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異国で出会った女性たちが築く、最強のネットワーク

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慣れない土地で奮闘中の女性たちが、助け合える場があったらいい。そんな思いからスタートしたコミュニティが支持を集めています。

始まりはフェイスブック・グループから

Women of Vienna(ウィメン・オブ・ヴィエナ)はオーストリアの首都ウィーンで暮らす外国出身の女性たちが2015年に始めたフェイスブック・グループが母体。役所での手続きや、職場の人には相談しにくい女性ならではの疑問などについて意見交換ができるウェブ上のフォーラムとして始まりました。

やがてオフラインでも定期的にイベントが開かれるようになり、テーマ別のサブ・グループが結成されていきました。参加しているのは留学生、会社員、研究機関職員、転勤族の配偶者など、様々な理由で世界中からウィーンに来た女性たちです。

3年半後の2018年秋には、登録者数約1万5千人のコミュニティに成長。メンバーの母国語は50言語以上で、グループでは英語を使用しています。

運営メンバーは、なぜウィーンに?

大勢の人を惹きつける理由は何なのか、運営チームの3人の女性にウィーンでお話を伺いました。米国出身のベッツィ・エイキンズさんクリスティーナ・ピルツさん、そして韓国生まれ米国育ちのケイトリン・チャンさんです。

——それぞれがウィーンに来た経緯からお話いただけますか?

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リーダーのベッツィ・エイキンズさん。現在はウィーンにある音楽専門のインターナショナル・スクールでデジタル・メディア・ディラクターとして勤務。

ベッツィ・エイキンズさん「私は6年前にフルブライト・プログラムでティーチング・アシスタントの仕事をするために来ました。地方の町で2年間教えた後ウィーンに移り、フルブライトの事務局でしばらく働きました。

現在は音大を目指す生徒が通うインターナショナル・スクールで働いています。当初オーストリア滞在は1年の予定で、こんなに長くいることになるとは思ってもみませんでした

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副リーダーのケイトリン・チャンさん。現在はウィーンの広告会社での仕事の他、オーストリアや韓国の起業家へのコンサルタントを行う。

ケイトリン・チャンさん「私はサムスン・グループの広告代理店で働いていたのですが、サムスンには世界各地に拠点を築くため外国に社員を派遣する制度があるんです。オーストリア行きの辞令を受け、予備知識もなくドイツ語も分からないままこちらに来ました。

ウィーン支社の立ち上げを任され、50人の社員を率いて4年間必死に働きました。任期終了後は韓国に戻るはずでしたが、その頃にはサムスン流の猛烈な働き方はもういいかなという心境になり、退社してウィーンに残ることにしました。Women of Viennaを通して知り合った友人知人のネットワークがあったのも大きいですね」

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「ファミリー」グループのリーダー、クリスティーナ・ピルツさん。オーストリア人の夫との間にこの夏2人目の子供が生まれたばかり。

クリスティーナ・ピルツさん「私は生まれも育ちもアメリカですが、父がオーストリア出身なので、親戚を訪ねて来たことはありました。自分のルーツをもっと深く知りたいと思い、ウィーンにキャンパスがあるアメリカの大学の修士プログラムに進みました。

そこから上海に移りMBAのコースで学んでいるときに、現在の夫であるウィーン出身の男性と知り合ったんです。ウィーンで就職し、結婚後はアメリカで数年間暮らしましたが、娘が生まれてからウィーンに戻って来ました」

意識しないと狭い世界に閉じこもりがちな外国暮らし

——グループを立ち上げたきっかけは?

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エイキンズさん「始まりは、2015年2月にもう1人のアメリカ人女性と私が一緒に立ち上げたフェイスブック・グループです。ウィーンに住む外国人の女性たちが気兼ねなく情報交換できる場が欲しかったんです。

立ち上げから数週間後に居酒屋でオフ会を開いたところ、50人以上の女性が来てくれて。このグループを必要とする人がこんなにいるんだと実感し、定期的にイベントを開催しようと決めました

ピルツさん「些細なことでも遠慮なく聞けるオープンな雰囲気があるんです。そして、国籍も職業も様々なメンバーから得られる知識の幅と厚みがすごい。『ググればいいのは分かっているけど、敢えてこっちで聞かせて』という人もいるくらいです」

エイキンズさん「多国籍企業や国際機関の拠点がたくさんあるウィーンは外国人が多いのですが、オフの時は出身国ごとに固まってしまう傾向があります。そんな垣根を超えて交流できる場を作れたらいい。参加者が気の合う友人を見つけられたらと願っています」

女性が外国で孤立せずに生活できるコミュニティを

——なぜ女性限定にしたのですか?

