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ほめて伸ばす? 罰して正す? 職場でも使えそうな子育てワザ

The New York Times

賞罰には条件がつきものですが、子どもへの愛情やポジティブな気配りは無条件。

子どもの行動を変えるにはどうすればよいか、心理セラピストのヘザー・タージョンがアドバイスします。

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寝る時間になると手がつけられない

「寝る時間がくるとゆううつですね。ああ、まただと思って」

ファミリーカウンセリングをしていて、ある父親からこう言われました。寝る時間になると4歳の息子さんが親の言うことを頑として聞かず、パジャマという言葉を聞いただけで手がつけられなくなるそうです。両親はどうしてよいかわからず、悩むばかり。

罰がいいの? ほめるほうがいいの?

セラピストとして育児に悩む親御さんからよく受けるのは、テレビやスマホのスクリーンタイムを制限したりして罰するべきか、それとも良い子にしていたらごほうびをあげてほめるべきかという、賞罰をどうするかという質問です

親御さんの多くは罰で育っていますから、それに頼る傾向があるのは理解できます。でも、罰を与えることは状況を悪化させて、子どもの学ぶ機会をつぶしてしまうことにもなります。戦うか逃げるか反応が起きます。つまり、前頭葉の洗練された思考ではなく、防御メカニズムが作動するわけです。罰されたほうは、屈辱や怒りを感じたり、反抗したり、感情を押し殺したり、次は捕まらないようにと考えたりします。前述の家族の場合には息子さんの抵抗が最大になっているのです。

ごほうびをあげるのも逆効果

となると、ほめるのが良い選択肢なのでしょうか。

よく考えてみましょう。報酬とは罰のコインの裏側に過ぎないのです。一時的に子どもをコントロールできるので、親御さんが報酬に魅力を感じるのは当然です。でも、その効果はすぐになくなったり、逆効果になることもあります。部屋を掃除するように娘に言ったら、「なにをくれるの」という言葉が返ってきたクライアントの話を聞いたことがあります。

過正当化効果、といいます

心理学者は何十年にもわたり、報酬は持ち前の意欲や楽しみを減らすことになると述べてきました。例えば、絵を描くのが好きな子どもを、絵を描いたらお金をもらえるような実験的条件下におくと、絵を描こうとしなくなりました。シェアするのが好きな子どもにお金を与えると、シェアすることが少なくなるなど、例は枚挙にいとまがありません。これは心理学でいう「過正当化効果」で、外的な報酬が子どもの内的な動機を曇らせてしまうというものです。

報酬があると、クリエイティビティが低下する

また、報酬があることはクリエイティビティの低下と関係しています。ある実験では、被験者は画びょうの入った箱、ろうそく、マッチを与えられて、ろうそくを壁に取り付けるように指示されました。箱をろうそくホルダーとして使うという、通常の使い道とは異なる斬新な考え方が必要なのです。解けたら報酬があると言われた人たちの方が平均して時間がかかりました。つまり、報酬によって視野が狭められてしまったのです。脳は自由に考えらなくなり、視点ば狭まり、可能性が見えなくなってしまうのです。

幼い子どもにだって良い心がけはある

賞罰を与えるという考え方は、子どもに対する否定的な仮説に基づいています。つまり、子どもには大人のコントロールが必要で、大人が手を出さなければならないというものです。子どもには良い心がけはないという前提なのです。しかし、逆に考えてみれば、子どもには、共感、協力、チーム精神、勤勉が備わっており、能力があるとみなすこともできます。視点を変えてみれば、子どもへの話しかけはずっと効果があるものになります。

賞罰には条件がつきものですが、子どもへの愛情とポジティブな気配りは無条件であるべきです。実際に共感を持って子どもの話に真剣に耳を傾けたとき、子どもも親のことを聞くようにもなります。次に、子どもとの会話を変え、そして行動を変えるための具体的なアドバイスを紹介します。

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Image via Shutterstock

行動の裏にある気持ちをくみとる

子どもが兄弟をたたいたり、親のいうことを無視したり、スーパーで騒ぐのには理由があります。行動の裏にある理由を考えるとき、親が手を差し伸べることに意義があり、その効果も長続きします。親がそういう態度をとれば子どもは抵抗するのをやめ、ルールを守ろうとする気持ちになり、うまく問題を解決することができるでしょう。

