1. Home
  2. キャリア
  3. コケで作るガラスの箱庭「テラニウム」の安らぎ

コケで作るガラスの箱庭「テラニウム」の安らぎ

The New York Times

「フリーランスのコケ栽培が、私の仕事です」。

ニューヨーク・ブルックリンで、2人の女性が始めた植物スタジオ、「Twig(ツイッグ)」。ミシェル・インシアラーノさんとケイティ・マスロウさんは、品質の高いコケをそろえるために、米国各地に住む多くの「モッサー」と呼ばれるコケ栽培家に仕事を発注しています。

扱っている品種は柔らかく、フワフワと軽やかなコケ。さまざまなコケが織りなす生き生きとした緑の陰影は、普通のインテリアショップなどでは見つかりません。

20180819_nyt_terrarium_3

Sasha Arutyunova/The New York Times

控えめなテラニウムスタジオ「Twig」

Twigが小さなスペースを構えているのは、ブルックリンのディトマスパーク地区。同じブロックには、レストラン専用のフードストアや車の修理工場、ロシア風サウナなどが肩を寄せ合っています。店内の棚にはテラニウムのアレンジ、鉢植えの草、それからミニチュアの生態系に変身するのを待つ球形のガラスなどが並んでいます。

床はベニヤ板を張っただけ。装飾も控えめで、造花の木の葉のついたてを置き、壁を白くペイントしてあるだけです。部屋の真ん中にあるロングテーブルは、週末のみ開催しているワークショップのときに使います。

20180819_nyt_terrarium_1

Sasha Arutyunova/The New York Times

誰にでもできる瞑想アート

テラニウムは誰でも習わずにできます。必要なのは、数個の石と土、コケと容器。容器はできればガラス製がオススメ。工芸家としての才能にあふれたツイッグの2人組は、たったそれだけの材料を使って、趣味の世界のテラニウムを瞑想アートにまで高めます。

Twigのワークショップではまず、控えめに生きる植物であるコケの生態を速習講座で学びます。コケは全部で1万2500種以上もあり、しかしどれ1つとして「根をもたない」ことが分かります。

小さな植物と一緒に美的感覚を育てる

コケは朽ちた自らの葉の上にどんどん繁殖していく、ほぼ自己持続型の植物です。コケが好む温かく湿った環境は、覆われたテラニウムの中ならば、時々水を振りかける程度で保てるので、世話はなおさら要りません。それでも一からテラニウムを作ってみることは、植物と自分の美的感覚を育てるちょっとした練習になるでしょう。

ある日曜日の午後、Twigのロングテーブルの上には、茶色の紙袋とボウルが置かれていました。ボウルの中には私たちの使う道具——ゆるい蓋のついたガラス瓶、大きなピンセット、磨いた川原の石、ピートモスを乾燥させた園芸用の土、ミズゴケ、砂、シーグラス(浜辺で波や風によって角がとれたガラス片)が入っていました。

20180819_nyt_terrarium_4

Sasha Arutyunova/The New York Times

気軽に満たされるガーデニング心

私たちはまず、ガラス瓶の下から5分の1ほどに石を敷き、その上に乾燥した草をひと握り分、何層かに分けて重ねて詰めました。その上にさらに園芸用の土をまくと、いよいよ3種類のコケの出番。乗りかごよろしくトレーに乗ったムードモス、シートモス、パームモスを冷蔵庫から出し、小さな庭作りが始まります。

英国の作家ペネロピ・ライヴリは自伝「ライフ・イン・ザ・ガーデン」の中で、「本物のガーデンライター」と「ガーデンコメンテーター」を区別して呼びました。彼女によれば、本物のガーデンライターは、美を生み出すために手に泥がつくことを気にしないもの。私はその言葉を思い出しながら、コケをひとつかみし、その不思議な表面を指でなで、手のひらに乗った土の涼しさを感じました。テラニウム作りは、バラの茂みを覆うような複雑な作業ではないけれど、植物を育てたいという園芸好きの気持ちをしっかり満たしてくれます。

コケとシーグラスで作る極小のビーチ

コケで山を作り、そのふもとに砂とシーグラスで小さなビーチを作って動物のミニチュアを置くのは、インシアラーノさんのお気に入りのスタイルの1つ。

クラスに参加した私たちの多くは、彼女の真似をしてみました(新しいものに挑戦するときには、ちょっと臆病になって、クリエイティブさを発揮しきれないものです)。でも、中には自らの道を行き、浅い川がたくさん流れる深い渓谷や、水平に広がる海辺の景色を作り出した人たちもいました。ある景色を自分の思いどおりに作るということ、しかも、まるでそこに住むことができそうな形にしていくことには快感があります。

