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テレビの世界もダイバーシティに。脚本家たちがひっぱりだこ

The New York Times

デイリン・ロドリゲスさんは、ベテランのテレビ脚本家でプロデューサー。

新しいシーズンに新番組を担当する気はなかったのだが、彼女のエージェントのところにはつぎつぎ仕事の問い合わせが舞い込み、とつぜん売れっ子になった。

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テレビ脚本家 デイリン・ロドリゲス (Emily Berl/The New York Times)

それは、彼女が、ハリウッドのある重役が「ユニコーン」と呼ぶグループに属していたからだった。つまり、ラテン系女性というだけではなく、テレビ業界のたたき上げでもあったからだ。

「『至急なんです。あなたみたいな人は数えるほどしかいないし、みんな仕事を抱えているから』と言われました」と、ロドリゲスさんは言う。けっきょく『Queen of the South』のプロデューサー業を続けるために、他のオファーを断った。

多様化に焦っているテレビ業界

多くの番組が製作中のテレビ業界、重役たちは脚本チームを多様化しようとあせっている。脚本チームの現場とは、ストーリーや会話やキャラクターが、そして明日のショーランナー(現場責任者)が生み出される、ハリウッドの秘密の基点なのだ。

40人近い脚本家、プロデューサー、スタジオやテレビ局のエグゼクティブにインタビューしたところ、白人中心のアカデミー賞が非難の的になった#OscarsSoWhiteをはじめ、さまざまな議論が交わされ、多様性が注目されるようになった。そして、とくに上級ランクにおける非白人女性の起用については、申し合わせたように力を入れるようになってきたと語っている。

ネットフリックス、アマゾン、HBOなどでは連日新しい企画が進められており、いまの大活況を呈する番組の大洪水によって、非白人脚本家の需要も増えている。新しい番組には非白人や女性を主人公としたものも多く、またマイノリティや女性の脚本家が脚本チームの中心になってきている。これは、長い間お飾りのように感じていた脚本家たちにとっては、大きな前進だと言える。

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ネットフリックスの『Marvel ルーク・ケイジ』のクリエイター、製作総指揮、ショーランナーのチェオ・ホダリ・コーカー (Kyle Johnson/The New York Times)

『Empire 成功の代償』『Jane the Virgin』『Power』のようなヒット作を作ろう、次のリー・ダニエルズ、エイヴァ・デヴァーネイ、ションダ・ライムズを発掘しよう、イッサ・レイやドナルド・グローバーのような才能を育てていこうという意欲が感じられる。

クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシーのエージェントであるクリスティ・ハウベガー氏は、「特別な人を発掘しようと、だれもが躍起になっていますね」と語っている。経験豊かな非白人の脚本家への需要が高まっているので、テレビ局やプロデューサーが自分たちで探せるようと、彼女はオンラインのデータベースを作ったところである。「需要はすごく高いので、ハリウッドの要望にいちいち応えるのは無理ですから」

供給が間に合わないんです

しかし、経験豊かな非白人や女性の脚本家たちが、とつぜん増えた仕事のオファーに対応しなければならなくなったのは、供給側の人数が少ないからなのだ。その問題はハリウッドの自業自得と言える。

マイノリティで女性の脚本家は、仕事を探していても、ショーランナーに知られていないか見過ごされていたり、エージェントがついていなかったり、経験があまりないと見なされがちである。「人材のプールは広いが、深くない」とよく言われる。多様化のための努力の最前線にいる人たちでさえも、人材不足を認めている。上級脚本家になるように育成されたマイノリティの女性脚本家は少ない。その地位は白人男性に集中しているだけではなく、手の届かない地位であり、昇進の格差やランクの低いエントリーレベルの給料という差別も存在する。

製作トップはまだまだ白人男性……

ハリウッドの脚本スタッフはいまだに白人男性が中心だ。UCLA社会学部長のダーメル・ハント氏が、団体「カラー・オブ・チェンジ」のためにまとめた報告によると、20016年から2017年のシーズンの200を超えるシリーズのうち、非白人脚本家はわずか13.7パーセントだったという。ショーランナーの中でも、脚本家からスタートして、製作とマネジメントの絶対的なコントロールを持つ製作総指揮のレベルでは、9割以上が白人で、8割が男性だった。

「『自分のショーに女性監督はやめてほしい』『白人男性だけに脚本を書いてもらいたい』なんて言う人はいません」と、TNTのエグゼクティブ、サラ・オーブリー氏は言う。「でも、現場で修羅場になって『いざというとき頼れるライターは誰だ』と考えたときに、その人材リストを広げていかなければいけないんです」

