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マンハッタン、夏の匂い。NYの雑踏で人間観察

The New York Times

今を生きる人々のスタイルをカメラで捉えたコラムシリーズ LOOK 。今回は、ライター&ブロガーのダーシー・ワイルダーが覗き見したNYストリートの景色。

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ニューヨークにて、お揃いのコートとメガネの男性。人間観察といえば聞こえはいいが、無活動であり同時にプライバシーの損害でもある。しかしこの街には見るべきものがたくさんある。(Andre D. Wagner/The New York Times)

行き交う人がおもしろすぎるニューヨーク
他人を観察するのはちょっと後ろめたくも、楽しい

携帯電話がいまのようにおもしろくなる前、ニューヨークのとどまることのない街角劇場から気をそらすものがあるとは想像もできなかった時代には、自分の周りで展開する世界を眺めたものだった。

デバイスのスクリーンや自分の生活の心身的な制限の外側には、はるかに大きな世界が広がっているのだということを思い出すときがある。

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2018年6月9日、ニューヨークのセント・マークス・プレースで、おそろいのカツラをつけた女性。(Andre D. Wagner/The New York Times)

ワシントン・スクエア公園で人間観察をする

わたしはときどき外出時間を延ばしてワシントン・スクエア公園へ出向く。もう暑いので噴水はついている。周りで何が起こっているかをしっかり見るには、サングラスをかけるか、つばの大きな帽子の下で目を細めなければならない。

噴出口から出る水流に陽の光が反射して、しぶきがさまざまな方向に飛んでいる。噴水中央の水圧が1番高く、4つの噴出口からは10フィート(約3メートル)の高さに水が吹き上げられている。

わたしの右側にいる女性は、水しぶきに顔をつっこんでしかめっ面をしている。しぶきがわたしのノートにかかる。塩素の匂いがするけれど、同時に森みたいな匂いもする。松の木と土の香りを模倣したわたしの香水と混ざってナチュラルな匂いになるけれど、それはわたし自身の香りではない。

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ニューヨークにて、お揃いのストライプシャツを着た女性。(Andre D. Wagner/The New York Times)

人間観察をしていると、いつもわたしは他人のじゃまをしているような気分になる。自分のことだけを気にしているべきだという規則を破っているかのような、眺めるだけの目的で観察するなんて不誠実であるかのように感じるのだ。観察するのは無駄だとか、その人の同意がなければダメだというかのように。他人を眺めたり、そうしている自分を認めるのはまるで非礼であるかのように。カーテンの裏側をのぞいてはいけないかのように。

公園の上に広がる空の太陽を見上げるとホッとする。強烈な太陽と暑さが体に注がれると、鳥肌と震えを感じる。

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2018年4月24日、ニューヨーク、ブロードウェイを歩く同じヒゲの男性ふたり組。(Daniel Arnold/The New York Times)

マンハッタンのさまざまな匂い

それから、行ったり来たりする人の波や、ラッシュアワーや午前11時の空いている電車に気がつく。地下鉄のあのオレンジ色の座席に残るエアコンの冷たい匂い。電車の乗り降りの際の激しい気温の差を、はじめは不快に思うこと。

暑い突風に、ニューヨークで働き始めた最初の夏のことをいつも思い出す。毎日、F系統路線と交わるところまでA系統路線に乗った。こんな思い出のかけらが、ふとわたしたちを揺さぶり、励ましてくれる。記憶には人や場所の独特の香りが混ざった匂いがあって、それはすべてブレンドされてひとつのボトルに凝縮して入っている。自然にその匂いをかいだときだけ気がつく、自分たちが気がつかないうちにまとっている香りだ。

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2017年10月11日、ニューヨーク、デランシー通りとエセックス通りの交差点にてお揃いのシャツを着た男性。(Daniel Arnold/The New York Times)

でも、マンハッタンの特有の夏の匂いは味覚を洗い清めてくれ、くだらなさと清々しさの混ざった1日はいつもどおりに進んでいく。そして、わたしはまた地下鉄に乗る。昔は車両番号を記憶していた。オレンジ色の座席のある車両はいつも5252で終わっていた。記憶することによって、いつもあのプラスチック製の座席に座って、(スウェーデン出身のバンドの)リフューズドのあるアルバムを何度も繰り返して聞いたことがなにか特別になるかのように。

地上を走る部分で窓の外に視線を移す。窓に当てた額に電車の揺れをひしひしと感じる。動く景色を目で捉えようと試みる。目をある一点に集中させて、タイプライターを左右に動かしてはリセットするように、視点を水平にスライドさせては次の焦点を探す。タイプした文ひとつひとつが同じページに縦に並んでいくように。同じページには打った文の下に新しい文がどんどん重ねられていくように。どこを見つめていたのか焦点を見失ったときに、ようやく何かが変わっていたことに気がつくのだ。

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ニューヨークにて、同じ髪型をした女性3人。(Andre D. Wagner/The New York Times)

© 2018 New York Times News Service[The Impolite Pleasure of People-Watching/執筆:Darcie Wilder](翻訳:ぬえよしこ)

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