1. Home
  2. ライフスタイル
  3. 映画批評の世界にもダイバーシティを

映画批評の世界にもダイバーシティを

The New York Times

映画批評サイトのロッテン・トマトがこのほど、サイトに貢献するレビュアーの承認基準を刷新。女性やマイノリティを増やすとともに、ポッドキャストやユーチューブなどのプラットフォームで活動するレビュアーを取り込む方針を打ち出しました。

20180908_nyt_movie_2

米カリフォルニア州ビバリーヒルズにあるロッテントマト本部でミーティングをするスタッフ。2017年8月31日撮影(David Walter Banks/The New York Times)

ロッテン・トマトとは?

ロッテン・トマトは、様々なメディアに掲載されている映画やテレビドラマの批評を集積し、一覧できるウェブサイトです。プロの評論家のレビューをもとに作品を採点し、トマトメーターと呼ばれる独自の評価軸上で「fresh(好評)」か「rotten(悪評)」かの評価を下します。

しかし、映画製作者のなかには、サイトが下す評価の正当性に対し厳しい見方をする者もいます。世界各地を拠点とする約4400人ものレビュアーのなかには、名の通ったメディアで活動する評論家からブロガーまで、様々なキャリアや立場の者がいるからです。

より多くの声を反映して、質の高い批評を

こうした批判をよそに、ロッテン・トマトは8月28日にレビュアーの承認基準を刷新し、新たに200人を登録しました。

ロッテン・トマトの運営会社、ファンダンゴ社のボール・ヤノーバー社長は次のように述べています。「多くの声が反映されるほど、サイトは良くなるはずです。さらに質の高い批評を目指します」。

今回の決定の背景には、批評の分野もインクルーシブであるべきという運営会社の意向があります。現在、映画批評に関わる人材は白人男性に著しく偏っており、女性やマイノリティを排除していると批判を浴びている映画製作会社とそう変わらない状況です。

映画批評の世界は圧倒的に白人男性が多い

南カリフォルニア大学のチームが2018年6月に発表した研究によると、2017年の興行成績100位までの映画について、ロッテン・トマトが掲載したレビューの82パーセントが白人によるもので、78パーセントが男性によるものだということです。

また、今年7月にサンディエゴ州立大学のチームが発表した別の研究によると、女性主導の映画については、女性に比べ男性の評論家の方が厳しい判断を下すことが分かっています。

有名映画祭も対策を講じている

「40歳の白人男に『A Wrinkle in Time』のダメ出しをされたくないわ。彼向けに作られた映画じゃないもの」。

女優のブリー・ラーソン(『ルーム』でアカデミー主演女優賞受賞)はそんなコメントをはさみながら、サンダンス映画祭とトロント国際映画祭では今後発行される取材許可証のうち20パーセントがマイノリティのジャーナリストたちに与えられると発表しました。

20180908_nyt_movie_1

米カリフォルニア州ビバリーヒルズにあるロッテントマト本部。2017年8月31日撮影(David Walter Banks/The New York Times)

レビュアーとして登録するハードルが緩やかに

レビュアー陣をもっとインクルーシブにするため、ロッテン・トマトは選考基準にあるメディア規模に関する項目を変更しました。

テレビ番組のレビュアーとして登録されるためには、これまでは全国放送のテレビ局またはラジオ局で最低2年の就業経験が必要でした。新しい基準では地方局での経験しかない者にも門戸が開かれ、年数のハードルもなくなりました

批評記事が掲載されている媒体の発行部数やPVに関する要件も撤廃されました。

オンラインメディアのレビュアーが承認されるには、これまでは月間ユニーク・ビジターが50万を超える媒体で2年以上、300ワード以上の記事を最低100本執筆していることが求められていました。新しい基準は、「2年以上、定期的に記事を発表していること」というシンプルなものです。

20年前と同じ基準のままでは続かない

また、批評活動の場がポッドキャストに限られている人もロッテン・トマトのレビュアーとして登録できるようになりました。月に最低4本をアップしていることが条件ですが、マイノリティをターゲットとしたポッドキャストに関してはケースバイケースで承認される可能性があるそうです。

さらに、フリーランスの評論家をもっと取り込んでいくとのこと。これは地方紙が次々に廃刊されるなかでの決定です。

「20年前のメディア環境に則した基準がそのまま残っていましたが、当然ながら世界は変わりました」

ロッテン・トマトの20年前

ロッテン・トマトはカリフォルニア大学バークレー校を卒業した若者たちによって、1998年に開設されました。当初は、カンフー映画のレビューを一覧できるサイトを作ることが目的でした。

