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リッチなアジア人増えてきた気がするけど、本当にそうなの?

The New York Times

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『クレイジー・リッチ!』の一場面より(左から)オークワフィナ、ニコ・サントス、コンスタンス・ウー。(Photo by Sanja Bucko/Warner Bros. Entertainment via The New York Times)

ロマンチックコメディーの新作映画『クレイジー・リッチ!』(2018年9月28日より日本国内公開)のストーリーは、まさにこの映画の原題「クレイジー・リッチ・エイジアン(クレイジーなほどリッチなアジア人)」が表す通りかもしれない。移民のサクセスストーリーとしては完璧なイメージだ。アメリカでこの映画を見た観客は、すべてのアジア人が信じられないほど成功した生活を送っているのだろうと思い込むかもしれない。

ニック・ヤング(ヘンリー・ゴールディング)とレイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は、若く、向上心を抱いたニューヨーク大学の教授。ニックは、シンガポールの大富豪一族の御曹司で、一方のレイチェルは、中国系移民の母一人子一人で苦労しながら育ち、今や経済学者として成功している。

ニューヨークで貧しい移民グループは、アジア系

だが、このストーリーはもちろん、アジア系アメリカ人の全体像を示しているわけではない。国勢調査局のデータに基づいたピュー・リサーチセンターの最新調査によれば、人種的・民族的に最も経済格差が激しいのは、今やアフリカ系アメリカ人ではなく、アジア系アメリカ人で、所得格差は1970年から2016年にほぼ2倍に広がっている。

ニックとレイチェルの「故郷」であるニューヨークはどうかというと、この街で最も貧しい移民グループはアジア系だ。アジアンアメリカン連盟によると、市内に住む貧困層のアジア系は、2000年には17万人だったが、2016年には24万5000人と、この約15年間で44%増となっている。

リッチなアジア系がアメリカで最も高所得集団を形成する一方で、アジア系の貧困村の所得は概ねそれほど伸びていない。この傾向は他人種にもみられるが、所得格差が最も急速に広がっているのがアジア系なのだ。

格差の理由は、教育・スキル・英語力

2016年の段階では、所得分布上位10人のアジア系の収入は、下位10人より約12万ドル多かった。アジア系アメリカ人の格差の主な原因となっているのは、教育、スキル、そして英語力だ。インド系・中国系移民が東南アジアの移民より高収入なのは、平均すると教育レベルが相対的に高いからだ。

例えば、アメリカに住む台湾およびインド出身者の4分の3は、学士号かそれ以上の学位を持っている、とコロンビア大学社会学部のジェニファー・リー教授は指摘する。一方、ベトナム、カンボジア、ラオスなどの東南アジア諸国出身者は、平均すると他のアジア系アメリカ人にかなり差を開けられている。

ニューヨーク在住の中国系アメリカ人、ジョナサン・リー(30)は、電子商取引サイトEtsyでシニアデザイナーとして働いている。両親と違って、姉妹のジェシカと共に大卒だ。「僕らは父に、コインランドリーのアイロン台で寝ていた話を聞かされました」と話す。「母は、19歳のときにアメリカに渡り、パタンナーになるためにニューヨーク州立ファッション工科大学の夜間コースに。父は(電力会社)コン・エドで働いていました。両親は今では家を持っています」

南アジア出身者が増えている

アジア系移民は、以前に比べると多様化してきている。コロンビア大学のリー教授によれば、1970年にはアジア系移民と言えばたいてい東アジア出身だったが、現在は南アジア出身の移民が増え、アメリカ国内でアジア系アメリカ人が最も急速に拡大している要因となっている。

1970年にアメリカの人口の1%に満たなかったアジア系アメリカ人は、今日では6%にまで増え、南アジア・東南アジア出身者を合わせると、東アジア系を上回る。

もちろん、格差は時代に合わせて変動する。アメリカで最も人口が多いアジア系移民の上位10集団の中でもそうだ。

収入格差は、ある程度、技能を基にしたビザの取得者か否かの差で発生する。アジア系アメリカ人と太平洋諸島出身者に関する人口統計データや政策研究を発表している組織「AAPIデータ」のカースィック・ラーマクリシュナン所長は、「ベトナム人、カンボジア人、ラオス人、彼らは主に難民です」と説明する。

トランプ氏の政策が足かせに?

格差は、時間がたつにつれて一層際立ってくる。「現在のインド・中国系移民は教育水準が高く、高度な技能を持つ身内を母国から呼び寄せる」とラーマクリシュナン。「ファミリービザは、高等教育を受けている人々に下りる傾向があるのですが」と続け、こう指摘した。ドナルド・トランプ大統領と共和党のトランプ派は、家族関係に基づく移住ビザの発給停止を要請しているが、それでは結局、最良で最も優秀な移民の入国を拒否することになる、と。

英語力は、収入、教育、医療を受けられるかどうかにも影響する。また、教育レベルの高い移民でも言葉の壁を体験することはある。アジア系アメリカ人の約35%が英語力に問題がある、とリーは指摘した。

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『クレイジー・リッチ!』の一場面より(左から)ミシェル・ヨー、ヘンリー・ゴールディング、コンスタンス・ウー。(Photo by Sanja Bucko/Warner Bros. Entertainment via The New York Times)

でも、アジア系富裕層も増えたのは事実

ニューヨーク・タイムズ紙は50年以上前に、第2次世界大戦中に強制収容された日系アメリカ人が一世代で急成長する様子を取り上げ、模範的なマイノリティとしてのアジア系アメリカ人のイメージを確立するのに貢献した。だが、多くのアジア系アメリカ人は、そうしたイメージは間違いで危険でもあり、移民たちのより大きな問題を覆い隠してしまうと反発する。『クレイジー・リッチ!』もそうした神話を上塗りする結果にしかならないだろう。

1970年から2016年にかけてアジア系の富裕層が増えてきたことは事実だ。アジア系アメリカ人の大多数は、他の民族集団よりは生活水準が高く、年収ピラミッドで見ると、白人とアジア系はどの所得層でもアフリカ系とヒスパニック系を上回っているが、一方で、アジア系アメリカ人の貧困層も増えてきている。

貧困から目をそらさないで

こうした傾向が起きているのは、ミネソタ州ラムジー郡のように歴史の古いチャイナタウンがある大都市で、こうした地域では多くのモン族出身者が貧困状態にある

ベトナム戦争中の米軍による広範囲の空爆が終わった後、1979年にラオスから難民として渡米し、現在ミネソタ州セントポールに住むボー・タオ・ウラベ(45)は、「両親は日々のやりくりに苦労していました。成人学校に行って英語を学び、工場で働き、あちこちの家庭で清掃の仕事を請け負っていた」と自身の境遇を語った。「私たちが子どものときは、最初の頃は早起きしてゴミの収集コンテナにアルミ缶を探しに行ったものです。夏の間は、家族でウィスコンシン、ミネソタ、アイオワの農場で働いていました」

『クレイジー・リッチ!』の公開、そしてアジア系のオールキャストは確かに喜ばしい業績となるだろう。だが、多くのアジア系アメリカ人が今なお直面している困難な問題に懸念を示す人口統計学者らは、ハリウッドが描く光り輝くイメージに目をくらまされて、そうした問題を看過してはならないと指摘している。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Some Are ‘Crazy Rich,’ But Asians’ Inequality Is Widest in the U.S./執筆:Adeel Hassan and Audrey Carlsen](抄訳:Misako N)


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