20180819_nyt_terrarium_2

Sasha Arutyunova/The New York Times

指先を使って、セルフケアの効果も

それから、指先を動かし触覚を使うアクティビティは、セルフケアと私たちが呼ぶさまざまな活動で見出すことができます。不安やうつを軽減するセルフケアや、そうしたクラスやトリートメントは、現代社会の破壊的な情報の波に対抗して、私たちをプログラミングし直してくれるものです。

週末の午後の1時間、私が考えていたのは、目の前にある小宇宙の森のことだけ。この森の気候は、ゴム製の小さなキリンに合うかしら? とだけ、ひたすら考えていました。

© 2018 The New York Times News Service[原文:The Calming Art of Terrarium Building/執筆:Bonnie Wertheim](翻訳:Tomoko.A)

*こちらもおすすめ

トライベッカの地下にレアハーブのファーム。狙うはインスタ映え [The New York Times]

大都会のど真ん中、トライベッカのビル地下に水耕栽培の農園が出現。地産のユニークでフレッシュなハーブと食用花が、ニューヨークの有名レストランを魅了。ニ...

https://www.cafeglobe.com/2018/01/066664nyt_herbs.html

廃棄食品ビジネスを立ち上げたこの女性。すごすぎて魔法使いに見えてきた

ブルックリンのベルタ・ヒメネスは、ビール製造の過程で出る穀物カスを粉にするスタートアップ「ライズプロダクツ」を設立。小麦粉より栄養価の高いオオムギ粉...

https://www.cafeglobe.com/2018/07/nyt_beer.html

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    Ranking

    1. 猫背が伸びると気持ちいい! 肩を開くストレッチで、悪い姿勢を解消しよう

    2. 賢い人ほど、とんでもない勘違いをしている? 思い込みにとらわれず世の中を正しく見よう

    3. そもそも、なぜコミュニケーションが苦手なのか。この4つが原因かもしれません

    4. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    5. 人生の宝物にはすべて、40歳を過ぎてから出会った/夏木マリさん[インタビュー後編]

    6. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    7. すべての個人が輝ける企業に。ダイバーシティが確実に未来を変える

    8. Sexが痛い!婦人科医からの性交痛治療アドバイス [The New York Times]

    9. 胸を張って言おう。「私は美しい」/奥田浩美さん

    10. 脚がむくむ、乾燥してかゆい。それって「隠れ下肢静脈瘤」かも

    1. そもそも、なぜコミュニケーションが苦手なのか。この4つが原因かもしれません

    2. 賢い人ほど、とんでもない勘違いをしている? 思い込みにとらわれず世の中を正しく見よう

    3. 猫背が伸びると気持ちいい! 肩を開くストレッチで、悪い姿勢を解消しよう

    4. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    5. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    6. 人生の宝物にはすべて、40歳を過ぎてから出会った/夏木マリさん[インタビュー後編]

    7. なにをどう学んでいけば良いのかわからない? 落合陽一さんより、学び方のヒントです

    8. ちょっとの工夫で体重が変わる。暴飲暴食に走らないコツ8

    9. 現役東大生のシンプルな勉強法で、効率的に学ぼう

    10. すべての個人が輝ける企業に。ダイバーシティが確実に未来を変える

    1. 科学が裏付けた、バナナの健康パワー10

    2. 人を動かしたいなら? 「やれ」と言ってはいけないんだって

    3. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    4. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    5. 生きづらさを感じている人は必見。『自分の「人間関係がうまくいかない」を治した精神科医の方法』

    6. 現役東大生のシンプルな勉強法で、効率的に学ぼう

    7. ポイントは割り下の黄金比率。究極の「すき焼き」レシピ

    8. 早く聞きたかった!お金を「安全」に増やす5つの質問

    9. そもそも、なぜコミュニケーションが苦手なのか。この4つが原因かもしれません

    10. 「夕方おぶす」になってない? 終業時間まで効率よく美しく働く3つのポイント

    コケで作るガラスの箱庭「テラニウム」の安らぎ

    FBからも最新情報をお届けします。