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子育てについての意見交換ができる「ファミリー」グループのフィットネス・イベント。(Photo: Women of Vienna)

ピルツさん「いろんな団体があるので、女性に特化したものがあってもいいと思ったんです。あとは、女性限定の方がデリケートなことも話題にしやすかったり、気軽かなと」

チャンさん「こんなエピソードがあります。アパートに巨大なクモが出た、どうしよう! という写真つきの投稿に、アドバイスのコメントがわーっとついたことがあって。

最終的には、近くにいた人が投稿者の家に行ってクモを退治して、クモと2人の自撮りショットがアップされたという。彼女たちはそれまでは他人同士。女性限定のグループだからこそ、あり得た展開だと思います」

ピルツさん「あと、暴力を振るうパートナーから逃れようとしていた女性を支援したこともあります。彼についてウィーンに移り住んだ彼女は、他に頼れる人がいなかったんです。

メンバーが彼女を部屋に泊めて、どんな行政サポートが受けられるかなど、みんなで調べました。ドイツ語でしか手に入らなかった情報を英訳してもらえるように掛け合ったりして、私たちもいい勉強になりました」

エイキンズさん「男の人と一緒にイベントを開いたことも何度かありますが、なかには、女性に対して上から目線で接してきたり、主張を押し付けてきたりする人がいたことがあって。男性社会のあれこれに煩わされず、女性が外国生活で孤立せずにすむ。そんなコミュニティを作りたいという思いがあります」

共通の趣味や学び、就職情報の共有などグループはさまざま

——「ブッククラブ」「プロフェッショナル」「LGBTQ」「フード」など、全部で12のサブ・グループがあるそうですが、活動内容や運営方法についてお話しいただけますか。

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「プロジェッショナル」グループではキャリアを支援するセミナーやトークを開催。(Photo: Dina Lee)

チャンさん「単に外国暮らしの愚痴を言い合う会にはしたくないんです。例えば、『STEM』グループは数学者が立ち上げたグループですが、職場や学会などでいつも少数派の科学技術畑の女性同士が意見交換できる場です。

運営は、メイン・グループが5人、サブ・グループはそれぞれ平均2人、計20人のリーダーたちで切り盛りしています」

エイキンズさん「メインとサブを合わせると2日に1回は何かしらの集まりがある計算です。気楽なお茶会から、起業を考えている人に向けたセミナーまで内容は様々です。

ツテがないと新しい仕事を見つけるのは難しいので、就職情報なども共有するようにしています。また、Women of Viennaでの出会いをきっかけに新しいビジネスを立ち上げた人もいます」

マナー違反には「No」? 良いコミュニティに育ったワケ

チャンさん「いいコミュニティに育ったのは、オンラインのスレッドが荒れないよう常に気を配ってきたからだと思います。背景が異なる人たちの集まりなので、当然対立も生まれます。

例えば差別に対する意識だって、文化が違えば解釈は様々です。だからこそ面白い議論が生まれるし、発見もある。でも、必要以上に攻撃的な人には警告を出し、改善しない場合はブロックすることだってあります

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「ボランティア」グループがイスラム教徒の市民グループと共同主催した、イスラム教徒差別について考えるトーク・イベント。(Photo: Women of Vienna)

スキルアップや、友達作り。「Women of Vienna」は稀有な場

——本業や家庭の仕事のかたわら、コミュニティを運営するのは大変だと思いますが、得るものも大きいのでしょうね。

エイキンズさん「運営を通して本当にたくさんのことを学びました。リーダーシップ、交渉力、対立を解決する力など、人生や仕事にいかせるスキルが身につきました

チャンさん「ある意味、起業と似たプロセスだと感じています。少人数で始まったプロジェクトが、いつのまにか大勢の人を巻き込んでいて、スムーズな運営のため組織化する必要が出てくる。

そして不測の事態に対応できるように、柔軟性を持たせないといけない。試行錯誤を重ねてきて、だいぶん安定してきたと思います」

ピルツさん「この1年半でオーストリア人の参加者も増え、彼女たちからも多くを学びました。地方からウィーンに来た人など、外国人に限らず私たちのコミュニティを必要としている人はたくさんいます。

そもそも、大人になると気のおけない友達を新しく作るのは難しいですよね。Women of Viennaはそれができる稀有な場だと思っています」

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メイン・グループ運営メンバー。左から順に、モリー・ハイドフォーゲル=ロザさん、ケイトリン・チャンさん、ベッツィ・エイキンズさん、スザンナ・ハムシャさん、クリスティーナ・ピルツさん。(Photo: Dina Lee)

Women of Vienna

野澤朋代

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