかげで仕事が増えたからだという合理的な理由もあるだろう。しかし、メンタルヘルスが改善された結果、より長い時間働けるようになったというのもまた真実だ。

現金を直接渡すという助成金による支援でも、メンタルヘルス改善の効果が見られることが分かっている。米NPOの『GiveDirectly』がケニヤの貧困家庭に助成金を給付したところ、受け取った人々は幸福感を得られたと話していた。さらに、より多額の助成金を受け取った際にはストレスホルモンであるコルチゾールの水準が下がっていた。

教育面でいうと……

別の研究では、精神的な要素も重要であることが明らかになった。キリスト教系NPO『Compassion International』は、アフリカ・アジア・ラテンアメリカでチャイルド・スポンサーシップ・プログラムを運営している団体で、スポンサーからの寄付金は子どもの教育費と医療費に充てている。さらに、子どもたちは放課後にスピリチュアルな講義も受け、自分のスポンサーと定期的に文通もしている。スポンサーから支援を受けた子どもたちは、そうでない場合に比べて教育期間が長くなり、将来的に高い収入を得る傾向があることが同研究で判明した。

「より良い人生がそこまで来てる」と思わせるのが大事

もちろん、希望は万能薬ではない。世の中の人々の収入や教育と希望の因果関係について、上記の事例で実際に説明できるのかというと、それは確かではない。それに、技能や資金のサポートをしないまま希望だけを教えたとしても、貧困から助けるには不充分だろう。

さらに、ほどほどに高い抱負はモチベーションに繋がるが、非現実的なまでに高い抱負を抱くとその反動で強い失望を感じやすくなるので、かえって有害になる。

それでもなお、これが歓迎すべきニュースであることには変わりない。より良い人生が手の届く範囲にあるように見せる(実際にそうなのだが)だけで、貧困緩和プログラムの効果を増強させることができるのだから。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Think Positive, Climb Out of Poverty? It Just Might Work/執筆:Seema Jayachandran](抄訳:吉野潤子)

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