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コケで作るガラスの箱庭「テラニウム」の安らぎ

The New York Times

「フリーランスのコケ栽培が、私の仕事です」。

ニューヨーク・ブルックリンで、2人の女性が始めた植物スタジオ、「Twig(ツイッグ)」。ミシェル・インシアラーノさんとケイティ・マスロウさんは、品質の高いコケをそろえるために、米国各地に住む多くの「モッサー」と呼ばれるコケ栽培家に仕事を発注しています。

扱っている品種は柔らかく、フワフワと軽やかなコケ。さまざまなコケが織りなす生き生きとした緑の陰影は、普通のインテリアショップなどでは見つかりません。

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Sasha Arutyunova/The New York Times

控えめなテラニウムスタジオ「Twig」

Twigが小さなスペースを構えているのは、ブルックリンのディトマスパーク地区。同じブロックには、レストラン専用のフードストアや車の修理工場、ロシア風サウナなどが肩を寄せ合っています。店内の棚にはテラニウムのアレンジ、鉢植えの草、それからミニチュアの生態系に変身するのを待つ球形のガラスなどが並んでいます。

床はベニヤ板を張っただけ。装飾も控えめで、造花の木の葉のついたてを置き、壁を白くペイントしてあるだけです。部屋の真ん中にあるロングテーブルは、週末のみ開催しているワークショップのときに使います。

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Sasha Arutyunova/The New York Times

誰にでもできる瞑想アート

テラニウムは誰でも習わずにできます。必要なのは、数個の石と土、コケと容器。容器はできればガラス製がオススメ。工芸家としての才能にあふれたツイッグの2人組は、たったそれだけの材料を使って、趣味の世界のテラニウムを瞑想アートにまで高めます。

Twigのワークショップではまず、控えめに生きる植物であるコケの生態を速習講座で学びます。コケは全部で1万2500種以上もあり、しかしどれ1つとして「根をもたない」ことが分かります。

小さな植物と一緒に美的感覚を育てる

コケは朽ちた自らの葉の上にどんどん繁殖していく、ほぼ自己持続型の植物です。コケが好む温かく湿った環境は、覆われたテラニウムの中ならば、時々水を振りかける程度で保てるので、世話はなおさら要りません。それでも一からテラニウムを作ってみることは、植物と自分の美的感覚を育てるちょっとした練習になるでしょう。

ある日曜日の午後、Twigのロングテーブルの上には、茶色の紙袋とボウルが置かれていました。ボウルの中には私たちの使う道具——ゆるい蓋のついたガラス瓶、大きなピンセット、磨いた川原の石、ピートモスを乾燥させた園芸用の土、ミズゴケ、砂、シーグラス(浜辺で波や風によって角がとれたガラス片)が入っていました。

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Sasha Arutyunova/The New York Times

気軽に満たされるガーデニング心

私たちはまず、ガラス瓶の下から5分の1ほどに石を敷き、その上に乾燥した草をひと握り分、何層かに分けて重ねて詰めました。その上にさらに園芸用の土をまくと、いよいよ3種類のコケの出番。乗りかごよろしくトレーに乗ったムードモス、シートモス、パームモスを冷蔵庫から出し、小さな庭作りが始まります。

英国の作家ペネロピ・ライヴリは自伝「ライフ・イン・ザ・ガーデン」の中で、「本物のガーデンライター」と「ガーデンコメンテーター」を区別して呼びました。彼女によれば、本物のガーデンライターは、美を生み出すために手に泥がつくことを気にしないもの。私はその言葉を思い出しながら、コケをひとつかみし、その不思議な表面を指でなで、手のひらに乗った土の涼しさを感じました。テラニウム作りは、バラの茂みを覆うような複雑な作業ではないけれど、植物を育てたいという園芸好きの気持ちをしっかり満たしてくれます。

コケとシーグラスで作る極小のビーチ

コケで山を作り、そのふもとに砂とシーグラスで小さなビーチを作って動物のミニチュアを置くのは、インシアラーノさんのお気に入りのスタイルの1つ。

クラスに参加した私たちの多くは、彼女の真似をしてみました(新しいものに挑戦するときには、ちょっと臆病になって、クリエイティブさを発揮しきれないものです)。でも、中には自らの道を行き、浅い川がたくさん流れる深い渓谷や、水平に広がる海辺の景色を作り出した人たちもいました。ある景色を自分の思いどおりに作るということ、しかも、まるでそこに住むことができそうな形にしていくことには快感があります。

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Sasha Arutyunova/The New York Times

指先を使って、セルフケアの効果も

それから、指先を動かし触覚を使うアクティビティは、セルフケアと私たちが呼ぶさまざまな活動で見出すことができます。不安やうつを軽減するセルフケアや、そうしたクラスやトリートメントは、現代社会の破壊的な情報の波に対抗して、私たちをプログラミングし直してくれるものです。

週末の午後の1時間、私が考えていたのは、目の前にある小宇宙の森のことだけ。この森の気候は、ゴム製の小さなキリンに合うかしら? とだけ、ひたすら考えていました。

© 2018 The New York Times News Service[原文:The Calming Art of Terrarium Building/執筆:Bonnie Wertheim](翻訳:Tomoko.A)

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