サイト名は中世ヨーロッパの慣習に由来します。村人たちが囚人に腐った食べ物を投げつけていたのが、いつしか劇場での慣行に変化。観客が、大根役者に不満をぶつける手段からきています

いまや、エンタメ界に多大な影響力を与える存在に

2年前、ロッテン・トマトはNBCユニバーサル傘下のチケット販売会社、ファンダンゴに買収されました。以来、サイトの評価は、ファンダンゴのチケット販売画面にも表示されるようになり、ますます多くの人に見られるようになっています。

映画制作会社からは、ロッテン・トマトの評価によって映画の興行成績が左右されてしまうとの苦情も出ていますが、ファンダンゴのヤノーバー社長は、それは言い過ぎだとしています。

ロッテン・トマトの挑戦は続く

とはいえ、サイトの影響力の拡大に伴い社会的責任も大きくなってしまうもの。ヤノーバー社長は多様性を担保するため、評論家の承認などに携わるフルタイムの担当者と、ニュース記事と特集ページを取りまとめる編集者を新たに雇い入れたと発表しました。

さらに、新進の評論家が映画祭に参加できるよう、彼らをサポートする補助金プログラムを始めるそうです。

新規のレビュアーが増えたからといって、これまでのメンバーが除外されることはありませんが、サイトが認定する「トップ評論家」のリストはいずれ更新されるだろうとヤノーバー社長は言っています。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Rotten Tomatoes Adds 200 Critics as It Tries to Be More Inclusive/執筆:Brooks Barnes](抄訳:Tom N.)

「セックス・アンド・ザ・シティ」に並ぶ!?「The Bold Type」が深くて面白い

全米で大ヒットのTVドラマ『The Bold Type』。世界のどこにでもいる20代の女性の物語を描き、共感をよんでいる。現代の諸問題を絡めながら、...

https://www.cafeglobe.com/2018/08/nyt_theboldtype.html?test2018_01

美術館キュレーターにも広がるダイバーシティの波

白人以外はキュレーターになれない。そんな壁を打ち破り、美術館スタッフにも多様性を求める動きがアメリカで生まれている。ニューヨーク・タイムズ掲載記事。

https://www.cafeglobe.com/2018/08/nyt_museums.html?test2018_01

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    Ranking

    1. 盲点でした。1日をおよそ25時間にする方法

    2. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    3. がんばれ、私たち。愛と悲哀のスキンケア川柳

    4. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    5. 収入アップを狙うなら、3つの見地から考えよう

    6. 長子はIQが高い? きょうだいの生まれ順が、あなたの性格に与える影響

    7. これから訪れる人生の危機を予習できるアラフォー必読小説

    8. 上司より先に帰りづらい問題。若手社員が先輩に提案するのは「ポジティブな帰り方」

    9. ポイントは割り下の黄金比率。究極の「すき焼き」レシピ

    10. 博学多才タイプ

    1. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    2. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    3. 盲点でした。1日をおよそ25時間にする方法

    4. がんばれ、私たち。愛と悲哀のスキンケア川柳

    5. 秋冬の乾燥に立ち向かえ。みんなのカサつき肌対策

    6. ビル・ゲイツの親友もすごい人だった。彼が語る「早いうちに習慣化させるべきこと」とは

    7. 若手社員に「仕事の断り方」を聞いてみたら回答が斜め上を行っていた

    8. 貯金が得意な人の特徴が、全然当てはまらなくてグサッとくる......

    9. 博学多才タイプ

    10. ポイントは割り下の黄金比率。究極の「すき焼き」レシピ

    1. 人生は辛いことも多い。でも、少しでも楽に生きたいなら「三毒」を離れること

    2. 30日間、毎日3.7リットルの水を飲んでみてわかったこと

    3. 頭の良さは努力しても変わらないと思っている人は「多重知能理論」を知ってほしい

    4. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    5. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    6. 秋冬の乾燥に立ち向かえ。みんなのカサつき肌対策

    7. 靴を脱いだときの「足のニオイ」が怖くなくなる方法

    8. 「正しく生きるな、賢く生きよ」。世界中で愛読されている名作から学ぶ人生訓

    9. 「頑張ります!」はバカっぽい? 語彙力を高めて教養がある大人になるために

    10. 心の痛みは「現状は間違っている」ことを教えてくれる重要なシグナルです

    映画批評の世界にもダイバーシティを

    FBからも最新情報をお届けします。