「お友だちと仲良くしてシェアしなければ、スクリーンタイムはなしよ」の代わりに、こう言います。

「新しいおもちゃを友だちとシェアしたくないのはわかるわ。それがいやだから怒っているのね。どうしたらお友だちと一緒に遊べるか考えてみて。わからなかったら助けるわ

泣いたり抵抗したり、身体的な攻撃などは、氷山の一角にすぎません。水面下には、空腹や睡眠不足、刺激がありすぎたり、感情をもてあましている、発育スキルを培っている最中、または新しい環境などいろいろなことがあるでしょう。そういうふうに考えられれば、親は子どもをコントロールする敵ではなく、子どもを導くパートナーとなります。

報酬ではなく、やる気が出るように励ます

「わたしたちはチームを組んでいて、おたがい信頼と協力の気持ちがあります」というメッセージがあるとき、モチベーションはすばらしいものです。これは報酬をちらつかせるのとは微妙な違いがあり、とても効果があります。

NG:「部屋を片付けたら公園へ連れていってあげるから、はやく掃除しなさい。でなければ行かないわよ」→Good:「部屋を掃除したら公園へいきましょう。はやく行きたいわね。手伝いが必要だったら教えてね」

罰を与えるのではなく、手をさしのべる

罰には、「あたなは自分の行動のせいで苦しめられる」というメッセージがあります。そんなメッセージを送りたくはないと考えている親御さんは多いのですが、同時に甘い親だとも思われたくはありません。罰しなくても、限度を保って子どもを導くことは可能です。

NG:「すべり台でお行儀よく遊んでいないから、タイムアウト。いったい何回言えばわかるの?」→Good:「楽しいのはわかるけど、そんなふうに遊んでいると危ないから、すべり台から下りて、ちょっと休みましょう」

NG:「そんなひどい言葉遣い、許せません。携帯を取り上げます」→Good:「まあ、すごく腹が立っているのね。だからといってそんな言葉づかいは許せません。携帯を預かっておくから、落ち着きなさい。落ち着いたら、どうして怒っていたのか話して。一緒に何ができるか考えましょう」

いっしょに問題を解決する姿勢を

人は生来怠け者ではありません(それは適応性のある特性ではないので)。とくに子どもはそうではありません。人はチームの一員だと感じるときには一生懸命働きます。幼い子どもも、有能な家族の一員でありたいと思っているのです。自分の貢献が見せかけではなく本当に重要であるなら手伝いたいと思っているのです。親が仕事中に邪魔されないように何かをさせるのではなく、子どもには幼いときから実用的な手伝いをさせるのがいいでしょう。

日常生活の家事などの分担を一家で話し合い、それぞれがアイディアを出し合います。子どもの分担表を作り(または子どもに作らせ)、タスクが完了したら印をつけましょう。

タスク化するのも一案です

冒頭の就寝時に大騒ぎする男の子の場合には、状況を探ってゆくと進歩がありました。その子は夜に疲れすぎていたので、昼間の予定を減らし、夕方にはゆっくりする時間を取るようにしました。寝る時間が近づいたら、母親は息子をバスタオルでくるんで、大好きなブリトーとだと話しかけました。また、母親は仕事で帰宅が遅くなったとき息子に辛い思いをさせているのだと気づいたのです。「寝るときにお母さんがいないと寂しいのね。わたしも寂しいわ。今日は本を読みましょうか?」就寝時のルーティーンを表にして、息子の意見も取り入れました。しだいに息子は抵抗しなくなり、寝る時間は親子をつなぐ楽しいひと時に変わっていきました。

そのときにはどんなに理不尽で苦しく感じても、「あなたを理解している。理解して助けるためにわたしはいます。わたしはあなたの味方。いっしょに解決しましょう」という態度で臨み、視点を変え、対応を変えることはできるのです。

©.2018 The New York Times[Which Is Better, Rewards or Punishments? Neither /執筆:Heather Turgeon](翻訳:ぬえよしこ)

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