女性やマイノリティのスタッフも少しずつ増えている

今年のスタッフ統計はまだ出ていないが、マイノリティ女性の脚本家やショーランナーは、自分たちと同じようなスタッフを現場で目にすることが増えてきたと言っている。

新しい番組が大量に作られていることによって、数年前には存在していなかった可能性の扉が開かれた。番組のなかには、『Dear White People』『Seven Seconds』『Pose』『Master of None』など、業界きっての多様なスタッフを抱えているものもある。

脚本家兼プロデューサーのラトーヤ・モーガンさんは、AMC局で憧れの的である総合契約を2回結んでいる。その契約では、彼女がプロデュースする番組はすべてAMCに買い上げられることになり、高収入の職務保証が与えられる。それ以前は、複数のテレビ局からの要望をさばいていた。同じ立場にいる非白人の女性を何人か知っているという。「以前にはなかったような、すばらしい機会がいまではたくさんあります」と話している。

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脚本家、プロデューサーのラトーヤ・モーガン (Alex Welsh/The New York Times)

手放しで喜べない複雑な思いも……

同時に、女性でマイノリティである脚本家たちは、自分たちの需要が高まっているのは多様性を求める純粋な気持ちからなのか、それとも男性のショーランナーが批判から逃れるための手立てなのか、疑問を抱かざるを得ないという。

カーステン・ヴァン・ホーンさんは、『Berlin Station』『Mistresses』のプロデューサー。「上級ランクにいる女性を探している」とか「どれどれのランクにいる、多様性を持つ候補者を探している」などと最近よく耳にするそうだ。

ソノ・パテル氏は南アジアからの移民の家系で、『Crazy Ex-Girlfriend』のプロデューサー兼脚本家である。彼女によると、ショーランナーがアフリカ系脚本家を求めていたので仕事をもらえなかったことが何度かあると言う。「いまだにわたしたちは(条件に合っていたらチェックマークを入れるだけの)チェックボックスに過ぎないんです」

業界に入ってとにかく前へ進むだけ

テレビ業界で脚本家になるための定番ルートは、脚本家のアシスタントとして、メモをとったりリサーチをしたりするところから始まる。そしてスタッフ脚本家になる。その上には通常7つのランクがあり、上へ行くほど上級になり給料もあがる。トップの共同製作総指揮、または製作総指揮兼ショーランナーになるまでには、だいたい10年ほどかかる。

ノエル・バルディヴィアさんは、アマゾンのシリーズ『弁護士ビリー・マクブライド』のプロデューサーのひとりだ。12年前業界に入ったとき、有色人種のアシスタントは自分以外にはもうひとりしかいなかったという。プロデューサーは同じ大学の卒業生や家族の知り合いを雇うばかりなので、脚本家アシスタントにはまだまだ非白人は多くはない。

「みんな多様性を持つ脚本家を雇いたいのです。でもそういう脚本家は育てられていません」と彼女は語っている。

テレビ局「FX」の意欲的な試み

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放送が終了したばかりのFXの『ジ・アメリカンズ』の共同プロデューサーのトレーシー・スコット・ウィルソン (Jessica Lehrman/The New York Times)

多様性問題に意欲的に取り組んでいるテレビ局に「FX」がある。2015年、監督にもっとも多様性がないネットワークだと指摘されて以来、同社のシリーズで白人男性が監督した番組は、88パーセントから51パーセントに減少した。

「指摘されたその不名誉を受け入れ、それが当たり前ではないと証明したかったのです」と、FXのCEO、ジョン・ランドグラフ氏は語っている。

もともとFXはテレビのエピソード製作に経験のある監督を優遇してきた。そのため女性や非白人は経験を積むチャンスを与えられてこなかった。その状況を変えるために、FXは短編映画、ミュージックビデオ、独立系映画の監督たちに目を向けた

ランドグラフ氏いわく「才能や可能性のある監督がおおぜい見つかりました。いままで見逃していたんです」。FXはヒロ・ムライ監督を抜擢、『アトランタ』が彼の初テレビシリーズ監督作となりヒット、彼はエミー賞にもノミネートされた。

ランドグラフ氏によると、FXにはまだまだやるべきことがあるという。2018年シーズンでは、上級脚本家や製作総指揮のランクでは、非白人または女性は3分の1だったからだ。

この格差はいまの状況の矛盾を表している。まだまだ数字はひどいのだが、「こんなに状況がよかったことはかつてありませんでした」と、エージェントのハウベガー氏は言う。「もうこれ以上落ちることはないというのが、好ましいことなんです」

© 2018 New York Times News Service[As TV Seeks Diverse Writing Ranks, Rising Demand Meets Short Supply/執筆:Cara Buckley](翻訳:ぬえよしこ)


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