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「アルコールはほんの少しでも身体に悪い」という研究結果は本当?

The New York Times

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Image via Shutterstock

先日、「アルコール摂取はたとえ1滴でも体に害をなす」という衝撃的なニュースが世界を駆けめぐった。飲酒による効能と弊害について調査した大規模な研究結果のレポートが医学雑誌『ランセット』に掲載されたためだ。お酒を愛する人々には良くない知らせなのは間違いない。

だが、パニックになるのはまだ早い。論文をよく読んでみると、違った側面がみえてくる

700近い研究資料を統合した結果

最初に押さえておきたいのは、今回の研究は多くの飲酒に関する調査と同様に、新しい実験や聞き取り調査をしたわけではないという点だ。複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析したメタアナリシスなのである。アルコールに関係する23の健康被害が起きるリスクの高さを測定したもので、データ分析の規模としてはおそらくこれまでで最大と思われる。

研究チームは、世界のアルコール摂取量の正確な数値を得るために、700近い研究資料を収集した。そのなかには、観光旅行中における飲酒量など、見過ごされてしまいがちなデータも含まれている。そして、この膨大なデータを、アルコール摂取により健康に害がでる危険度を計る数理モデルを使って解析している。

その結果、たとえほんのわずかでもアルコールを摂取すると危険度が上がり、リスクがゼロということはありえないという結果が算出された。それがニュースとして大々的に報道されたのだ。

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アルコールは身体に有害なのか? (Tony Cenicola/The New York Times)

因果関係が特定できないデータも

しかし、この分析方法には限界がある。観測データというものには、隠された要因が混入している可能性が大であり、アルコール以外の理由で危険度が上がっていることも考えられるからだ。

たとえば、飲酒をする人が、喫煙者でもあったなら? 経済的に困窮していたなら? あるいは、遺伝的な違いや健康状態などが、身体に害をなす本当の原因かもしれない。観測データを因果関係に基づいて分析する手法があるが、過去の研究資料を集積した今回の研究では採用していない。

大部分の人には影響なし?

1日1杯のお酒を飲むだけでも身体に害をなすと、今回の研究結果は警告しているが、では、そのリスクとはどのくらい深刻なのか。

1年に1回、1日だけ1杯のお酒を飲む人10万人のうちの918人が、23のアルコールに関係する何らかの健康被害の1つを発症する程度である。これに対して、まったく飲まない10万人では914人がやはり問題を抱えると予測されている。つまり、アルコールを摂取しても9万9,082人には問題がなく、飲酒しなくとも914人は健康を害すると言い換えてもいい。そして、1日1杯飲む10万人においては、わずか4人にのみ問題が起きる

リスクは無視してもいいという気はない。リスクは確かにある。ただ、人生におけるほかのさまざまな危険を考えると、度合いはかなり低い。

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今回の研究レポートでは1杯とは10gの純粋アルコール量と定義(Hiroko Masuike/The New York Times)

人によってリスクは異なる

この研究は人口レベルの規模の調査であり、異論はあるものの範囲もワールドワイドである。だが、結果自体は個人レベルでの解釈に帰するものだ。23のアルコールに関係する健康被害があげられているが、たとえば、発症の仕方は同じではない。

糖尿病と心臓病の場合は、少量のお酒をたしなむ程度の人の罹患リスクは下がるが、がんと結核ではリスクが上がる(研究者グループは解析の際のバグの可能性を指摘している)。だが、一般的に糖尿病と心臓病を発症する率は、通常の場合、がんや結核よりもずっと高い。

同じように、飲酒運転による事故の発生率は地域によって大きく違う。この研究では米国でのデータをもとに、ワールドワイドに延べ広げて推察している。現実社会においては、誰もが等しく一律にリスクがあるとは考えにくい

すべては「バランス」

適度な量のアルコール摂取が健康のリスク要因を改善することは、この研究でも確認されているが、それをもって飲酒を推奨するのは間違っている。だが一方で、大量に飲酒すると健康に良くないからといって、完全に禁酒すべきかというとそうではない。

食べ物は薬ではない。お酒も同様だ。もちろんアルコール依存症は重大な問題だが、ようはバランスなのだ。私たちは、大部分の人々にとってふさわしい適切な量の線引きを見つけるために、時間をかけて議論し続ける必要がある。今回のような研究結果を、人々がアルコールの摂取のしすぎについて意識し、気をつける方向に導く道具に利用すればいい。

今後、別のメタアナリシスが発表されても、結果はそう変わらないと思われる。新しい知見をえるには、ごく少量か控えめな飲酒量の人々を対象にした大規模な調査が必要だ。実は最近、そうした試みが行われつつあったのだが、飲料業界からサポートを受けていたことから倫理的な疑義が生じて研究中止となった。新たな研究プランが発足されるのを切に願う。

©2018 The New York Times News Service[原文:Study Causes Splash, but Here’s Why You Should Stay Calm on Alcohol’s Risks/執筆:Aaron E.Carroll](抄訳:十河亜矢子)

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十河亜矢子

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